銀行が破綻した場合、普通預金や定期預金は「預金保険制度(ペイオフ)」によって、預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息の払戻しが保証されています。では、証券会社や運用会社が破綻したら、預けている投資信託はどうなるのでしょうか。

投資信託で資産形成に取り組むなら、金融機関が破綻した場合の取り扱いについて理解しておくことが大切です。本記事では、投資信託の仕組みや金融機関が破綻した場合の資産保全について解説します。

投資信託とは

証券会社や運用会社が破綻したら預けている投資信託はどうなる?知っておきたい投資の基礎知識
(画像=WhoisDanny/stock.adobe.com)

投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を1つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などで運用する金融商品です。運用で得られた収益は、投資家それぞれの投資金額に応じて分配されます。投資家は収益を受け取る権利を持つため、「受益者」と呼ばれます。

投資信託協会が公表している統計結果によれば、2023年末現在、国内では5,899本の投資信託が販売されています。

投資信託は、商品ごとに運用方針が定められています。どのような資産・銘柄を投資対象とするかは、運用方針に基づいて運用会社が決定します。投資対象は国内外の株式や債券、不動産などさまざまです。

投資信託の仕組み

投資信託は、「販売会社(証券会社)」「運用会社」「信託銀行」の3つの金融機関が関わっています。全体像は以下の通りです。

ここでは、各金融機関の役割について見ていきましょう。

販売会社(証券会社)

販売会社とは、証券会社や銀行、郵便局など、投資信託を販売する業務を行う金融機関のことです。投資信託の取引に関する窓口として、投資家とお金のやり取りを行います。

さまざまな投資信託を投資家に販売し、申込金を受け取ります。また、投資信託の分配金や売却時の償還金を投資家に支払います。投資家の口座管理や資産運用相談への対応といったサポートも、販売会社の役割です。

運用会社

運用会社は投資信託を設定し、投資家から集めた資金(信託財産)を運用する金融機関です。専門家が経済や金融に関するさまざまなデータを収集・分析し、それをもとにファンドマネージャーが運用方針や投資対象を決定します。

運用会社は、信託銀行に対して信託財産の運用方法の指示(運用指図)を行います。受益者である投資家の利益のために、忠実に業務を遂行するよう義務づけられていることから「委託者」と呼ばれます。

運用会社が投資信託を作っているため、最も重要な役割を担っているといえるでしょう。

信託銀行

信託銀行は、投資家から集めた信託財産の保管・管理を行う金融機関です。運用会社からの運用指図に従って、株式や債券などの売買や管理を行うため、「受託者」と呼ばれます。

信託銀行には、信託銀行自身の財産と信託財産を区別して保管・管理する「分別管理」が義務づけられています。

信託報酬は「販売会社」「運用会社」「信託銀行」に支払う手数料

投資信託を保有している間は、信託財産から「信託報酬」と呼ばれる運用管理費用が日々差し引かれます。この信託報酬は、投資家が「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の3社に支払う手数料です。

商品によって異なりますが、信託報酬は年率0.5〜2.0%が一般的です。市場平均を超えるリターンを目指す「アクティブファンド」より、日経平均株価などの特定の指数に連動する投資成果を目指す「インデックスファンド」のほうが、信託報酬は低い傾向にあります。

信託報酬の各金融機関の取り分は、交付目論見書(投資信託説明書)に記載されています。投資する前に、証券会社や運用会社のホームページなどで確認しておくといいでしょう。

金融機関が破綻しても投資信託は保全される

投資信託の信託財産は、万が一「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の各金融機関が破綻しても、投資額にかかわらず制度的に守られます。ここでは、各機関が破綻した場合の資産保全の仕組みを紹介します。

販売会社(証券会社)が破綻した場合

証券会社などの販売会社は、投資信託の取引に関する窓口として投資家とお金のやり取りを行います。投資家から受け取った申込金は、販売会社を経由して、信託銀行が信託財産として分別管理を行う仕組みです。

販売会社は信託財産の運用・管理には関わっていないため、口座を保有している証券会社が破綻しても、信託財産そのものに影響はありません。保有中の投資信託は別の販売会社に移管されるので、破綻後も運用を続けられます。

投資信託がなくなることはありませんが、移管先の販売会社で口座開設手続きを行う必要はあるでしょう。

運用会社が破綻した場合

運用会社は投資信託を設定し、信託銀行に運用指図を行います。信託財産は信託銀行によって分別管理されているので、運用会社が破綻しても信託財産そのものに影響はありません。破綻した運用会社の投資信託は繰上償還されるか、他の運用会社が運用を引き継ぎます。

繰上償還とは、当初予定されていた信託期間(運用期間)が終了する前に信託財産を清算して、投資家に保有口数に応じた償還金を返還することです。繰上償還の場合、投資信託が無価値になるわけではありませんが、運用は続けられません。

他の運用会社が運用を引き継ぐ場合は、投資信託の継続保有が可能です。

信託銀行が破綻した場合

信託銀行は、投資家から集めた信託財産の管理・保管を行っています。信託財産は分別管理が義務づけられており、信託銀行が破綻しても、債権者は信託財産に対して強制執行や差押えなどを行えない仕組みになっています。そのため、投資信託の信託財産に影響はありません。

運用会社が破綻した場合と同じように、信託財産は繰上償還されるか、別の信託銀行に移管されます。別の信託銀行に移管される場合は、運用の継続が可能です。

分別管理がされていなかった場合は1,000万円を限度に補償される

信託銀行と同じく、証券会社も顧客から預かった資産の分別管理が義務づけられています。何らかの理由で証券会社が破綻し、分別管理が行われていなかったとしても、日本投資者保護基金によって1人あたり1,000万円までは補償される仕組みです。

例えば、投資信託の購入資金を証券口座に入金し、取引成立前に証券会社が破綻しても、入金額が1,000万円以下であれば全額補償されます。

このように、「分別管理」と「日本投資者保護基金」によって二重に保護されることで、投資信託の安全性は確保されています。

投資信託は元本保証がないことに注意

ここまで見てきたように、投資信託は「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の各機関が破綻しても、投資家の財産は制度的に保護されます。しかし、破綻時の資産保全と運用成果は別の問題です。

投資信託は元本保証ではなく、政治・経済情勢や金融市場の動向によって基準価額は日々変動します。基準価額が値上がりすれば利益を得られますが、値下がりして損失が発生する可能性もあるので注意が必要です。

まとめ

投資信託は「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の各金融機関が破綻しても、投資家の財産は制度的に守られる仕組みになっています。繰上償還となる可能性はありますが、保有中の投資信託が無価値になることは基本的にありません。万が一に備えて、投資信託の資産保全の仕組みを理解しておきましょう。

(提供:Incomepress



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