ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「米国消費者物価5%を割るかどうか。債務上限問題も焦点」

ドル円=132-137、ユーロ円=146-151、ユーロドル=1.08-1.13

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨10位(9位)、株価6位(7位)、米国からドル売り材料が多く出るも貿易赤字がドル円を支える」
 5月第一週、GWでは円は12通貨中5位とやや強く推移。米雇用統計の改善で先週末は円が弱含んだが、ドル円週足は陰線スタートとなった。日足5日線も下向きに転じた。GW明けの5月8日は溜まっていたドル買いが出るが、火曜日以降それが継続するかがポイントだ。こじれる米債務上限問題、米地銀経営不安、ゆるやかな米インフレ低下、生保の海外投資への消極的な姿勢などドル売り要因は多い。円売り要因は一つなのだが貿易赤字が縮小しない。原材料価格が急落し輸入も減少しているが、輸出も伸びず貿易赤字は続く。今週は5月10日の4月上中旬の貿易統計に注目したい。

 日本の金利では黒田前総裁も植田現総裁も2023年度後半に物価低下を予想している。ただ今の所は3%を超えている。賃金も政府の圧力もあって引き上げたので、原材料価格が下落しても末端価格は下げにくいかもしれない。3%以上の物価上昇が続くと市場から金融政策転換への要求が出てくるだろう。
 5月は中旬に米債償還と利払いがある。生保の運用計画だと償還玉を積極的には再投資しないようだ。今週は新潟G7財務相中銀総裁会合もあるが、為替はこのところ議題とはなっていない。

*米ドル「通貨7位(7位)、株価(NYダウ)16位(16位)、消費者物価5%を割るかどうか。やはり債務上限問題が焦点」
 先週の米ドルは、12通貨中10位と弱かった。債務上限問題、米地銀の経営不安、FRB利上げ打ち止め期待感などがドル売りを誘った。先週末の雇用統計で若干戻して今週はスタートする。5月11日に新潟でG7財務相・中銀総裁会合が開催されるが、イエレン財務長官は債務上限問題もあり、早々に帰国されるようだ。上院共和党は、上院多数党院内総務のシューマー宛ての書簡で、条件なしで債務上限を引き上げる法案に投票することに反対し、「持続不可能な財政政策により、わが国の経済は急速に落ち込んでいる。この傾向は、財政改革を通じて取り組まなければならない」と強調している。

 一方、バイデン米大統領は、米国債のデフォルトを回避するために合衆国憲法修正第14条を発動する用意はまだないと述べた。条項発動の選択肢を排除していないことを初めて示唆した。議会が行動しなければバイデン大統領がこの条項を発動し、債務上限を引き上げることが可能とするが、法的な論争が長期化するのはほぼ確実で、金融市場の動揺を招く恐れがある。

 今週は4月消費者物価の発表があり、予想は5%上昇だが、5%を割り込むと、金融緩和派の勢いが増す。6月フェッドウオッチでは据え置きが7割程度を占めている。CNN恐怖と欲望指数は59で若干リスク選好、アトランタGDPナウは2.7%。それぞれ悪くはない。やはり債務上限問題が焦点だ。

*ユーロ「通貨4位(4位)、株価3位(3位)DAX)、ECBは慎重、市場はBetter than コロナ禍を好感」
 メキシコペソはさておき、欧州3通貨も好調だ。12通貨中、2位、3位、4位を欧州通貨が占める。ユーロは4位だが、ユーロ圏の株価指数は総じて強く10%以上の伸びを示している。インフレはまだ目標からはるか高く中銀は手綱を緩めないが、数字的には22年10月の10.6%から現在7%へと低下している。ECB調査は、ユーロ圏での今後数年間のインフレ率は従来予想されていたより低下する可能性があるものの、ECB目標の2%を引き続き上回る可能性があるとした。ラガルド総裁は、「われわれにはまだすべきことがある。利上げは停止しない。それは極めて明白だ」と述べた。

 ビルロワドガロー仏中銀総裁は、「利上げの影響が経済に浸透してきたと見ている。利上げのスピードよりも期間のほうが重要だ。インフレが抑制されるまで、粘り強く取り組む」と述べた。
ただ経済指標はそれほど強くはない。強くはないが米ドルが弱いので対価として買われている。先週はユーロ圏小売売上高、独鉱工業受注指数が弱かった。貿易収支黒字化で需給の支えがあるのが日本円と異なるところだ。

*ポンド「通貨2位(3位)、株価13位(12位)、0.25%利上げか」
 ポンドは2位と強い、FT株価指数は他国と比べると弱く年初来4.38%高。インフレも低下しているが、尚10%超、米、ユーロ圏より10年国債利回りが高いこともポンドへ資金が向かっている理由だ。また2023年のリセッション予想を回避したことも大きい。昨年9月のトラス前首相最短内閣での財政不安でつけた1ポンド1.03台から1.25台への急騰。月足ではボリバン中位を上回った。危機は絶好の買い場ということをよく表した。ギリシャ危機のユーロの1ドル割れのようだ。 やはり危機の時ほど、冷静になりたい。

今週は政策金利の決定がある。0.25%の利上げ予想が多い。ラムスデン英中銀副総裁は「インフレを抑制するために金融政策を十分に引き締め、「インフレ心理」を発達させないようにすることに注力する必要がある」と述べた。一方、テンレイロ英中銀委員は、「金利は経済が耐えられないほど高く、過度に引き締めれば、やけどする羽目になるだろう」と警告している。

 ゴールドマン・サックスは頑強な高インフレに対応するため、5月に金利を引き上げ、その後も利上げする可能性が高いとの見方を示した。
「インフレ圧力の持続、賃金の伸びの継続的な強さ、弾力的な活動データは、英中銀が次回5月の会合で0.25%の利上げを決定する可能性が非常に高いことを示唆している。われわれの分析では、その後に一段の引き締めが必要になり得る大きなリスクが示されている」とした。
 4月PMIでは製造業が弱く、建設業やサービス業が強いのは他国と同じ傾向だ。

*豪ドル「通貨9位(8位)、株価15位(14位)、RBAややタカ派姿勢で先週は最強、年間では弱い」
 先週は最強通貨であったが年間では9位と弱い。10位の円よりは強いが7位の米ドルよりは弱い。資源価格が大きく下落していることが大きな要因だ。先週の上昇は引き締め気味となった金融政策によるものだ。RBAは先週、政策金利を据え置き予想に反して0.25%引き上げ、3.85%とした。7%のインフレ率がなお高すぎるとし、妥当な期間内に目標に戻すために「幾らか」の追加引き締めが必要になる可能性もあるとの認識を示した。RBAは今年のインフレ率を4.5%と従来予想の4.75%から引き下げたが、目標の2-3%の上限に低下するのは25年半ばと予想した。

 また、RBAは四半期金融政策報告で、生産性の低さ、エネルギー価格の上昇、人口増加に伴う家賃の高騰を踏まえインフレリスクは上向きと指摘した。
3月の貿易黒字は、中国向けの輸出急増が寄与し、過去2番目の高水準になったことも豪ドルを支えたが、3月小売売上高、14カ月ぶりの低い伸びで生活費負担の増加、金利上昇が消費意欲を冷やした。
 次の焦点は来週の1Q賃金指数と4月雇用統計となる。

*NZドル「通貨8位(10位)、株価14位(15位)、中銀は強気一辺倒ではない」
 先週は強含み推移した豪ドルに連れ高で2位、年間では8位と弱い。5月24日に政策金利決定がある。現時点での予想は0.25%引き上げて5.5%とする見方が多い。経済指標はマチマチだ。4月の消費者信頼感指数は79.3となり、前月の77.7から小幅上昇したが引き続き低水準にとどまっている。家計は生活費の高騰を懸念しており、特に多額の負債を抱える家計の懸念が大きい。雇用はまだ高水準だが景気は減速し始めており、一段と厳しい状況になるとの報道が一般的と見られている。1Qの失業率は過去最低をわずかに上回る水準にとどまり、労働市場の逼迫を示した。労働市場とインフレは将来の持続的成長達成に向けた最良の機会を提供する水準に依然として程遠い。 賃金の伸びはやや鈍化し、残業を除く民間部門労働コスト指数(LCI)は前期比0.9%上昇と、予想の1.1%上昇を下回った。ただ前年比では4.5%上昇し、伸び率は93年以来の高水準となった。

 オア中銀総裁は「足元の労働市場が強いことに加え、借り手が支出を調整したり貯蓄や返済余力を活用したりできている」と述べた。ただ、キャッシュフローの圧力が強まっており、こうした余力が試される可能性が高いほか、失業率の大幅上昇が引き続き国内の金融安定に対する最大のリスクとの見方を示した。 その上で「全体として消費者と企業の信頼感は低い。家計消費や企業投資の見通しが弱まることを示唆し、債務返済コスト上昇による圧迫を反映している」とした。不動産融資金利はこの1年で急上昇し、住宅所有者や企業を圧迫している。
また、住宅価格は21年11月のピークから16%余り下落している。ホークスビー総裁補は、住宅価格が下落し続け、過去数年に比べてより持続可能な水準に近づいているとの見方を示した。

テクニカル分析

*ドル円「日足、ボリバン3σ上限から反落。週足はボリバン2σ上限から反落」
日足、ボリバン3σ上限から反落、一時中位を下抜ける。5月3日-5日の下降ラインを上抜けて月曜はオープンするだろうが、5日線が抵抗となるか。5月4日-5日の上昇ラインがサポート。5日線下向く。20日線上向き。
週足、雲中、ボリバン2σ上限から4週ぶりに陰線。4月24日週-5月1日週の上昇ラインがサポート。10月17日週-5月1日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線下向き。
月足、今年は月ごとに陰陽を変えている。5か月移動平均線は上向く。2月-4月の上昇ラインがサポート。22年10月-11月の下降ラインが上値抵抗。
年足、2023年はここまで陽線。2022年は大陽線に終わるも、長い上ヒゲで圧力を残した。21年-22年、12年-21年の上昇ラインがサポート。

*ユーロドル「2σ上限と中位の間での推移が続く」
日足、2σ上限と中位の間での推移が続く。5月2日-5日の上昇ラインがサポート。5月4日-5日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ上限近辺で横ばい推移。雲の上。4月17日週-5月1日週の上昇ラインがサポート。4月24日週-5月1日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、ボリバン中位越え。21年5月-6月の下降ラインが上値抵抗。23年3月-4月の上昇ラインがサポート。5か月線上向き、下向きの20か月線を上抜く。
年足、年足陽転。20年‐21年の上昇ラインを下抜く。2022年は2年連続陰線もボリバン2σ下限到達し反発。下ヒゲが長く反発力あり。02年-22年の上昇ラインがサポート。21年‐22年の下降ラインが上値抵抗。

*ユーロ円「ボリバン2σ上限から下落も中位でとどまる」
日足、ボリバン2σ上限から下落も中位でとどまる。5月4日-5日の上昇ラインがサポート。5月4日-5日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線上向き。
週足、ボリバン3σ上限から反落。まだ2σ上限に近い。4月24日週-5月1日週の上昇ラインがサポート。2008年7月21日週-23年5月1週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、ボリバン上位で推移。23年3月-4月の上昇ラインがサポート。2008年7月-23年4月の下降ラインが上値抵抗。
年足、3年連続陽線。今年も陽線。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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