「バスカー」とロイヤルオーク蒸留所の歩み

アイリッシュウイスキーの蒸留所としては歴史がまだ浅いロイヤルオーク蒸留所。

本章では、ロイヤルオーク蒸留所の歩みと「バスカー」の誕生までをご紹介します。

もともとは「ウォルシュ蒸留所」

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(画像=「whiskeen」より引用)

ロイヤルオーク蒸留所は、創業者ウォルシュ氏の名前である「ウォルシュ蒸留所」と名乗っていた時期がありました。

ウォルシュ蒸留所設立当初、ウォルシュ氏はイタリアの飲料グループ「イルヴァ・サローノ社」と合弁事業をしていましたが、将来的なビジネスについての意見が両社で分かれたそうです。

最終的にイルヴァ・サローノ社がウォルシュ蒸留所の全株式を買取り、蒸留所の全所有権を取得し、事業分割。

蒸留所を置く地名の「ロイヤルオーク」に名前を変更しています。

事業分割により新しく生まれ変わった現ロイヤルオーク蒸留所は、2020年9月に「バスカー」の発売をスタートしました。

発売後まもなくライバルを押しのけて受賞

スタンダードボトル「バスカー アイリッシュウイスキー」が、翌年2021年に行われた『Wine Enthusiast』誌のアワードで、「Wine Enthusiast Scored 94 Points & Awarded <Best Buy>」を受賞しました。

発売から1年という速さで、同コンテストに出品されていた多くのアイリッシュウイスキーを押しのけての受賞だったため、世界のウイスキー愛好家から注目を浴びました。

また、「バスカー アイリッシュウイスキー」は、権威ある品評会で優秀賞を獲得し続けるという快挙も成し遂げています。

「バスカー」の特徴

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(画像=「whiskeen」より引用)

かつてイタリアの飲料会社と合弁事業を行っていた背景があるからか、「バスカー」には以下のような当時の名残が残されています。

  • イタリア製ポットスチルを使用し、3種類のウイスキーを生産
  • イタリアのワインに使う「マルサラワイン樽」を熟成に使用

3種類のウイスキーが生産可能

ロイヤルオーク蒸留所はアイルランド国内でも唯一、以下の3種類のウイスキーを生産できる蒸留所です。

  • 「シングルモルト」
  • 「シングルポットスチル」
  • 「シングルグレーン」

ロイヤルオーク蒸留所では3基のポットスチルと、1セットの連続式蒸留機、ポットスチルが1つの敷地内にあり、アイルランド国内の蒸留所の中でもロイヤルオーク蒸留所が初めての試みなのだとか。

なお、ポットスチルはイタリアの老舗メーカーのフリッツ社製です。

マルサラワイン樽の使用

「バスカー アイリッシュウイスキー」と「バスカー シングルグレーン」の製造に欠かせないのがマルサラワイン樽での熟成であり、他のアイリッシュウイスキーとの差別化ポイントです。

マルサラワインとは?
イタリア・シチリア島の酒精強化ワインで「マルサラ酒」ともいわれ、ティ・ラ・ミスを作る際に用いられることでも知られている。

「バスカー」の2銘柄で使用されているマルサラワイン樽は、1833年操業の老舗カンティーナ・フローリオ社から入手されています。

中でも、選び抜かれた希少なマルサラワイン樽が「バスカー」に使われます。

マルサラワインのトップシェアを誇る老舗から仕入れたワイン樽を使うことで、「バスカー」2銘柄の芳醇な味わいが生まれるのです。