特集『隠れ優良企業のCEO達 ~事業成功の秘訣~ 』では、日本各地に存在し日本経済を支える優良企業の経営トップにインタビューを実施している。経営者たちは何を思い描き事業を立ち上げ、ムーブメントを起こしてきたのか、どのような未来を思い描いているのだろうか。会社のトップである「オーナー社長」に疑問をぶつけ企業のルーツと今後の挑戦に迫っていく。

サクラパックス株式会社は、富山県や石川県、新潟県を中心に段ボールの製造販売から包装設計までを行っている企業だ。本インタビューでは、代表取締役社長である橋本淳氏に同社の企業概要や日本経済の展望、今後の事業展開などについてうかがった。

(取材・執筆・構成=山崎敦)

サクラパックス株式会社
(画像=サクラパックス株式会社)
橋本 淳(はしもと あつし)――サクラパックス株式会社 代表取締役社長
1971年5月20日生まれ。富山県富山市出身。1994年3月、法政大学経営学部卒業後、同年4月に紙商社へ入社。1995年から米国留学したあと、1996年11月にサクラパックス株式会社へ入社。2002年には、同社の取締役に就任。その後、専務や副社長を経験し2008年5月に代表取締役社長に就任し現在に至る。

2007年に富山青年会議所理事長、2011年日本青年会議所副会頭、2022年富山商工会議所副会頭を務める。
サクラパックス株式会社
富山県を中心に段ボールをメインとしたトータルパッケージサービスを展開する創業75年超の老舗企業。1947年5月、橋本栄太郎氏(現社長の祖父)により板紙加工販売を目的とした興国人絹パルプ富山加工所を創業。1952年3月から片面段操機を導入し、段ボール製造分野に参入した。1963年9月、富山市に本社社屋と工場が完成し段ボールケース製造の一貫体制を構築。

1970~1990年台にかけては、近隣の石川県や新潟県にも工場を建設し販路拡大を図る。1990年2月に企業イメージ統合戦略を図るため商号を現在のサクラパックス株式会社へ変更。1999年12月、富山事業所がISO9002を取得、2001年7月には本社と3事業所がISO14001を取得した。2014年4月には、経営理念「ハートのリレーで笑顔を創り、世界の和をつなぐ。」を制定。近年は、アップサイクル活動でSDGsの実現にも貢献している。

目次

  1. 包装設計に価値を見出し、自社の強みとしてきた
  2. 中小企業は手を取り合って世界進出すべき
  3. 自社の強みを活かしながら、創造性を育む社員教育を目指す

包装設計に価値を見出し、自社の強みとしてきた

――サクラパックス株式会社様のカンパニープロフィールと、現在までの事業内容についてお聞かせください。

サクラパックス代表取締役社長・橋本 淳氏(以下、社名・氏名略):弊社は、第2次世界大戦後の1947年5月に富山県富山市で創業しました。戦争時、空襲で焼け野原になったところから復興に向かった会社です。創業当初は、紙の加工を行っていて畳の縁に使う縁下紙の製造販売を全国で約92%のシェアを持っていましたが、畳文化は徐々に廃れていきました。

また当時盛んだった物流には、木箱が使われていましたが、木の箱は非常に硬く重い点がネックでした。そんな矢先に海外から「段ボール」というものが日本に入り始め、そこに目をつけ日本海側で初めて段ボールの製造販売を行ったのが弊社の初代社長(現社長の祖父)です。

当時は、桜橋紙工業株式会社という社名でしたが、1990年2月にCI(コーポレート・アイデンティティ)を導入し現在の社名となりました。弊社のスタートは、富山からでしたが、そこから石川県や新潟県にも工場を進出させ、北陸三県を中心にビジネスを展開。さらに北は山形県、南は岐阜県の高山、西は滋賀県という北陸信越あたりまで進出し、段ボールの製造販売を行っています。

段ボールの製造販売のなかでも、弊社が特に力を入れているのが包装設計です。段ボールと聞くと四角の箱を想像される方が多いかもしれませんが、それだけではありません。例えはパソコンや家電製品の納品時に用いられる衝撃を避けるような構造の段ボールといった、設計が活かされた商品に付加価値を見出しているのが弊社の強みになります。

――サクラパックス様の事業における成功の秘訣とはどのようなポイントでしょうか?

弊社は、地場産業です。製造する段ボールの中に入る商品は、必然的に地場産業の商品となります。例えば富山は「薬の富山」と言われるように、医薬品メーカー様が非常に多いので医薬品関連のパッケージに用いられます。それからYKK様や三協立山様のような大手のアルミサッシの企業も多いので、アルミの建材を入れる段ボールも多く扱っています。

また新潟の工場では、米どころ新潟の特産品である米菓・おかき・あられ商品を入れる段ボール箱をメインに製造しています。そう考えていくと実は、地場産業のあらゆるものが段ボールに包まれていることになります。

数千件のお客様とのお付き合いからわかったことですが、世の中の景気の流れと段ボールの売上は連動しているようです。つまり、全国の段ボール生産量はGDPのグラフと同じ動きをしています。そのため「成功のタイミング」という意味では、日本の高度経済成長期時に石川県に工場を作ったことで売上がぐっと伸び、次はバブル期にも大きく売上を伸ばすことができました。ただ私が社長を引き継いだタイミングは2008年で、まさにリーマンショックで日本の景気が最も落ち込んだ時でした。

1996年11月に私がサクラパックス株式会社へ入社してから25年以上経ちますが、日本全体の株価は上がっているものの経済自体は伸び悩みの傾向が続いているように見受けます。となると、先の原理で考えた時、当然、段ボールの売上も伸びていないはずです。
しかし、弊社では2008年に約62億円だった売上を2023年時点で100億円以上にまで伸ばすことができました。そこまで売上を伸ばすことができた弊社の強みは、大きく分けて2つあります。

1つ目は、先ほども申し上げました包装設計です。例えばパソコンやテレビなどの電子機器や家電を買った際、以前は、段ボールの中の商品を押さえるために発泡スチロールを入れるのが主流でした。それが今や押さえるための材料は、段ボールに置き変わっている傾向です。

実際の梱包箱を開いてみると複雑で歪な形をしています。しかし、その特殊な形こそが大事な製品をしっかり守りながらも組み立てやすくなるように設計されているポイントとなります。弊社は、そういった段ボールの包装設計を得意としています。大手の段ボール製造会社は別として、中小規模の段ボール会社で一から設計ができる会社はとても少ないのが現状です。しかし弊社には、約10人の設計者が在籍し、大手にも負けない設計力を持っています。ここが競合他社に比べ大きな強みなのだと思っています。

2つ目は、会社としての理念です。私自身、経営は「理念と戦略の両輪」と思っており「理念経営」をかなり強く打ち出しています。この理念というのは、簡単にいえば「1つの山をみんなで登る」ということです。弊社には、約350名の従業員がいますが、この350人が同じ山に同じ方向で向かっていくことによって「1+1が3にも4にもなる」という考え方です。

その山を登っていくための方法論が戦略だと思っています。弊社では、2016年4月から「SAKURA経営モデル」というモデルを回しており、これは「方針からくるミッションを1週間ごとにPDCAで回していく」という仕組みです。これまでにSAKURA経営モデルを実践することで利益率が2~3%アップした実績があります。

もう一方で「ハートのリレーで笑顔を創り、世界の和をつなぐ。」という、世の中を笑顔にするリレーを心がけることが経営理念です。その理念に基づき、防災事業の支援やコロナ禍においては段ボール製のパーテーションを医療機関500施設へ無償提供する社会貢献活動を行なってきました。
すると、このような活動が地元富山のテレビや新聞の目にとまり取り上げていただく機会が増え、気が付けば弊社の名前を知らない方がいないのではないかと思うくらい、社名の認知度が高くなり会社の信頼度をあげることに繋がりました。

「信頼が先か業績が先か」という話でしかありませんが、私は信頼を獲得することこそが業績を上げることにつながると思っています。なぜなら“段ボール”という商品は、各メーカー様からするとあまり興味を抱かない素材だからです。例えばお茶を作っている会社様でしたら、まずはお茶が大事ですよね。

次は、お茶を入れるペットボトルなどが挙げられていて段ボールが意識されるのは最後のほうなのです。良くも悪くも「どこで調達しても変わらない」と思われている段ボールに対して「サクラパックスという名前はよく知っている」ということから「弊社に任せていただける」ということが起きてきます。私自身、そのロジックがすごく大事だと思っていてそのためにも今後も社会貢献に尽力しています。

ただし社会貢献は、あくまでも経営理念のもとに行っていることなので、業績や売上はあとからついて来ているものといえます。こういった部分も弊社の強みになっていると思います。

――サクラパックス様の社会活動や環境活動についてお聞かせください。

社会活動といえば、近年では企業の社会責任の取り組みとしてSDGsになぞった社会貢献事業を企業努力として行うことも一般的になってきています。
実はSDGsという言葉が今のように一般化する前から弊社が行っている社会貢献事業は、全てSDGsにあてはまっていたんです。そのため早くよりサイトなどにも掲載し紹介しています。ですから端から見ると「SDGsをしっかりと推進している企業」というように映るのかもしれません。

私自身は「SDGsのために社会貢献事業を行う」という視点ではなく「お客様を笑顔にする」「従業員を笑顔にする」「世の中を笑顔にする」という三本柱の笑顔のために動いていて社会貢献事業をたくさん行っています。

また、企業としては税金を払ったり、雇用を増やすことも広くとると社会貢献ともいえるかと思うのですが、「それぞれの会社の専門性を活かした社会貢献をやると良いのでは…」と考えています。

弊社でいえば、段ボールと設計が他社にない専門性です。そのため、それらを用いて人々の困りごとを解決したり、サポートする製品を作り、世に送り出すことが弊社ならではの社会貢献事業であり、実行すべきことだと考えています。

中小企業は手を取り合って世界進出すべき

――成長目覚ましい企業の代表としての目線から見た現在の日本経済が直面している課題と、今後の日本経済において成長企業はどう立ち回っていくかというお考えをお聞かせください。

個人的に日本経済はさらに厳しく辛い局面を迎えるのではないかと思っています。私は今51歳(2023年4月時点)で、あと20年くらいであれば自分の会社ぐらいは何とかなるかと思いますが、次の世代は大変なことになるのではないかというのがざっくりした感想です。目の前の話からすると「物価高の問題」と「人口減少に伴う労働人口の減少」という問題があります。

雇用ができなくなることが、この2つの最大の問題です。1つ目の物価高の問題に関していえば、すでに全世界で物価が上がっており、と同時に賃金も右肩上がりに上昇しています。しかし、日本だけが「物価が上がっても賃金が追いつかない」という問題が起きていて国際競争力では明らかに遅れをとっています。2021年における日本のGDPは、3位ですが、将来的にはドイツやインドに抜かれて5位に転落する可能性もあるでしょう。

日本の国力の低さがどんどん浮き彫りになることで、世界から見ると「日本へ優先的にものを売ることがなくなる」という問題が起きてくると思います。

2つ目は、労働人口が減少するという問題です。バブル期や高度経済成長期にも人材を採れなかったタイミングはあったと思います。ただそれは、急激な経済成長に人材の確保が追いつかなくなったのだろうと思われます。ところが、今の日本は「経済が伸びていないにも関わらず人材も採れていない」という最悪の状態にあるように感じます。出生数も2022年には、80万人を割り込み悪化する一方で、外国人雇用もなかなか難しくなるのではというのが、今後の日本の現状だと思います。

目の前の対策としては、大手企業が賃金を上げているように賃金問題をどうにかすべきだと思っています。弊社のような中堅企業でも2022年の4月に5%の賃金アップを行いました。5%というとなかなかの数字ですが、従業員も喜んでくれましたし、弊社がしっかりと賃金を上げる会社だということが世に広まったことは良かったと思っています。

ただ「賃金を上げなければ人材が採れない」「最終的には海外の人材も採れず国際競争力が落ちる」という日本経済の問題を考えて、弊社は2023年にも賃金を4%上げる予定です。「2年間で賃金を9%上げる」という方向性ですね。(編集注:取材日は2023年3月10日)

弊社の賃金事情は、そういった状況ですが日本全体がどうなるかといえば、大手企業と中小企業との格差がとてつもなく広がっていくのではと思っています。給与格差も広がりますし、給与が低いことで人材を採れない問題が最大に広がっていくことでしょう。人が採れなければ企業は回りません。そうなると今後は、中小零細企業は先細りしていく会社が増えていくかもしれません。

ただもう一方で、スタートアップのような新しい企業やサービスが生まれてくると思っていて、新しい分野の産業が増えることで国がしっかりと補える状況を作れるのが本来の経済の流れだと思っています。そんななかで取り残されていくのは、弊社のような中小企業です。基本的に国や金融機関の取り組みは、上場企業やスタートアップへ向け積極的に行われ、中小企業はなかなか相手にしてもらえない印象があります。

そこで、一社では太刀打ちできなくとも自社の強みを持っている中小企業同士がしっかりと協力し合い、世界に通用する商品を作っていくことで、上場企業やスタートアップと並んで日本経済を補える存在となるのではないでしょうか。そして、それこそがこれからの日本において大切なことなのではないでしょうか。

――サクラパックス様と同様の事業領域を持つ企業が2023年以降の市場において成長していくためのポイントは何だとお考えでしょうか?

自社を事例として考えた時、私は世界に出るしかないと思っています。なぜなら、日本の内需は下がっていく一方だと想像できるからです。もし、自社だけで海外進出が厳しい場合は、どこかの企業と協力し合って新たな製品を開発し世界へ目を向けることも検討すべきでしょう。

ただ、段ボール事業だけをみた場合、完全に内需の仕事なので、そこは弊社の強みである包装設計を活かして付加価値をつけていくことが必要でしょう。幸いにも、内需の中でも弊社の武器を活かしてビジネスの幅を広げていくことは可能だと思っています。

そして、経済や政治を学べば学ぶほど日本経済は厳しい状況を迎えることが予想されます。これから日本は、縮小政策に入っていくことでしょう。例えば、富山市でコンパクトシティ構想が進められていますが、これは「行政サービスを行うエリアを決めてしまう」という話で、中央に住むことを推進するためのサービスです。これは大変難しい問題と言えるでしょう。
このように会社も経済も一緒で大変な縮小政策のなかで内需の戦いを挑むことは、よほどの強みがなければ生きていけません。

つまり、弊社で言うところの「設計力」を活かし「段ボールそのものの特徴を考えながら戦略を練る」という強み、このような他社にない特質を見出し武器に挑んでいくことが、高い利益率に繋がるのではないでしょうか。

自社の強みを活かしながら、創造性を育む社員教育を目指す

――サクラパックス様の今後の目標(売上、成長、事業展開など)、5年後、10年後に目指すべき姿についてお聞かせください。

ひとまず9年後に売上150億円が目標です。2023年に売上112億円くらいまで到達しそうなので、おそらく問題ないかと思っています。経常利益率は、現在7~8%ですが売上がある程度見えているなか、付加価値を追求していくことで10%を目指していく予定です。メーカーとしては、経常利益10%を目指すことは、一つの目標だと考えています。

そのためには、設計を磨くことによって世界に通用する包装設計にしていくことが重要です。その話で言うと、世界にはWPO世界包装機構主催のパッケージコンテスト「ワールドスター賞」と言うものがあります。2年前弊社は、「ワールドスター賞」の日用品部門で最高賞を受賞し、世界一となりました。このような一面から、世界に通用する実力をつけたチームになってきていると言えるのではないでしょうか。今後は、この設計を活かしてどうやって世界戦略を考えていくかがポイントになってくるでしょう。

内需においては、現在の設計を使いながらもお客様からのニーズだけに応えるだけでなく、段ボール並びにパッケージの設計を活かした新規事業や、新商品といった弊社側から仕かけていくものをどんどん作っていきたいと思っています。そうすることで売上を100億円から150億円まで伸ばしていけると考えています。

――新規事業に関して、どういった方向性で進めていきますか?

1つ目は、脱プラです。段ボールは、リサイクルされると紙になるため、プラスチック商品を紙製に変えていく活動はすでに行っています。また2つ目として世界戦略のなかで将来的につながると思っているのは、重量物の梱包です。輸出用の大型の機械や車両のパーツなどは、木や樹脂で梱包されていますが、こちらを段ボールで行っていくという事業の拡大に向けて動いています。

また近い未来の話でいえばドローンが運ぶ荷物のパッケージもあります。ただドローン運搬に関しては、さまざまな特殊な議論が必要で、汚れては困るし頑丈さも重要です。すでに楽天様では、千葉のゴルフ場で実験的に稼働していまして、ボールがなくなった際、スマートフォンによる指示でボールを運んできてもらうサービスがあります。そのパッケージを弊社が行っています。

――事業の目標に向けてサクラパックス様が重点的に取り組んでいるポイントと、現在の事業課題をお聞かせください。

先ほども申し上げましたが、経営とは理念と戦略だと考えています。これまで多くの書籍やコンサルタントの方より経営にまつわる話を見聞きしてきました。そこで私なりに理解してきたことは、経営はとてもシンプルで必ずしも難しいことではないと言うことです。
人事やマネジメントなど様々なセミナーがありますが、そこで学ぶ内容は決まった定番のことも多く、至ってシンプルです。そして、各会社がそれを実行されています。

そのシンプルなものを、学びを通してサクラパックス用に作り込み、仕組み化を行い、理念までも仕組み化するような取り組みを続けました。その結果、社長である私が必要なくなるような会社になってきました。従業員が働いて会社を回してくれるようになるので、私がもし3ヵ月会社に行かなくても問題なくなってきています。

ただ、その仕組みを作り浸透させるのに6年の歳月がかかりました。しかしこれは、どの企業でも頑張りさえすれば必ずしもできることではないと思っています。中にはできないこともあります。具体的には「新しいものを作る」ということです。これは、マニュアルでどうにかなるものではなく本を読んで勉強しても作れません。

時代ごとにニーズも変わってきますし、弊社の技術をどう伸ばしていくかということも考えると経営の仕組み化とは別物といえるでしょう。2023年5月で私が社長になってから15年経過しますが、理念と戦略のような内部強化に関しては最初の8年、そこから6年はずっと新規商品や新規事業にすべての力を注いでいます。

小さな事業を作ることは簡単ですが、いまの事業に代わるものや50億円の売上を立てるようなものを考えるとなると相当大変でしょう。弊社の従業員は、すごく真面目です。これは、私が入社する前からなので、いわゆる社風だと思っています。ただその一方で創造性や考える力が足りません。これが弊社の一番のネックで課題です。新商品や新事業を作る際は、創造性が最も大切になります。

ただ不真面目な人を真面目にする力は会社にありませんが、どちらかといえば創造性が得意ではないかもしれない人を創造性豊かにする力は会社にあると信じています。いわゆる教育です。創造性や考える力を全従業員で身につけることが実は大きな会社のテーマで、それに対する活動もたくさん実施しています。そういった観点から現在は、社内での環境整備を行っています。

環境整備とは、整理・整頓・清潔といったいわゆる掃除です。掃除を朝の15分行っています。これは、きれいにするための活動ではなく考える癖をつけるための活動で、整理・整頓・清潔の定義を明確化させ半年間のチーム内の計画立てをやってもらうためのものです。加えて個人の朝15分の計画を1ヵ月間立ててもらいます。

そのための話し合いをチームで行ってもらいますが、意見をポストイットで提示してもらうのが特徴です。これは、立場や発言力に依存しないように「誰でも意見が言えるようにする」「新入社員でも意見が言える環境にする」といったことが目的です。普段あまりしゃべらない人でも良いアイディアを持っている方はたくさんいます。

それを「考える癖をつける」という基本中の基本の徹底を通じて発揮させています。

――最後に弊媒体の読者層である投資家、資産家を含めたステークホルダーの皆様へ、メッセージをお願いします。

弊社は、設計力に長けたパッケージによる差別化が最大の武器でパッケージによって大きな収益をつけている会社です。もう一方で、地元への社会貢献を通して地域に欠かせない会社になるほどの信頼をいただいていることは、段ボール事業という観点で非常にプラスになっています。どんな事業を行うにしても地域からの信頼性が高いことは、十分バックアップとなりますので、そのための会社作りを行ってきました。

これからは、包装設計という強みを活かしながら世界市場を目指していきたいと考えています。社内に理念をとことんまで浸透させているので、従業員は本当に世の中を良くしたいと思って働いています。信念として従業員一人ひとりが、世の中を笑顔にしたいと思って働いており、そのようなメンバーが揃った会社だと思っていただければうれしいです。