この記事は2023年5月19日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「週間トピックス(G7財務大臣・中央銀行総裁会議、米議会予算局 ほか)」を一部編集し、転載したものです。
●日本が議長国を務めるG7財務大臣・中央銀行総裁会議が新潟市で開催され、5月13日に共同声明を採択して閉幕した。共同声明では、今年3月以降、米欧を震源地とした金融不安が世界に広がるなか、デジタル化などの環境変化と銀行部門に対する規制・監督とのギャップに対処し、金融システムの強靱性確保に向けて取り組んでいく方針を打ち出した。暗号資産を利用したテロ資金供与や制裁回避が国家単位で行われている懸念についても明記し、金融活動作業部会(FATF)に対して、暗号資産にかかる課題の検証・報告を要請した。
●米議会予算局(CBO)は5月12日、米政府の債務上限が引き上げられなければ、6月上旬にも米国債がデフォルト(債務不履行)となる可能性があるとする報告書を公表した。5月1日には米財務省のイエレン長官が議会に宛てた書簡で、デフォルトの可能性を指摘していた。債務上限の引き上げに向けた進捗がない米議会の姿勢を受け、市場ではデフォルトを補償するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率が急騰。11日には、米5年物CDSスプレッドがギリシャやメキシコを上回る74bpに達し、2009年3月以来の高水準を付けた。
●京都銀行は5月12日、英投資ファンドのシルチェスターによる株主提案に反対することを取締役会で決議したと発表した。シルチェスターによる同行への株主提案は昨年に続き2回目。株主提案では、23年3月期に同行が予定する1株当たりの普通配当金140円に加え、62円の特別配当金を求めている。また、24年3月31日までに、同行が発行する株式総数の1%、50億円を上限とする自社株買いを実施するよう要請している。これに対し同行は、「短期的な視点に立脚したもので、中長期的な企業価値の向上につながらない」と反論している。
週刊金融財政事情 2023年5月23日号