宅急便のキャッチフレーズだった「翌日配達」の対応エリアが、さらに縮小する。ヤマトホールディングス<9064>子会社のヤマト運輸が6月1日以降、関東から中・四国地方など一部地域向けの宅配サービスの配達日を1日遅らせるのだ。主にドライバー不足で、これまで通りの日数では配達できないケースが懸念されるため。だが、この問題は「配達日数の延長」だけで済むのだろうか?

ついに広島県全域と関東の「翌日配送」が終了へ

今回の配達日見直しで広島県東部の福山市も関東地方との配送が「翌日」から「翌々日」へ変更となり、広島県全域が「翌日配達」エリアから外れる。一方、東日本では岩手県から関西地方、静岡県の一部地域と富山県から福岡県への荷物の配達日も従来の「翌日14時以降」から「翌々日の午前中以降」に延びる。

背景にあるのは2024年4月から、トラック運転手の時間外労働に年間960時間の上限が課せられる運輸業界の「2024年問題」。ただでさえ人手不足が深刻な同業界で、人繰りがつかなくなるおそれがある。そこで配達日数を延長し、ドライバーにかかる負荷を軽減しようというわけだ。

ただ、それだけでは済まないだろう。ドライバー不足に加えて配送業務の大きな負担となっているのが再配達だ。宅配便事業者のヤマト運輸や佐川急便、日本郵便、通販事業者のアマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフー、自然食研、日本通信販売協会などが2023年4月を「再配達削減PR月間」として、再配達削減に向けた取り組みを実施した。


次のターゲットは「再配達」

国も内閣府大臣官房政府広報室が政府広報オンラインで「受取は1回で!宅配便の再配達防止」をテーマに情報発信するなど、全面的にバックアップしている。「再配達削減のために活用をお願いしたい4つのこと」として、「時間帯指定の活用」「各事業者の提供しているコミュニケーション・ツール等(メール・アプリ等)の活用」「コンビニ受取や駅の宅配ロッカー、置き配など、多様な受取方法の活用」「 発送時に送付先の在宅時間を確認」を呼びかけている。

M&A Online

(画像=再配達削減の具体的なアクション(国土交通省ホームページより)、「M&A Online」より引用)

今後も、子高齢化による労働者人口の減少、でドライバーの人数は増えそうにない。運輸業界が取りうる即効性のある対策としては、「それでもドライバーを増やす努力をする」「負荷の高い再配達の件数を抑える」の2つしかない。

それらの問題を一気に解決するのが「再配達の有料化」だ。再配達手数料が課金されるとなると、国が呼びかける再配達防止のための手順を守る利用者が増えるだろう。さらに再配達手数料は事実上の値上げになるので、「働き方改革」による労働負担の軽減に加えてドライバーの賃金を引き上げる「原資」となる。

利用者にとっては配送日数は延び、「配達予定時間に在宅する」か「再配達料金を支払う」かの時間または金銭の負担増につながりかねない。とはいえそれに替わる対策は考えにくく、そうなったとしても「サービス低下」を甘受するしかなさそうだ。

文:M&A Online