総括
FX「米中対立は貿易縮小に繋がる。ブリンケン米国務長官が訪中か、人民元は安定」人民元見通し
(通貨7位、株価11位)
予想レンジ 人民元/円19.3-19.8
(ポイント)
*米中対立は貿易縮小に繋がる
*5月輸出は減少
*5月PMIは政府版が悪化、財新は改善
*今週は消費者物価の発表
*ブリンケン米国務長官が訪中か
*株式市場は悲観的
*中国景気減速が台湾の貿易も縮小させる
*景気の弱さは、通貨バスケット制を採用しているので、人民元の弱さには繋がらない
*海外ファンドは中国のソブリン債から資金を引き揚げ
*成長率の下方修正、金融緩和も
*G7サミットでは中国を名指しで批判、中国は猛反発
*4月鉱工業生産、小売売上改善も予想下回る
*新築住宅価格、需要低迷で伸び鈍化
*預金金利は引き下げ
*国債利回り6カ月ぶり低水準
*対米、対独の2022年の貿易額は過去最高
(5月PMIは政府版が悪化、財新は改善)
5月製造業PMI、非製造業PMIは悪化していたが、5月財新製造業PMIは50.9と4月の49.5から改善し先週末の人民元の回復に寄与した。5月財新サービス業PMIも57.1と4月の56.4から上昇した。新規受注が好調だった。
(5月貿易収支、輸出落ち込む)
5月の貿易収支は658.1億ドルの黒字。4月は902.1億ドルの黒字だった。
5月の輸出は前年比7.5%減と1月以来の大幅減少となった。4月の8.5%増から大きく落ち込んだ。輸入は前年比4.5%減。4月の7.9%減から減少ペースは鈍化した。
国内外の需要低迷が続く中、製造部門の生産が鈍化しており、年内の中国経済に対する見通しも下方修正されている。
輸出と輸入の不振は国内と海外、特に先進国の中国製品に対する需要の低迷を反映している。
(今週は5月消費者物価の発表)
低水準で推移する中国消費者物価だが、今週は5月分の発表。前月比で0.2%上昇、前年比で変わらずの予想。今後の金融政策を占うこととなる。
(株式市場は悲観的)
市場は悲観的で、海外からの投資が多い香港ハンセン指数は年初来2.7%安と弱い。米中間の対立で海外資金の流出もあろう。
米当局が中国向けの輸出を厳しく監視し、中国の軍事力強化につながる輸出を阻止するために、昨年は提出された輸出許可申請の4分の1を拒否または放置したことが分かった。
昨年提出された中国向けの輸出もしくは再輸出の許可申請は5064件で、このうち26%を拒否するか、対応しないまま差し戻したという。敵対者にとって有利になるような米国の機密技術を特定し、こうした技術を守るための政策と戦略を策定して、輸出業者から提出された許可申請を審査しているとした。
また米商務省が安全保障上の問題から貿易取引制限対象としている企業を並べた「エンティティーリスト」に掲載している中国の団体は700近くに上り、バイデン政権発足後に200余り増えた。
(ブリンケン米国務長官が訪中か、2月の気球問題では訪中中止)
ブリンケン米国務長官は数週間以内に北京を訪問し、政府高官らと協議する予定だ。習近平国家主席と会談する可能性もあるという。米中間の緊張は続いているものの、米国はハイレベル協議の再開を模索する。
ブリンケン氏は今年2月に北京訪問を計画していたが、中国の偵察気球が米領空を飛行したことを受け、訪中を取りやめた。
テクニカル分析(人民元/円)
2σ上限から下落も下ヒゲで抵抗
日足、ボリバン2σ上限から下落。雲の上維持。6月6日、7日は下ヒゲで抵抗。6月1日-7日の上昇ラインがサポート。5月29日-6月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、雲中。22年10月17日週-23年6月2日週の下降ラインが上値抵抗。4月24日週-5月8日週の上昇ラインがサポート。
月足、小幅だが右肩上り。ボリバン中位を下抜けず。23年4月-5月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年5月の下降ラインが上値抵抗。
年足、3年連続陽線。23年も陽線スタート。ただ22年は上ヒゲが長い。20年-21年の上昇ラインがサポート
チーファンラマ
台湾輸出も低迷、中国需要低迷で
台湾の輸出が低迷している、中国の内需の弱さの影響だ。特にハイテク製品需要低迷を背景に5月は輸出が9カ月連続で減少した。 5月の輸出額は前年比14.1%減の361.3億ドル。4月(13.3%減)から減少幅が拡大した。輸入は同21.7%減の312.5億ドル。輸出を品目別で見ると電子部品が9.9%減の150.5億ドル、半導体は8.0%減。
5月の中国向け輸出は127.4億ドルで前年比19.4%減少。4月は22%減。
米国向け輸出は3.5%減。4月は10.3%減。