外為マーケットレポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

先週は日経平均株価の騰勢が続く中、目立った経済指標の発表も無く、今週開催されるFOMC.と日銀政策決定会合を控えてドル・円相場は高値140.45、安値138.77と割合静かな展開となった。

日経平均株価上昇によるリスク・オンの動きと海外投資家による為替リスク・ヘッジの為の円売りが見られたものの、140円台を超えると当局のドル売り&円買い介入警戒感も有ってドルの上値は重い。

同時に下値では依然として存在する日米金利差を意識してのドル買い&円売り意欲も旺盛で、余程の大きなニュースが出ない限り当面139円~140円台を中心としたレンジ取引が続きそうである。

今週は13日~14日にFOMC.、15日にECB.理事会、そして15日~16日には日銀政策決定会合が開催される中銀ウィークとなりそうである。

トップ・バッターのFOMC.で今回は利上げ見送りが有力視されているが、FOMC.後の記者会見で現在はハト派(金融緩和に積極的)と見做されるパウエル議長がどの様な経済・物価見通しを述べるかが注目される。

最近のFRB.高官の発言は年内にあと1回程度の利上げが必要との意見が多く、物価(多くのFRB.メンバーが最も重視していると見られる。)と金融不安・景気後退懸念(パウエル議長と一部のハト派メンバーが重視している。)の何方に政策のポイントを置くかを判断する良い機会になりそうである。

ECB.理事会ではユーロ圏全体での景気後退が顕著な中、ラガルドECB.総裁はあくまでも物価抑制を最優先すると主張し続けており、市場は0.25%の利上げを予想する。
先週はRBA.(オーストラリア準備銀行)とカナダ中央銀行が市場予想を裏切って利上げに踏み切っており、グローバルに再利上げ機運が高まっている事は否めない。

そして最後は日銀政策決定会合であるが、先週一部のメディアが今回の会合ではYCC.も含めて政策の変更はなさそうだと伝えた。
ただ、植田日銀総裁は先週消費者物価の動向について“上振れするという方向での変化が見えつつある。”と述べており、記者会見でこうした発言が強調される可能性があれば、今回は兎も角、次回7月(27日~28日)の会合の展望レポートで物価見通し引き上げと共にYCC.再修正があるのではないか、との期待が高まる可能性は有ろうか?

話は逸れるが、消費者物価の上振れに関して面白い話がある。

個人的な話で恐縮であるが、筆者は毎朝野菜ジュースとアロエ入りのヨーグルトを摂る事を習慣としている。
昨日家内が買い物から帰るなり“酷い!今日から突然野菜ジュースが133円から193円に、ヨーグルトが143円から173円になった!”と素っ頓狂な声を上げた。

野菜ジュースの193円、ヨーグルトの173円がそんなに騒ぐ程高いのかよく分からないが、確かに各々45%と20%の値上げは酷いと思う。

6月から多くの食料品や電気料金の値上げが始まるとは知っていたが、こんなに高い割合になるとは知らなかった。

4月に退院された黒田前総裁も、“買い物は家内に任せているので(日々の物価動向に関しては)よく分からない。”と仰ったが、植田新総裁にも一度ご自分でスーパーで買い物をされることをお勧めする。

一度これだけの割合で上がった物価がそうすんなりと値下げになるとは考えられない。

それでも未だ“2023年後半から2024年に掛けて物価は下落する。”と本気で思っているのであろうか?

まとめると今週の中銀ウィークでFRB.は据え置き、ECB.は0.25%の利上げ、そして日銀は政策変更無しとなりそうであるが、会合後のパウエルFRB.議長、ラガルドECB.総裁、そして植田日銀総裁の記者会見に注目して、次回以降の主要中央銀行の政策変更の可能性について匂いを嗅ぎ取りたい。


今週のテクニカル分析の見立てはレンジ取引を想定。
138.50を下切れば137円台、140.50を上切れば141円台も有り得る。