主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月15日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼14日(水)の為替相場
(1):英月次GDPは持ち直し
(2):ユーロ圏鉱工業生産 予想を上回る
(3):米PPIは伸びが鈍化
(4):FOMC 年内あと2回の利上げの可能性を示唆
(5):パウエルFRB議長「7月会合は何も決まっていない」
▼14日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:140.00円を挟んだもみ合いが続きそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
14日(水)の為替相場
期間:14日(水)午前6時10分~15日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):英月次GDPは持ち直し
英4月国内総生産(GDP)は前月比+0.2%と予想通りの伸びとなり、3月の-0.3%から持ち直した。英4月鉱工業生産は前月比-0.3%(予想-0.1%)、同貿易収支は149.96億ポンドの赤字だった(予想165.00億ポンドの赤字)。
(2):ユーロ圏鉱工業生産 予想を上回る
ユーロ圏4月鉱工業生産は前月比+1.0%と予想(+0.9%)を小幅に上回った。3月分は-4.1%から-3.8%に修正された。
(3):米PPIは伸びが鈍化
米5月生産者物価指数(PPI)は前年比+1.1%と予想(+1.5%)以上に4月の+2.3%から伸びが鈍化。前月比でも-0.3%と予想(-0.1%)を超える低下となった。食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比+0.2%で予想と一致。前年比では+2.8%と予想(+2.9%)を下回ったものの、鈍化幅は小さかった(4月:+3.1%)。
(4):FOMC 年内あと2回の利上げの可能性を示唆
米連邦公開市場委員会(FOMC)は大方の予想通りに政策金利を5.00-5.25%に据え置いた。声明では「今会合で(政策金利の)誘導目標レンジを据え置くことで、委員会は追加の情報と金融政策への意味合いを精査できる」と表明。同時に発表した金利予測では、政策金利が年末までに5.625%へ上昇するとの予想が示された。前回3月時点の予測では5.125%だった。大半の当局者がインフレ抑制のために追加の引き締めが必要と考えていることがわかり、年内にあと2回の利上げを行う可能性が示唆されたことでドルが上昇。ドル/円は140円台を回復した。
(5):パウエルFRB議長「7月会合は何も決まっていない」
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)はFOMC後の会見で「7月会合についてはなんら決定していない」として、次回FOMCは開催してみないと結果がわからない「ライブ会合」になると強調。インフレについては、リスクは上方向としながらも「対応が少な過ぎるリスクと多過ぎるリスクは均衡の取れた状況に近づきつつある」と述べた。一方で、将来的な利下げについては、インフレが顕著に鈍化してからのこととして「2年ほど先」になる可能性が高いとの認識を示した。FOMC後に急反発していたドル/円は、パウエルFRB議長の会見を受けて伸び悩んだ。一方、クロス円は議長会見を受けてドルが失速したため堅調を維持した。豪ドル/円は米国株が下げ幅を縮小する中で95円台を回復。ユーロ/円とポンド/円は欧州中銀(ECB)と英中銀(BOE)の利上げ期待も相まって上昇した。その後、ユーロ/円は151.78円前後まで上伸して2008年9月以来、約15年ぶりの高値を付けた。ポンド/円も177.41円前後へ上昇して2015年12月以来の高値を付けた。