新型コロナウイルス感染症の影響拡大でハイブリッドワークの注目が高まった。2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に変更されたこと多少縮小傾向もあるが、今でもハイブリッドワークに関心を持つ企業は多い。ハイブリッドワークの導入を考える企業にとって、ハイブリッドワークにどのようなメリットやデメリットがあるのか気になるところだろう。

ハイブリッドワークの内容だけでなくメリット・デメリットや導入事例などについて簡単に解説する。

目次

  1. ハイブリッドワーの意味とは?
  2. ハイブリッドワークのメリット・デメリット
    1. ハイブリッドワークのメリット
    2. ハイブリッドワークのデメリット(課題)
  3. ハイブリッドワーク成功のためのポイント
    1. オフィス環境の整備
    2. ICT環境の整備
    3. ハイブリッドワーク導入のルールの設定
  4. ハイブリッドワーク導入事例
    1. ソフトバンク
    2. サイボウズ
  5. 自社に合ったハイブリッドワークの導入を
分かりやすい解説! ハイブリッドワークのメリット・デメリットと導入事例
(画像=turn_around_around/stock.adobe.com)

ハイブリッドワーの意味とは?

まずは、ハイブリッドワークとはどのようなものかを見ていこう。ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークなど複数の働き方を組み合わせた言葉だ。複数の働き方を組み合わせているため、「ハイブリッド」という言葉が使われている。

従来の日本の働き方においては、会社に出勤して働く出社型のオフィスワークが多かった。しかし新型コロナウイルスの影響拡大でテレワークに移行する企業が大幅に増加。2023年5月時点では、5類に移行したこともあり新型コロナウイルスの対応は収まりつつあり、テレワークから出社型のオフィスワークに戻る企業もある。

もちろんテレワークと併用し続ける企業も少なくない。併用している企業は今後パンデミックが起きた場合、すぐにテレワークの体制を取れるようになる。また今回テレワークを行ったことでそのメリットに気づいたことも大きい。ハイブリッドワークでは、例えば最低限の出社日数が決まっており、それ以外は自由にテレワークが選べるなど柔軟性が求められる。

これからハイブリッドワークを導入しようと考えている場合は、柔軟性を持たせることに留意したい。

ハイブリッドワークのメリット・デメリット

ハイブリッドワークには、メリットだけでなくデメリットもある。これからハイブリッドワークを導入しようと考えている場合は、そのメリットとデメリットの両方を考慮し、検討しなければいけない。ここでは、ハイブリッドワークのメリットとデメリットを見ていこう。

ハイブリッドワークのメリット

ハイブリッドワークの主なメリットには、次のようなものがある。

・生産性の向上
ハイブリッドワークの大きなメリットの一つが、生産性の向上だ。ハイブリッドワークでは、従業員が自分の業務内容に応じてさまざまな働き方を選択できる。そのため仕事に主体性が生まれ、やる気や充実感が増す。従業員のやる気が生まれることで生産性の向上につながる。またテレワークなど出社しない働き方では、出勤時間の削減が可能だ。

自宅やカフェなどで仕事をしたほうが効率のよい業務もあるため、業務効率化にもつながり、総じて生産性の向上になる。

・従業員のエンゲージメント向上
企業にとって従業員のエンゲージメント向上は、重要な課題の一つである。エンゲージメントとは「契約」や「約束」などと訳される。しかしここでいう従業員のエンゲージメントとは「会社に対する愛着や満足度、貢献度などを深める」ことを指す。ハイブリッドワークでは、従業員が自分の業務内容に応じてさまざまな働き方を選択できる。

つまり自宅やオフィス、シェアスペースなど働き方の選択肢が増えるということだ。なかには「子育てや介護が必要」「自宅で仕事をしたい」「会社以外で働きたい」といった人も多い。ハイブリッドワークを導入して従業員の働き方の希望をかなえることで従業員の会社に対する満足度が上がり、エンゲージメントも向上する。

・人材確保
少子高齢化の現代において、企業が緊急に取り組まなければならない課題が人材の確保である。そもそも優秀な人材を確保しておかないと会社は成長しない。

人材確保に有用な手段がハイブリッドワークだ。考え方の多様化により、自分に合った働き方ができる企業で働きたい人は多くなっている。ハイブリッドワークを導入すれば、子育てや介護が必要な人でも仕事を続けやすくなるため、在籍している従業員の離職率の減少が期待できるだろう。さらに新たな人材の確保がしやすくなる。

ハイブリッドワークを売りにすることで、その企業で働きたい人材の増加も期待できる。結果的に優秀な人材を得やすくなるため、会社にとって大きなメリットといえる。

・オフィスの有効活用
意外かもしれないが、オフィスの有効活用もハイブリッドワークのメリットだ。ハイブリッドワークにより、出社する従業員の数が減るとオフィスのスペースに余裕ができる。そこで空いたスペースに休憩ラウンジや資料室などを設置することでオフィスの有効活用が期待できる。また余ったスペースを倉庫代わりにすることで倉庫代の削減も可能だ。

ハイブリッドワークのデメリット(課題)

ハイブリッドワークの主なデメリットや課題には、次のようなものがある。

・管理業務の複雑化
ハイブリッドワークでは、オフィスワークのみの場合に比べて管理業務が複雑になる。例えば、ハイブリッドワークを導入すると残業代や仕事時間の把握などの勤怠管理がしにくい点はデメリットだ。またデスクワークなどで作業内容が見にくい場合は、評価基準のあいまい化が発生するケースもある。

残業代の管理や人事評価が適切にできなければ、かえって従業員の満足度が低くなる可能性があるため、注意したい。ハイブリッドワークの導入に伴い、管理業務の複雑化に対処するためには、新たな勤怠管理システムの導入や査定基準の設定・明確化が必要となる。

・コミュニケーション不足
新型コロナウイルスの影響でテレワークが増えたときに、よく問題視されていたのが従業員同士のコミュニケーション不足だ。ハイブリッドワークの導入でテレワークなどの働き方が増えると従業員間でのコミュニケーション不足が起こる可能性がある。

ハイブリッドワークの導入によるコミュニケーション不足を解消するには、テレビ会議システムやWeb会議システムの導入、従業員同士で接する時間を増やすなどの工夫が必要だ。

・帰属意識の希薄化
ハイブリッドワークでは、会社に属しているという「帰属意識の希薄化」が起こりやすいデメリットがある。自宅などでの仕事が増えると会社ではなく、自分で仕事をしている雰囲気になりがちで帰属意識の希薄化が起こりやすい。ハイブリッドワークの導入による帰属意識の希薄化を防ぐためには、状況に応じて出社する日を定めるなどの工夫も必要だ。