SNSの普及や情報のDX化が進行している昨今、ネット広告をビジネスに取り入れている事業者もいるのではないだろうか。ネット広告は「販路拡大をしやすい」「従来の媒体に比べてコストを抑えやすい」などメリットも多い。一方で「アテンションエコノミー」の問題もあることを認識しておこう。

本記事では、今後事業でDX化を進めるうえでも知っておきたいアテンションエコノミーについて、意味や注意点について、事例を挙げて簡単に解説する。

目次

  1. アテンションエコノミーとは?意味と事例を解説
    1. エコーチェンバー
    2. フィルターバブル
  2. アテンションエコノミーによる注意点
    1. 自己決断力の低下(依存症)
    2. フェイクニュース(偽情報)
  3. ビジネスにおけるアテンションエコノミーの注意点
    1. ブランド毀損リスク
    2. 消費者離れ
    3. 政府による広告規制の可能性
  4. アテンションエコノミーの意味を理解し、うまく付き合おう
中毒性とフェイクニュース アテンションエコノミーの深い闇!
(画像=photoopus/stock.adobe.com)

アテンションエコノミーとは?意味と事例を解説

アテンションエコノミーとは、「アテンション=注意・関心」「エコノミー=経済」の2語から想像できるように、人々の関心や注目の度合いを通貨のように経済価値があるものとして市場で流通させるという経済モデルのことだ。

例えば、ウェブサイトやSNSにどれだけアクセスがあるか、どの記事、どの情報に注目が集まっているかなどといったことを重視し、ユーザーの視聴履歴や閲覧時間を追跡、個々のユーザーに合わせた広告やコンテンツを表示しクリックさせるように誘導する。それによってプラットフォーマー(ネットサービス、システム提供者)は広告収入を得るというイメージだ。

米国の社会学者マイケル・ゴールドハーバー氏が、1997年に「アテンションエコノミー」という言葉を提唱し、インターネットやSNSの普及とともにこの言葉が広まった。なおアテンションエコノミーの関連用語として「エコーチェンバー」や「フィルターバブル」という言葉が使われることも多い。それぞれ意味を理解しておこう。

エコーチェンバー

エコーチェンバーは、SNSで自分と同様の興味関心を持つユーザーをフォローした結果、自分がSNSで意見を発信したときに自分と似たような意見ばかりが返ってくる状況のことをいう。「エコー=反響」「チェンバー=小部屋」の意味があり、閉ざされた小部屋で音が反響する物理現象に例えている。

フィルターバブル

フィルターバブルは、アルゴリズムがネットユーザー個人の検索履歴やクリック履歴を分析し学習することで、本人が望む・望まないにかかわらず、見たいと「される」情報ばかりが表示されてしまう情報環境のことをいう。結果として、ユーザーの観点に合わない情報からは「フィルター=隔離」がかけられ、自身の考え方や価値観の「バブル=泡」のなかに孤立してしまう。