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2億円の目標を前倒しで達成! サラリーマン投資家・弐億貯男さんが語る割安成長株発掘の極意

弐億貯男さんは、働きながら日本株の投資を続けるサラリーマントレーダー。2002年、100万円で株式投資を始め、2003年に250万円まで元本を増やしてからは追加入金は一切せずに、2019年には2億円の大台を達成した凄腕だ。

そんな弐億さんが長年の投資を通して得た教訓は「常に余力を残すこと」。新たに資産5億円を目標に設定し、割安成長株への投資を続けている。ここでは、そんな弐億さんの投資遍歴や投資手法などについて話を聞いていく。

弐億貯男(Nioku Tameo)
弐億貯男(Nioku Tameo)
2002年10月に株式投資を開始。サラリーマンとして働きながら投資を続け、2019年には元本の250万円を追加入金を一切せずに2億円まで増やすことに成功した。割安成長株への投資を強みとしており、含み損益を考慮しない年間の実損益ベースでは、2007年以外はずっと前年比プラスの成績を維持している。ハンドルネームにもなっている資産2億円は達成したため、現在は2029年までに5億円という目標を設定。
ブログ:サラリーマンが株式投資でセミリタイアを目指してみました。
Twitter:@2okutameo
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リーマンショックを通して得た教訓

リーマンショック,株式
(画像=PIXTA)

――最初に「なぜ株を始めようと思ったのか」について、トレーダーの皆さんに伺っています。弐億さんは別媒体の記事で「日経平均が最安値を更新というニュースを見たこと」が株を始めた理由とお話されていたのですが、本当にそれだけで「株をやろう!」と思われたのですか?

本当なんですよ。日経平均株価は2003年の4月に7607円というバブル後の最安値を記録するまで、連日のように安値更新が報道されていました。このニュースに触れるまで株式投資のことは全く頭になかったですし、当然、知識もありませんでした。ただ、私にはこの報道がまるで儲け話のように聞こえたんです。いま振り返ると、自分でも変な嗅覚だったと思いますが(笑)

――それはすごい嗅覚ですよ。大半の人は、そのニュースを見て「そうなんだ。不景気だな」などと感じるだけだと思います。

振り返るといえば、小学生の頃に近所の友達の家へ遊びに行った時、友達の母親が電話で株を注文していたのを思い出しました。当時はもちろん株のことなんて全く知らず、その母親がなにを電話で話していたのか不思議に思っていたのですが、いま考えると株を注文していたに違いないと(笑)

――面白い話ですね(笑) さて、儲けの嗅覚を働かせて株式投資を始められたわけですが、最初からうまく行ったのでしょうか?

最初の年は深く考えず、好きなゲームを出しているスクウェア(現スクウェア・エニックス・ホールディング)や外食のサイゼリヤを買ったのですが、出だしは含み損を抱えるなど振るいませんでしたね。

株式投資を始めて1年が過ぎたころ「割安株投資がいい」という話を耳にしたので、PER(株価収益率)15倍以下の銘柄を探してみたところ、複数の不動産関連銘柄が浮かび上がってきました。いまでも不動産関連株はPERなどの指標が低い銘柄が多いのですが、ちょうどその当時は「新興不動産バブル」。新興の不動産株や不動産流動化関連株が値を飛ばしていたんです。その結果、資産を大きく増やすこと成功したわけです。ただ、これは現在の私の投資スタイルになっている「割安成長株」への投資がうまくいったというより、完全にビギナーズラックでしたね。

――2006年にはライブドアショック、2008年はリーマンショック、2011年は東日本大震災などショック安が続きましたが、投資は順調だったのでしょうか。

いえ、やはり含み損が膨らみました。年間の実現損益ベースでマイナスになったのは2007年のみなのですが、リーマンショックでは保有株がどんどん含み損を抱え、それらの銘柄がプラスに転じるまで1、2年はかかりましたね。保有していた銘柄に関しては業績が悪くもなかったので、売るに売れないという状況もありました。

リーマンショックを経て、「早めの損切りを意識すること」「常に余力を残しながら勝負すること」の大事さを痛感しました。それまでは余力を一切持たず、ほぼフルポジで臨んでいたのですが、それだと相場が下がり切った時に、保有株を損切りして資金を捻出しないと買いに出ることができません。

――利益確定や損切りの具体的なルールは設定されていますか?

「買い値より何%下がったら損切りする」というカチッとした損切りルールは特にありません。ただし、下方修正などの悪材料が出たり、買った時の前提や見込みが崩れた時には、含み損を抱えていない場合でも売却します。その前提や見込みが崩れないうちは、なるべく保有を続けて利益を最大化できるよう心がけてはいますね。

IPOのセカンダリー投資で割安成長株を拾う

IPO
(画像=PIXTA)

――弐億さんが得意とされる「割安成長株」の選び方を教えてください。

理想は、PER15倍以下、増収増益傾向、配当性向30%以上、配当利回り3%以上の銘柄であること。もっとも、これらの条件を全て満たす銘柄はほとんどありません。これらの条件を意識しつつ、たとえば二桁の増収増益が続いていればPERは20倍以下でOKといった具合に、手綱(たづな)を絞ったり緩めたりしながら判断しています。

PERの場合は最終利益が赤字だと算出できませんが、将来の利益のための先行投資で赤字になっているのであれば、それもよしです。米Amazonは、いまでこそクラウド事業で巨額の利益を生み出していますが、配送事業のみの時は赤字でしたよね。

――確かに、PERでは先行投資による成長は測れませんね。

また、時価総額が数十億円など小さい銘柄は、その時は純利益がマイナスでも、数年後に数億円の利益を稼ぐようになるだけでPERの水準が一気に下がることがあります。たとえば、私の成功トレードのひとつでもある、有料老人ホームを展開するチャームケア。上場後の数年間は積極的に老人ホームの開設に先行投資していたため、利益水準が低く抑えられていました。その投資を回収できるようになった段階で利益が伸びはじめ、株価も急上昇しています。チャームケアはこの方法で500万円程度を投じ、結果として6000万円程度の利益になりました。

このように、先に挙げた条件を満たしていない場合でも、時価総額の規模で投資を判断することもあります。そもそも、IPO(株式の新規公開)銘柄は配当性向や配当利回りの条件を満たす銘柄なんてほぼないですからね。

――そういえば、IPO投資も得意とされているんですよね。

IPOに関しては、2004年頃から当選を狙った応募はしていました。当時はIPO市場が好調で、1銘柄あたり50万円で当選した銘柄が、初値の時点で数倍に値上がりする銘柄もあったので、割とオイシイ思いができましたね。ただ、私が狙っているのは新規上場の時の公募ではなく、上場後のセカンダリー投資です。

IPO銘柄では上場後、会社の実力以上に売り叩かれる銘柄があります。初値や初値当日の株価が天井になる銘柄が少なくないのですが、そうなるとIPOに当選して初値で売り切れなかった人や、高値づかみした人は売りたくなりますよね。上場時の人気が離散すると売り圧力が高まって、株価が下がり過ぎるケースがあるんです。IPOでは、上場時に成長戦略や決算書を公開していますから、それらに目を通すことで、今後成長していく可能性が高いのに売られ過ぎる銘柄が割とあるんですよ。そうした銘柄は、株価が下げ切るなど値動きが落ち着いた時に拾うようにしています。

――「割安成長株」の観点からみても、優秀なIPO銘柄があるということですね。

会社四季報などを一から読んで割安成長株を探すのもいいでしょうが、それだと手間がかかり過ぎるんです。専業投資家であればそういう時間を確保できるかもしれません。ただ、私はサラリーマンとして働きながら投資をしているので、IPO銘柄で割安成長株を探す手法は合っていると思います。

IPO市場が好調な時は初値がかなり高い水準になるケースが多く、セカンダリーでも割安な銘柄を探すのは難しくなりますが、反対にIPO市場が低迷している時は、公募価格を割り込むなど割安と思われる水準まで株価が下がる銘柄があるので狙い目です。特に、東証1部や2部へのIPOで売出株数が多い銘柄は、需給が緩んで株価が下落しやすいと思いますね。

もちろん、IPO以外でも銘柄を探しています。投資関連のブログや投資家のツイッターを見て割安成長株の情報があると、そこから個別に業績やビジネスモデルを調べてみるんです。業界の選り好みはせず、成長率と株価指標のバランスを見ながら買いを判断しています。

個人の事情に合わせて「長く続けられる手法」を採る

2億,億円
(画像=PIXTA)

――コロナショック以降の調子はいかがでしょう。

コロナショック後も第二波、第三波と感染者数が増えるという見方や、足元の株価と実体経済が乖離していて、いずれは調整するという見方があったので、コロナショック直後の相場の急反発に飛び付くことはできませんでした。それは確かに残念ですが、自分で相場を予測しても外れることが多いですし、どっちに転んだとしても対応できるように余力を残すようにはしています。一応、2020年もプラス収支で終えることはできました。

――現在はどのくらい銘柄を保有されているのでしょうか?

2021年に入っていくつか新規で購入し、13銘柄を保有しています。通常は10銘柄程度であることが多いですね。それでも投資しているのは資産の4割程度。6割程度は余力として残しています。

――株を始めた当初の目標であり、ハンドルネームにもされている2億円は2019年に達成されたのですよね。今後の目標はありますか?

2029年に5億円という目標を新たに設定しました。2019年から年率10%で回すことができれば、2029年には達成できる計算です。やはり、ただ売買するのではなく、投資の目標は常に掲げておくべきだと思います。私の場合はまず目標額を設定し、その後年率の利回り目標を出せば、それにかかる年数が決まるという感じです。

――いまお使いの証券会社と、その理由を聞かせてください。

売買の注文を出しているのはSBI証券ですね。前身のイー・トレード証券の頃から手数料の安さをウリにしていたので、口座を開設しました。その流れでずっと使い続けています。これとは別に、みずほ証券や野村證券にも口座を持っていますが、こちらはIPOの応募用です。

――最後に、株初心者へのアドバイスをお願いします。

以前と比べて、株式投資は数千円など安い資金で始めることができるようになっています。よく「株について勉強してからでないと実際に投資するのは怖い」という話を耳にしますが、少額で始められるわけですから、まずはやってみるべきです。やってみることで投資の経験や知識を積むことができるし、経済や企業の動向などに興味を持つことができるからです。それなりに余裕資金がある人でも、まずは2、3年程度、経験と実績を積むために少額から始めたほうがいいでしょう。売買のスキルは、実際に取引しながら上達するということもあります。

投資に興味を持って積極的に勉強や調査ができる人なら個別株への投資がオススメですが、「老後2000万円問題」などをニュースで見て「資産運用をしないといけないのかな」といった、投資に対してやや後ろ向きな人は、積み立て投資やインデックス投資でいいでしょう。個人個人で「長く続けられるやり方」を考えて臨むようにするといいと思います。

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