トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「正攻法は時間がかかる。ただリラ5日線上向く。株急騰。金利上昇」トルコリラ見通し

(通貨最下位、株価11位)

予想レンジ トルコリラ/円5.0-6.0

(ポイント)
*選挙後の金融市場の動きは大きなものであった
*中銀=為替介入は行わない
*中銀議事要旨=インフレ見通しが大幅改善するまで金融引締めプロセス継続
*新体制はリラ相場は市場に任せるとした
*政策金利を6.5%引き上げて15%
*新中銀総裁は「適時かつ段階的に」さらなる利上げを進めるとした
*利上げをトルコ経済界は好感
*新財務大臣は合理的な政策に変わると主張、経常収支改善も目標
*過大な賃上げはインフレを上昇させる
*リラ安の根本要因は続く
*ただ最新のエルドアン大統領発言は低金利政策維持
*ゴールドマン・サックスは、リラが1年後に1ドル=28リラまで下落と予想
*トルコがスウェーデンのNATO加盟を認めるのは難しいか?
*地震でも世銀が成長率見通しを上方修正
*今年は建国100周年

(大統領選挙後の推移)
リラ急落、株急騰、長期金利上昇

トルコリラ見通し
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(為替介入は行わない)
トルコ中銀高官によると、

・トルコ中銀は国有銀行を通じてドルを売らない姿勢を維持しており、リラ支援策は講じていない。

・月曜日(7月3日)の(ドル建てでの)売却は流動性を提供するだけであり、為替介入には当たらないと述べた。

(大統領選挙後は急落)
 シムシェキ新財務相、エルカン新中銀総裁の政策は、金融市場を市場原理に基づき合理的なものにすることだ。これまでの管理主義や保護主義を緩和、撤廃し、相場は市場に任せるというもの。ただトルコの金融市場がそれについていけるかどうか。早速相場に急変動が訪れている。大統領選挙後。10年国債利回りは9%から17%へ上昇、株価は25%上昇、リラは対円で21%下落、対ドルで30%下落している。

(政策金利決定後も急落)
 政策金利の引き上げは予想よりも小幅で6.5%で15%となった。市場は20%を予想していたので失望感が出てリラは売られた。株価の上昇もインフレが抑制出来ない見通しによるもの。インフレなら株を買えとの動きは自然だ。また外貨預金を行う銀行には国内債券を購入することを義務付け外貨預金の増加を抑制していたがそれを緩和した。介入も行わないようなのでリラは下落した。市場主義、合理主義が脆弱なリラが耐えられるか疑問である。中銀総裁は段階的に利上げを行うという。大統領の低金利主義に配慮している。リラ安の根本的な要因である貿易・経常赤字の改善が見られず、ただリラを市場主義に戻すだけの政策では、前途多難が予測される。売りつくされるまで放置のようだが、貿易経常赤字では売りは永遠に出る。

(今週の指標)
・6月の製造業PMIは51.5で、前月までの2カ月間と同水準。
生産は4カ月連続で増加。増加ペースは2021年7月以来の高水準だった。需要の改善に加え、2月の大地震からの回復が続いているほか、国内選挙後に経済活動が上向いた。

・6月貿易収支は54億ドルの赤字。輸入が前月の342億ドルから263億ドルへ大幅減少した(エネルギー価格の下落で)。輸出は209億ドルで前月の217億ドルから小幅減少

・今週は消費者・生産者物価の発表がある。

(かつての弱い通貨の歴史)
 ユーロ通貨統合前の欧州各国通貨は強いドイツマルクに対して、弱い英ポンド、フレンチフラン、イタリアリラ、スペインペセタ、ポルトガルエスクード、ギリシャドラクマなどは利上げと介入で対応したが失敗した。トルコは介入行わず利上げだけで対応するという。弱い欧州通貨はユーロ通貨統合に参加することにより、通貨の安定を勝ち取った。トルコの先行きは不安だ。

(景気刺激策)
 エルドアン大統領はトルコ国家家族支援プログラムは総額350億リラの支援を提供しており、これらの決定が再び国民に還元されることを願い、プログラムの実施を継続することを決定した。
 また新しい経済チームは海外直接投資(FDI)の流入促進に取り組んでいる。投資と経常黒字を通じて経済成長を促進することに尽力する。

テクニカル分析(トルコリラ/円)

大統領後は下位で低迷、ただ5日線上向く

 日足、6月22日の政策金利決定までこじっかりしていたが、決定後は急落、2σ下限へ。6月22日-7月3日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。雲のはるか下。
 週足、2σ下限。6月5日週-12日週の上昇ラインを下抜く。6月19日週-26日週の下降ラインを上抜く。5週線、20週線下向き。
 月足、21年12月-23年5月の上昇ラインを下抜く。23年5月-6月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限下抜く。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。

トルコリラ見通し
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メルハバ

トルコ中銀議事録

・金利を15%に引き上げることは引き締め政策の第一歩
・インフレはさらなるコスト圧力に直面すると予想される
・インフレ見通しが大幅に改善するまで金融引締めプロセスは継続すると予想
・インフレ見通しは引き続き上昇
・インフレの影響は長期間続く
・中銀は5%の中期インフレ目標に基づいて政策金利を決定
・サービス部門の物価の急激な上昇を指摘した

情報提供元:FX湘南投資グループ
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