◉オンラインゲーム魅力〜中毒性を生む仕組み〜


オンラインゲームは、ファミコンやプレイステーションなどに代表される従来型のゲームと違い、インターネットを通して提供されるため運営側がゲームシステムを随時更新できるなどの特徴があります。

中でも、特筆するべきはネットワークを介したユーザー間の交流でしょう。
他のユーザーをゲームのシステムの一部として取り込むことで、従来の決められたプログラム通りにしか動かないゲームとは異なり、極めてバリエーションに富んだコンテンツを提供する事が可能となりました。

また、SNS依存症などの言葉に代表されるように、他人との関わりはある種の中毒症状を引き起こします。ユーザー間の交流は、継続的なサービスの利用に極めて有利に作用すると言われています。

参考: お勧め雑誌記事紹介〜週刊ダイヤモンド【富裕層の金と知恵】2/2〜

これらの特長により,オンラインゲームは娯楽コンテンツとしての一大分野を築くに至りました。


◉オンラインゲームのビジネスモデルの推移①アイテム課金モデルの登場


ラグナロクオンラインを始めとした2000年頃のオンラインゲームは、毎月決まった金額の支払いによりサービスが提供される定額課金制のゲームが中心的でした。
当時は、インターネット業界での企業の展開が今ほど多くはなく、個人が製作した無料のゲームが賑わっていた事もあり、新たなユーザーがゲームを始めるにあたって課金の存在は難点でした。

一方で、オンラインゲームはオンラインゲーム依存症と呼ばれる中毒ともいえる症状や、RMT(リアルマネートレード。ゲーム内でのアイテムと現実の通貨の取引を指す)が問題視され始めます。

そして、それらの問題が浮き彫りになるに伴いアイテム課金制度が隆盛し始めました。アイテム課金とは、基本的な利用料は無料のゲーム内でアイテムを有料で販売する課金形態です。
これは新規にゲームを始める際に料金が発生しないため、ゲーム開始のハードルが低く新規ユーザーの獲得に有利な形態です。一方、ユーザー間ではRMTが成立するほどレアアイテム(希少度の高いゲーム内のアイテム)に非常に高い価値を見い出されるため、定額課金に比べ利益率が遥かに高い事が明らかになっていきました。

アイテム課金のゲームに気圧される形で、定額課金制であるラグナロクオンラインを主力とするガンホーは一時衰退します。


◉オンラインゲームのビジネスモデルの推移②スマートフォンのインパクト


当初のオンラインゲームは、いずれもPC(それもかなりハイスペック)向けのコンテンツであり、顧客層はそれほど大きなものではありませんでした。
しかし、スマートフォンの流行により状況は一変します。

携帯端末のスペック向上に伴い、モバイル向けのオンラインゲームがスマートフォンの保有者層に広く普及したのです。またそのことに伴い、モバイル向けオンラインゲームの中核を担っていたDeNAやGREEは急成長を遂げます。ゲームに関心があまり強くない一般人向けのコンテンツという事もあって、これらの提供するモバイル向けゲームのシステムはシンプルなものが中心でした。
モバゲー、グリゲーなどに代表されるモバイル向けゲームの多くは、ゲーム性の高さよりはアイテムのコレクション性などを追求したものとなっています。アイテム課金による収益を極大化させるようなものと言えるでしょう。

ただ、このような経営方針には批判の声も多く、2012年5月にコンプリートガチャの規制ニュースをきっかけにモバイルゲーム向けの株が急落し連日のストップ安を記録します。「射幸心を煽る」という言い回しが一時期流行ったのを覚えている方も多いのではないでしょうか。
そして、奇しくも時を同じくして、パズル&ドラゴンズの流行を受けてガンホーの株価上昇に火がつき始め現在に至っています。