Booon(長崎市)は長崎大学発の新食糧開発ベンチャー。2021年に同大経済学部を卒業した橋爪海社長が2022年11月に、昆虫由来となる代替プロテインの開発・製造会社として立ち上げた。現在、取り組んでいるのは高騰する魚類養殖用の飼料を昆虫で代替する仕組みづくりだ。

昆虫飼料で漁業資源の保護を目指す

従来、水産養殖の飼料原料としては主に魚粉が使われてきたが、需要増によって国際価格が高騰。養殖事業者の経営を圧迫しているのに加えて、原料となるイワシなどの乱獲にもつながっており、水産資源保護の観点からも問題視されている。

そこでBooonでは魚粉の代わりとなる素材として、タンパク質が豊富な昆虫に注目。環境負荷が低く、低コストな養殖用飼料の開発に乗り出した。素材としてミルワームを活用している。ミルワームはゴミムシダマシなど甲虫類の幼虫。日本では主に生餌が必要な小鳥、爬虫類、両生類などの餌として使われている。

ミルワームは素人でも簡単に育てられるが、安定した大量飼育の手法は確立していない。同社ではコンテナサイズの飼育装置「ワークポッド」内に、ミルワームを育てるプラスチックケースを収容。カメラや温度センサーなどを設置し、ネットワーク経由で最適な育成密度や湿度、温度に管理する。ワークポッドの屋根には太陽光パネルを設置してシステム制御に必要な電力を供給し、二酸化炭素(CO₂)削減にも配慮した。

長崎大学からは情報データ科学部の小林透教授が画像による生育確認や温度・湿度管理などに対応したIT(情報技術)飼育システムを構築するほか、昆虫の生態に詳しい環境科学部の服部充准教授、海洋未来イノベーション機構長を務める征矢野清教授、海洋再生可能エネルギーを研究する工学部の坂口大作教授らが同社に協力する。

長崎大学生活協同組合とも提携し、売れ残りの弁当など食品残渣物をミルワームのエサに再利用する一方で、同社が製造した飼料で養殖したタイを食材として同生協に提供する。現在、魚粉の国際価格は1トン約25万円だが、ミルワーム飼料では同20万円での提供を目指す。環境に配慮した養殖魚飼料づくりだけに、関係者の期待も大きい。

文:M&A Online