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KDDIとNTTドコモの1.5倍近い営業利益

ソフトバンク < 9984 > の決算説明会が、11月4日(火)に開催された。米スプリントの業績低迷を受け、通期予想は1兆円から9,000億円へと下方修正されたものの、アリババの米上場の影響などから、上期の営業利益は5,607億円となっている。ソフトバンクは、KDDI < 9433 >とNTTドコモ < 9437 > の1.5倍近い営業利益を上げ、追随を許さず、独走態勢に入っている。


10年先を見据える目

ソフトバンクの好業績の裏には、常に先を見据えた積極的な投資戦略が見て取れる。ソフトバンクが、アリババに投資を開始したのは2000年2月と今から10年以上前のことである。まだ、日本の投資家が、中国に目を付ける前から積極的なリスクテイクを実施している。「中国を制するものが世界を制す」と言っていた孫正義社長、当時は中国に対して懐疑的な見解をする人々が多かった中、その成果としてソフトバンクのアリババに対する投資は、実に約880倍のリターンという成果を生み出している。

そして、今後の10年先を考えて、ソフトバンクが次にメインターゲットしている市場がインドである。2050年までに、中国とインドは、世界の2大経済圏へ成長すると見込んでいる。インドは、人口構成比でみても、24歳以下の若年層の割合が47%、25~64歳の割合が48%と非常に若く活力のある国である。

そこで、ソフトバンクが目を付けているのが、インドのイーコマース事業である。現状では2500億円規模とまだまだ魅力的な市場とは言いづらい規模ではあるものの、今後7年間でその規模は30倍の7.6兆円規模までに成長すると試算している。このようなインドの成長を見込んで、ソフトバンクは、『第二のアリババ』と位置づけてインドのイーコマース企業であるSnapdealに6.27億円ドルの投資を行い、筆頭株主となっている。


インフラの未整備や汚職の課題も

しかし、インドへの投資に対しては、懐疑的な見方もある。これまで、インド企業へ投資を行った日本企業がことごとく失敗してきた経験があるためである。比較的うまくいっているとされているのは、自動車のスズキ < 7269 > ぐらいであり、製薬の第一三共 < 4568 > やNTTドコモといった日本企業がことごとくインドでの投資を失敗させている。第一三共はインドのジェネリック医薬品の企業であったランバクシーを買収し、NTTドコモはジョイントベンチャーであるタタ・テレサービシズの設立を行った。いずれも、多数の要因があるものの、インド独自の問題に苦しんだ結果、インド市場からは退出している。要因の中にはインフラの未整備に加え、汚職や許認可に時間がかかる硬直的な官僚制度の問題が大きい。提出書類が多く、窓口も多岐に及び中小企業が中央官僚や州政府と対話するのは容易でなく、しかも州ごとに徴税基準や規制、認可手続きが異なる