総括
FX「ペソ円急落は日本の要因、夏の円高。対ドルでは高値更新」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.0-8.5
(ポイント)
*ペソ円急落もボリバン2σで下げ止まる
*急落は円高が原因
*ペソ円8.510で約8年半振りの高値をつけた後、急落
*13週連続週足陽線はならず
*対ドルでは今週も高値更新
*メキシコの状況が大きく変わったものではない
*物価は米国同様低下を続けている
*8月の政策金利は据え置きか
*経済指標はニアショアリングと郷里送金で好調
*AMLO大統領はペソ高称賛も、一部でデメリット論も出てきた
*対米貿易の金額が中国を抜いて世界一へ
*2Q・GDP拡大期待強まる
*23年の成長見通しも上方修正
*大統領選は2024年6月
*政府のインフレ率見通しはを2023年は3.2%から5.0%へ引き上げ
(ペソ円急落の要因)
ペソ円は、7月5日には2014年12月8日以来、約8年半振りの高値の8.510円をつけた。しかし、その後、8.142円まで急落し先週は13週ぶりに週足陰線となった。年初来では対円で21.88%高、対ドルで13.62%高と依然独歩高。株価指数は年初来11.93%高 。10年国債は9.0037%。
高値更新後の今回のペソ円の下落は、メキシコの状況が大きく変わったものではない。ペソは7月に入っても米ドルよりは強い。円の急騰による下落だ。夏の季節的な円買い需給に加え、急激に縮小する貿易赤字が円高の要因だ。日銀の金融政策(YCC)の調整観測も円を支えた。日本が貿易黒字に転じれば、ペソ円の上昇はより穏やかなものとなる。
(FRB0.25%利上げ、メキシコ据え置きの米墨金利差縮小観測も小さなペソ下落要因)
(引き続き消費者物価は低下)
6月の消費者物価は前年比5.06%上昇し、予想の5.02%をやや上回ったものの、2021年3月以来の低い伸びとなった。長い利上げサイクルで鈍化傾向が続いており、5カ月連続して低下した。金融引き締めによる影響が遅れて表れてきたことや、原材料価格下落、ここ数カ月のペソ相場回復で、インフレ率は急速に鈍化し続けている。
(8月の政策金利は)
中銀は8月の次回の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを続けるという見方が多い。一方、米国は7月26日のFOMCで0.25%利上げする予想だ。米国利上げ、メキシコ据え置きで両国間の金利差の縮小は、若干のペソ安に繋がるか。若干としたのはメキシコ11.25%、米国5.5%との金利差はまだ大きいからだ。
(他の経済指標は依然強い)
他の経済指標では、6月消費者信頼感指数は45.2。5月の44.5から改善した。6月自動車輸出は前年比20.5%増で5月の14.2%を上回った。5月鉱工業生産も前年比3.9%増で4月の0.7%増を上回った。
指標の強さ、郷里送金の伸び、ニアショアリングの進展が支えている構造は変わらない。
(ペソ高デメリットの声も)
超円高時代にも円高のデメリット論が多かったが、メキシコの現地紙でもそれを説く声が聞こえてきた。通貨高は輸出競争力を削ぐという一般的なものだ。また郷里送金の手取りも減ってしまう。まだ大きな声とはなっていない。超円高と異なり�歴史的には超ペソ高ではないからだ。
AMLO大統領はペソ高は政策運営の成功を示していると強調し、ペソ高のデメリットにはまだ言及していない。この論調はもう少し様子見したい。
テクニカル分析
先週は13週ぶり週足陰線、急落で日足は2σ下限へ
日足、7月3日-5日の上昇ラインを下に切って急落。ボリバン2σ下限で下落一服。
5日線下向き20日線を下抜く。20日線もなだらかなに。6月13日-7月13日の上昇ラインがサポート。7月12日-13日の下降ラインを上抜くか。7月11日-12日の下降ラインがが上値抵抗。
週足、先週は13週ぶり週足陰線。ボリバン2σ上限から反落。5週線、20週線は依然上向き。6月19日週-26日週の上昇ラインは下抜く。サポート強いて言えばボリバン中位か、4月10日週-24日週のサポートラインか。
月足、7月はボリバン2σ上限から小反落。5月-6月の上昇ラインが耐えきれるか。5か月、20か月線上向き。
年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
メキシコが中国に代わって米国の最大の貿易相手国へ
メキシコが中国に代わって米国の最大の貿易相手国となった――これは世界経済がいかに急速に変化しているかを示している。米国とメキシコ間の貿易は、今年の最初の4か月で2,630億ドルに達した。
これにより、パンデミックが始まって以来、メキシコが中国とカナダを抜き、最大の貿易相手国となった。中国は2010年代の大部分でトップのパートナーであり、パンデミックの初期にも再びトップだった。