M&A専門業者をめぐる買収の動きが活発だ。今年に入り半年足らずで、4件(適時開示ベース)を数え、過去にないハイペースで推移している。コロナ禍の収束に伴い、一段の拡大が見込まれるM&A市場への新規参入が目立つ。

GA、エキサイトがM&A事業に参入

不動産投資サイトを運営するGA technologies<3491>は6月14日、M&A仲介のスピカコンサルティング(東京都港区)を傘下に収めると発表した。今年3月に参入したM&A仲介事業の成長加速につなげるのが狙い。スピカコンサルティングは2022年8月に設立し、従業員は9人。みずほ銀行、日本M&Aセンターなどで経験を積んだ中原駿男氏が社長を務める。

GAは主力である不動産領域とM&A領域のビジネスモデルが類似することに着目。具体的には取扱金額が高額で、案件ごとに取引価格が異なる一物一価、高度な専門性が要求されるなど共通点が多く、不動産領域で構築してきた仕組みを横展開できると判断した。

また、M&Aを活用して会社や事業を売却したオーナーに不動産や金融商品への投資を提案し、資産形成のサポートを行うことなどで既存事業との相乗効果を見込む。

6月はほかに、もう1件あった。エキサイトホールディングス<5571>がIT業界に特化したM&A業務を手がけるM&A BASE(東京都中央区。2019年設立)の買収を発表した。事業ポートフォリオ強化の一環として、M&Aアドバイザリー(助言)・仲介市場に参入する。

エキサイトは検索エンジンサービス、ポータルサイトなどを運営するインターネット企業。米エキサイトの日本法人として1997年に設立し、2004年にジャスダック市場に上場。2018年に上場をいったん廃止した後、今年4月に東証スタンダード市場に再上場した。

前年のゼロから、今年すでに4件

M&A専門業者は仲介会社とアドバイザリー会社と大別される。仲介会社は売り手と買い手と契約して取引を進めるのに対し、アドバイザリー会社は売り手か買い手のいずれか一方と契約して交渉にあたる違いがある。中小規模のM&Aでは仲介会社が主体となることが多い。

適時開示情報をもとにM&A専門業者がターゲットとなるM&A案件を調べたところ、過去10年ではおおむね年間1~2件で推移している。コロナ禍の前後をみると、2019年1件→20年2件→21年件→22年ゼロといった具合。ところが、2023年は年明けからすでに4件に上る。

1月に、日本アジア投資<8518>がM&Aアドバイザリーのアジアンマーケット企画(東京都千代田区)の買収を発表。同じく1月には、シグマクシス・ホールディングス<6088>はM&Aアドバイザリー子会社のSXA(東京都港区)の全株式をSXA経営陣に譲渡した。SXAは2014年に買収したT‐Modelインベストメントを前身とするが、グループ内の相乗効果が限定的だったという。

中小企業庁は2021年度にM&A支援機関登録制度をスタート。その登録数は2562件(2023年5月15日時点)。このうち銀行や証券会社などを除く専門業者数は1092件で、仲介666件、アドバイザリー会社426件となっている。

M&A専門業者数はこの10年で4~5倍に増えたとされる。中小企業の後継者不在に伴い、M&Aを活用した第三者承継を推進する動きが活発化していることが背景にある。こうした中、当のM&A専業業者をターゲットとするM&Aも盛り上がりつつあるようだ。

◎M&A専門業者をターゲットする近年の主なM&A(HDはホールディングスの略)

2016年 M&Aキャピタルパートナーズ、M&A仲介のレコフを買収
2017年 東海東京証券フィナンシャル・HD、M&Aアドバイザリーのピナクル(現ピナクルITソリューション)を買収
2018年 シンクロ・フード、飲食業界向けM&A仲介のウィットを買収
2019年 識学、TIGALAの月額制M&A法人コンサルティング事業を買収
2020年 エン・ジャパン、M&Aマッチングサイト事業をピナクルに売却
2021年 米フーリハン・ローキー、M&Aアドバイザリー国内最大手のGCAを買収
2023年 シグマクシス・HD、M&Aアドバイザリー子会社のSXA(現COHEN PARTNERS)を経営陣に売却
日本アジア投資、M&Aアドバイザリーのアジアンマーケット企画を買収
エキサイトHD、M&A業務のM&A BASEを買収
GA technologies、M&A仲介のスピカコンサルティングを買収

文:M&A Online