カームテクノロジーの事例

カームテクノロジーの理念は、さまざまなテクノロジー製品やサービスに取り入れられている。ここでは、具体的な例としてロボット掃除機・ルンバやゲームのコントローラ、ポップアップなどを見ていこう。

ロボット掃除機・ルンバ

ロボット掃除機のルンバは、カームテクノロジーの一例だ。ルンバは、ユーザーがあまり介入することなく自動的に部屋を清掃する。これによりユーザーは、掃除という作業から解放され、その時間を他の有意義な活動に使うことが可能だ。

ゲームのコントローラ

ゲームのコントローラは、ユーザーが直感的に操作できゲームとの没入感を高める。ここでもテクノロジーは、ユーザーの注意を最小限に抑えつつ情報を効果的に伝達していることが理解できるだろう。

ポップアップ

Webサイトのポップアップ通知もまたカームテクノロジーの一例だ。適切に設計されたポップアップは、ユーザーのブラウジング体験を妨げず、重要な情報を効果的に伝達する。

カームテクノロジー関連企業・京都のIoTスタートアップ「mui Lab」

カームテクノロジーを採用し、革新的な製品とサービスを開発している企業も増えてきている。その一つが京都のIoTスタートアップ「mui Lab」だ。カームテクノロジーを語る際よく挙げられる企業としてチェックしておこう。mui Lab社の強みは、日本文化を取り入れたカームテクノロジーによる情報技術のデザイン性向上だ。

mui Labには、多様な人材が集っており、元Appleのデザイン責任者や元Sonyのデザイン責任者、そして「カームテクノロジー」の著者アンバー・ケース氏などがアドバイザーとして関わっている。代表的な製品は、mui Labとジブンハウスが共同で開発した現代のテクノロジーと人間の生活、そして自然を統合させることを目指した家「muihaus.」だ。

この家では、人々が互いの存在やつながりを感じられるような心地よい生活スタイルや居場所作りが実現されている。「muihaus.」の大きな特徴は、以下の3点だ。

  • 家族の心地よいつながりを感じる間取りとデザイン
  • 「柱の記憶」による家族の思い出の保存と再生
  • 「muiボード」による自然なアシストを利用した心身にストレスのない睡眠・起床

「muihaus.」に用いられているカームテクノロジーは、「柱の記憶」と呼ばれる特別なIoTデバイスや「muiボード」だ。「柱の記憶」は家族が書き込んだ落書きや子どもの身長などのデータをデジタル化して保存し、家族が思い出として懐かしむための仕組みである。「muiボード」は、スマートホーム機器と同様にリモコンとして照明やエアコン、音楽スピーカーなどを操作可能だ。

さらにインターネットに接続して天気やカレンダー情報を入手したり、ラジオを聴いたりすることもできる。特に注目すべきは、季節の歌を送信する機能や自然に起床や就寝を促す光源調整機能を持っている点だ。mui Labは、世界最大のテクノロジー展示会CESで2019年と2020年の2年連続で評価を受けている。