南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「6月に続き7月も最強通貨に浮上、投資家とフィッチが評価」南アランド見通し

「通貨10位、株価13位」
「予想レンジ 南アランド円7.6-8.1」

(ポイント)
*6月月間は最強通貨、7月も最強通貨へ浮上
*投資家、フィッチが南アを再評価
*インフレ鈍化で政策金利据え置き
*8月BIRICS会議にプーチン氏出席せず
*5月の製造業生産が堅調
*停電は改善
*ズマ前大統領収監で支持者暴動への不安あり
*中国、オランダ、デンマークが電力問題で支援
*対米関係修復出来るか
*今年は0.3%の小幅成長か 電力不足が不透明要因
*1Qはリセッションを回避
*難題(停電、グレーリスト入り、中国・ロシアへの接近で対米関係悪化)
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国

(6月に続き7月もここまで最強通貨)
 6月に続き7月もここまで最強通貨を維持している。インベストメントバンクが6月に割安感から南ア国債とランドを買い推奨してからの流れは続いている。

(政策が健全化)
政策運営も健全化の方向にあり、格付け会社フィッチも財政運営を評価した。
フィッチは、南アの信用格付けについて、「BB-」に据え置いた。見通しも「安定的」としている。
フィッチは、南アの格付けは、国内総生産(GDP)に対する高水準の債務残高や「緩やかな」財政再建に圧迫されているが、「期間が長く、大半が自国通貨建てである有利な債務構造と信頼できる金融政策の枠組みに支えられている」と指摘した。

(インフレ鈍化で政策金利を据え置き)
 南ア中銀は政策金利を8.25%に据え置いた。据え置きは2021年11月以来初めて。クガニャゴ中銀総裁は利上げ停止は引き締めサイクルの終了を意味しないと強調した。
中銀はインフレ見通しが低下し、経済状況が改善する中、金利据え置きを決定。ただ決定は全会一致ではなく、金融政策委員5人の委員のうち3人が据え置きを主張したのに対し、2人が0.25%の利上げを主張した。総裁は「今後の政策決定は引き続きデータとインフレ見通しに対するリスクに依存する」と述べた。
6月の消費者物価が、前年同月比の伸び率が5.4%と、インフレターゲットの3-6%の範囲内に収まったことも据え置きに影響したのだろう。 中銀はインフレ率は今年は平均6.0%で推移すると予測。5月予測の6.2%から低下した。今年の経済成長率は0.4%と予想。従来の0.3%から若干上方修正した。 インフレが収まり成長が改善すると、6月の割安感からの買い手も勢いが増す。
中銀は声明で「南アフリカの経済状況は改善している」と表明。ただ、停電や物流のボトルネックが続くほか、食料に対する価格圧力がインフレリスクになる中、長期見通しはなお不透明との見方も示した。

(状況は好転)
ファンドマネージャーらは、南ア経済、インフレ、負荷軽減は前向きな方向に向かっていると信じている。
 BOAが発表した最新の南アのファンドマネージャー調査によると、南アが景気後退に陥る懸念は大幅に減少しており、経済見通しは前向きに転じている。
 7月に14人のファンドマネジャーから回答を得たこの調査によると、回答者の21%が今後12カ月で経済が強化されると予想しており、これは過去15カ月で最高の数値となった。

全体として、回答者の50% が今後 12 か月間で経済が若干強くなると予想しており、21% は現状維持と予想している。

経済がやや弱まるとの回答は、6月の50%から7月には21%に減少した。一方、景気が弱まると予想した回答者の数は17%% から7% に減少し。

さらに、今後 12 か月のインフレ率が低下すると予想する回答者の数は増加した。
今後12カ月間のインフレ率が大幅に低下すると予想する回答者の数も、6月の17%から7月には36%に増加した。

負荷制限の見通しも改善しており、ファンドマネジャーの間で送電網が完全に崩壊するのではないかとの懸念が後退している。