ロボット関連銘柄の特徴
世界の産業用ロボットの稼働台数は2001年から2011年の10年間で1.5倍に拡大。2011年は世界で115万台が稼働している。2011年の世界販売台数は166,028台。このうち「自動車産業用途」が36%、「電気・電子産業用途」が22.7%で、この2分野が過半を占めている。 一方、日本の稼働台数は2001年の約36万台から2011年は約31万台に縮小。背景には我が国製造業の生産拠点の海外移転が進んでいる影響がある。
稼働台数の伸びが著しいのは、アジア、韓国、中国。とくに中国は1,630台(2001年)から74,317台(2011年)に大幅増加。今後も、中国の人件費 高騰を背景に益々急拡大していくと予想され、産業用ロボットの輸出への依存度が著しく高まっている。
2011年の「自動車産業用途」では中国が世界第1位で、日本はドイツ、アメリカに次ぎ第4位。 「電気・電子産業用途」の第1位は韓国、 「金属・機械産業用途」は中国が第1位となっていて、この点からも日本国内の生産力低下がみてとれる。しかし、我が国は世界最先端のロボット技術力を有しているので、今後は産業用以外の医療、生活、福祉、防災・復興支援等の各種サービス分野において世界に先駆けたロボットの開発・実用化が期待されている。
ロボット関連銘柄
魅力①: 中国、アジア工場への導入増加
現在、産業用ロボットは自動車生産(溶接、塗装等)ラインに多く導入されているが、生産の現地化進展とともに中国、アジアの工場への導入が急増中である。その要因の一つとして現地作業者の人件費高騰に対処するために従来、手作業で行っていた作業をロボットに置き換えて飛躍的に生産性を高めることがあり、今後、益々海外工場へのロボット導入は進むであろう。
魅力②: 活用業種が多方面に拡大
産業用ロボットの用途は自動車と電気・電子分野から多様化しつつあり、食品・医薬品・化粧品の物流分野を中心に活用の裾野が拡大中。一方、経済産業省とNEDOが平成22年4月に公表した「ロボットの将来市場予測」によれば、2015年に1.6兆円(うち製造分野が1兆円)の市場が2035年には9.7兆円(2015年比6倍)まで成長すると予測しており、その中で今後大きな成長が期待される分野としてサービス分野(同13倍)を挙げている。
魅力③: 国内における活躍分野の拡がり
現在のロボット活躍分野は自動車と電気・電子分野の製造業が大きな比率を占めるが、今後は非製造業での導入が進む。一つは、我が国では65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合が25%を越える時代を迎えたため、この高齢化社会時代における医療・介護・福祉分野での各種ロボット導入である。もう一つは東日本大震災を機に注目された「レスキューロボット」や「防災モニタリングロボット」等への拡大である。
ロボット関連銘柄のリスク
産業用ロボットを生産ラインに導入する場合、単にロボット(ハード) のみを導入すれば良いのではなく、周辺装置等も含めた工程全体のシステム設計を行う必要がある。これを担うのがシステムインテグレータでありIT業界でいうところのSIer的な存在である。この機能を欧米企業との協業も視野に入れて如何に早くグローバル展開できるかがビジネス展開の鍵である。
産業用ロボット関連銘柄
①不二越<6474>
多彩な事業・技術をあわせ持つ総合機械メーカーという特長を活かし、自動車や産業機械、エネルギー・インフラストラクチャー分野などへ多様なソリューションを提供している。
②安川電機<6506>
「モーションコントロール」「ロボット」「システムエンジニアリング」「情報」の事業領域を持ち、お客様の抱える課題を解決する“トータルソリューションカンパニー”として、産業と社会の発展に貢献している。
③ダイヘン<6622>
変圧器、溶接機、ロボット、半導体製造装置用の高周波電源、太陽光発電用パワーコンディショナなど、時代の要請に応えた新しい価値創造にチャレンジし、電力インフラやものづくりを支えている。
④パナソニック<6752>
部品から家庭用電子機器、電化製品、FA機器、情報通信機器、および住宅関連機器等に至るまでの生産、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカー。
⑤ファナック<6954>
昭和31年にNCとサーボ機構の開発を開始以来、NCの研究開発を経営の中心に据えてより優れた信頼される商品をめざして開発を進めている。すべての工場はロボット化・自動化している。
⑥川崎重工業<7012>
「Kawasaki事業ビジョン2020」を策定。陸・海・空の輸送システム、エネルギー環境、産業機器の3事業分野を中心に、高度な技術を活用した優れた製品・サービスと、これらを組み合わせたシステムによって、お客様・社会のさまざまな課題にソリューションを提供していく。