外為どっとコム トゥデイ
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。

作成日時 :2023年7月31日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼28日(金)の為替相場
(1):日銀YCC微修正でドル円乱高下
(2):植田日銀総裁 定例会見
(3):独4-6月期GDPは予想を下回る
(4):米PCE伸びが鈍化
(5):リスクオンの円売り

▼28日(金)の株・債券・商品市場

▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:落ち着きどころが定まらない/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント

28日(金)の為替相場

外為どっとコム トゥデイ
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期間:28日(金)午前6時10分~29日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム

(1):日銀YCC微修正でドル円乱高下

日銀はこの日まで開いた金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用を柔軟化すると発表。10年債利回りの許容変動幅について0%を基準に±0.5%を「目途」としつつも、指値オペの水準を従来の0.5%から1.0%に引き上げた。市場では、YCC修正としては小粒で想定内との見方や、事実上の金融緩和修正で政策正常化の第一歩との見方などが交錯。ドル/円は、141.00円台に上昇したのち138.00円台に急落するなど、短時間のうちに約3円の値幅で乱高下した。なお、日銀は同時に発表した展望リポートで2023年度の物価見通しを4月時点の1.8%から2.5%へ大幅に引き上げた一方、24年度については2.0%から1.9%へ小幅に引き下げた。25年度の見通しは1.6%で維持した。

(2):植田日銀総裁 定例会見

植田日銀総裁は定例会見で、YCCの柔軟化について「金融政策の正常化へ歩み出すという動きではなく、YCCの持続性を高める動き」と説明。緩和の縮小ではなく、市場機能低下などの副作用を減じる措置だと強調した。なお、総裁は副作用について、今回は(本来コントロール対象ではない)為替市場のボラティリティも含めて考えたと発言。円安抑制も狙いのひとつであることを認めた。

(3):独4-6月期GDPは予想を下回る

独4-6月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比±0.0%と市場予想(+0.1%)を下回った。ただ、1-3月期GDPは前期比-0.3%から-0.1%へ上方修正された。その後に発表された独7月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+6.2%と予想通りに6月(+6.4%)からやや鈍化した。

(4):米PCE伸びが鈍化

米6月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+3.0%と予想通りに5月(+3.8%)から鈍化。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターも前年比+4.1%と5月(+4.6%)から伸びが縮小した(予想+4.2%)。同時に発表された米4-6月期雇用コスト指数は前期比+1.0%と市場予想(+1.1%)に届かず、1-3月期(+1.2%)から伸びが鈍化した。

(5):リスクオンの円売り

インフレ指標の鈍化を受けた米経済のソフトランディング期待で米国株が上昇する中、日銀のYCC柔軟化を受けて円買いに傾いた持ち高を削減する短期筋の動きも加わり、ドル/円やクロス円が上昇した。