総括
FX「6月経常収支はサプライズの黒字となるか。さらなるアクションの効果は」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価3位)
予想レンジ トルコリラ/円4.7-5.7
(ポイント)
*6月経常収支は黒字化するか
*政府は金輸入の削減を狙う
*7月消費者物価上昇
*増税も物価押し上げ
*7月貿易赤字拡大
*財務相が海外投資家と会談
*今週は6月失業率、鉱工業生産、経常収支、小売売上の発表
*政策金利は17.25%でもマイナスの実質金利
*IMFは23年の成長見通しを小幅引き上げ
*中銀総裁、副総裁はみなアメリカ帰り
*依然リラ安放置。相場は市場に任せる。介入せず
*今年のインフレ見通しは58%
*エルドアン大統領はEUに加盟したい
*新財務大臣は合理的な政策に変わると主張、経常収支改善も目標
*今年は建国100周年
(物価急上昇、貿易赤字拡大、金融引き締め効果なし)
円安で小康状態にあったリラ円も8月は世界の通貨がドル高円高でスタートしたために、また弱含み推移している。
(6月経常収支はサプライズの黒字となるか)
6月の経常収支は黒字予想で4.26億ドル。予想幅は11億ドルの黒字から10億ドルの赤字まで幅があった。黒字になれば21年10月以来。
6月貿易赤字が前年比37.3%減の51.6億ドルとなったこともある。エネルギー輸入料金の低下や高い観光収入、そして選挙後に始まった金融引き締めなどの要因により、6月の経常収支は大幅に改善して黒字になると予想されている(ただ7月貿易赤字はさらに拡大するので黒字が定着するのではない)。
(金輸入削減で経常収支改善を計画)
政府は、経常収支への未加工金の輸入による悪影響を抑制し、国内の生産と輸出を促進するため、未加工の金の輸入に割り当てを課すことを計画している。
この措置は、原金の輸入増加が対外貿易と国際収支に及ぼす悪影響に対処するために財務省が求めてきた一連の措置の最新のものとなる。立法作業は財務省と通商省によって間もなく完了する。
(消費者物価上昇)
7月の消費者物価は前月比9.49%上昇と、予想をやや上回った。増税やリラ急落が背景。 予想は9.1%上昇だった。6月は3.92%上昇。前年比では47.83%上昇。予想は47.3%上昇だった。6月は38.21%上昇と、8カ月連続で鈍化していた。
ホテル・カフェ・レストラン部門が前年比82.6%上昇。医療部門は76%近く上昇。食品・非アルコール飲料部門は60.7%上昇。新中銀総裁での金融引き締めも小幅で効果がない。
(増税も物価高の要因)
政府は付加価値税(VAT)、法人税、燃料の特別消費税(OTV)など複数の税率を引き上げており、インフレ率の加速は予想されていた。
(貿易赤字拡大)
7月貿易赤字は123.9億ドルで前月の51.6億ドルから拡大した。輸出は製造業が牽引し、8.4%増の201億ドルとなった。一方、輸入は主に金の購入増加により、11.1%増の325億ドルとなった。輸出相手国トップはドイツで出荷額は17億ドル相当、輸入相手国トップは中国で購入額は46億ドルとなった。2023年1~7月を考慮すると、貿易赤字は前年比18.2%増の736億ドルとなった。
(今週は指標盛りだくさん)
今週は6月失業率、鉱工業生産、経常収支、小売売上の発表がある。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
下げ止まる。スポット、5日、20日線がほぼ同じ水準
日足、下げ止まっていたが、20日線も上抜けず膠着。5日線、20日線は下向き。
8月4日-7日の上昇ラインがサポート。8月3日-7日の下降ラインが上値抵抗。雲のはるか下。
週足、まことに小幅だが2週連続陽線。7月17日週-24日週の上昇ラインがサポート。7月10日週-31日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、2σ下限下抜く。21年12月-23年5月の上昇ラインを下抜く。23年6月-7月の下降ラインが上値抵抗。
年足、8年連続陰線。その間52円から5円台へ沈む。今年は僅かに陽転していたが3月から陰転。
メルハバ
海外投資家のトルコ投資を呼び込めるか
シムシェキ財務相は先週金曜日に海外投資家らと非公開の会談を行った。トルコ経済フォーラムの一環としてJPモルガンが主催する会議に出席し、トルコ経済についてプレゼンテーションを行い、投資家グループと個別に会合した
参加者はブラックロック、JPモルガン、シンガポールのウェルスファンド、フランクリン・テンプルトンなど。エルカン中銀総裁もプレゼンテーションを行った。