経営者がメタ認知を学ぶメリット

メタ認知は人間関係を円滑にし、仕事をスムーズに進める上で非常に重要な能力だ。続いては、経営者がメタ認知を学ぶメリットを2つの視点から見ていこう。

冷静な経営判断ができる

経営者は、日頃から自然とメタ認知ができていることが多い。そのため、改めて言うまでもないかもしれないが、経営者自身がメタ認知を学ぶことには次のようなメリットがある。

まず、自分自身を冷静に見つめて客観的にとらえられるようになり、自分の感情や行動をコントロールしやすくなる。また、従業員や取引先と円滑にコミュニケーションをとれるようになり、豊富な人脈を築くことができる。

さらに、会社が危機に瀕したときも、多角的な視点から課題解決に向けて考え行動を起こせる。

人材育成やマネジメントに生かせる

経営者がメタ認知を意識することにより、人材育成やマネジメントに生かせるのがメリットだ。

たとえば、従業員にメタ認知の考え方を伝える講義や研修をしたり、役員にメタ認知の考え方を伝えて人材育成に生かすよう促したりする方法が考えられる。

従業員のメタ認知能力を向上させられれば、社内の人間関係が良好になり、離職率が下がるといった効果が期待できる。また、コミュニケーションが活発化すれば連携をとりやすくなり、効率化することもあるだろう。さらに、業務の改善策が積極的に出されるようになり、生産性が向上するかもしれない。

メタ認知を高めるための2ステップ

続いては、メタ認知を高める2つの方法について解説する。

セルフモニタリング

セルフモニタリングとは、自分の認知を観察することだ。「今自分はどのように感じているか、考えているか」を日頃から意識し、心の中で言語化してみよう。「この考え方で間違っていないか」と自分の考えを振り返り、点検する習慣をつけるのも効果的だ。

コントロール

コントロールとは、セルフモニタリングの結果を受けて、どのように行動を変えるかということだ。

たとえばセルフモニタリングで「今、自分は怒っているようだ」と気づいたなら、冷静な判断ができない可能性があるので、一旦席を外し怒りをしずめてからもう一度考えたり話したりするといいだろう。

また、セルフモニタリングで「自分の考え方がかたよっているかもしれない」と感じたときは、さまざまな人に意見を求めてみるといいかもしれない。いろいろな人の意見を知ることで、自分一人でも「こういう見方ができるかもしれない」と気づけるようになることもある。

自分を観察して行動し、その結果をまた観察する。このように、セルフモニタリングとコントロールを繰り返し行うことで、メタ認知の能力を高めることができる。