牛丼店「すき家」を展開するゼンショーホールディングス<7550>が2023年8月10日発表した2024年3月期第1四半期決算によると、「すき家」事業の営業利益が急増した。

同社はこれまで牛丼部門の利益は公表していなかったが、2024年3月期第1四半期から決算短信に「グローバルすき家」として営業利益の公表を始めた。

それによると、日本と海外を合わせたグローバルのすき家の営業利益は37億900万円で、前年同期に比べ2396.3%増となった。売上高は616億7100万円で、前年同期より24.5%増えた。

同社では、日本国内で「明太マヨチーズ牛丼」「めかぶオクラ牛丼」などを、中国で「菜の花ゴマダレ牛丼」「ぴり辛四季豆牛丼」などを販売したこと、さらに期中に18店舗出店し、14店舗退店した結果、店舗数が2617店舗(国内1944店舗、海外673店舗)になったことなどを公表。これら取り組みに加え既存店の売り上げが前年同期よりも19.3%伸びたことなどが大幅増収増益につながったとしている。

吉野家、松屋も回復傾向

牛丼店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス<9861>の2024年2月期第1四半期決算によると、「吉野家」部門の営業利益は15億7300万円で、前年同期より6.0%増えた。売上高は296億6600万円で、同6.9%の増加だった。

同社は海外部門を別に集計しており、同部門は11.2%の増収、139.5%の営業増益だった。このため海外部門の業績数字を加えた「吉野家」全体の売上高と営業利益は国内だけの数字よりも上振れする可能性が高い。

牛めし店「松屋」などを展開する松屋フーズホールディングス<9887>の2024年3月期第1四半期決算によると、営業損益は3800万円の赤字だった。前年同期が2億6800万円の赤字だったため、コロナ禍からの回復が見られるとしている。

売上高は281億円で、前年同期よりも12.6%増加した。既存店の売り上げが前年同期を上回ったのに加え、新規出店による売上増加分が寄与し、二けたの増収となった。

海外比率の差が一因か

外食産業はコロナ禍の影響で厳しい状況にある。行動規制などによって人流が抑制されたことに加え、原材料の高騰や人件費、物流費の上昇などもあり、利益が出にくい環境が続いている。

コロナ禍からの回復は海外の方が早いため、海外比率の高い企業ほど業績が好転する傾向が見られる。すき家は店舗数で見ると海外比率は25%ほどに達する。吉野家ホールディングスの全社の海外比率は14%ほど。松屋は1220店のうち海外店は13店で全体の1%ほどと低い。

「すき家」「吉野家」「松屋」の第1四半期は、営業利益を大きく伸ばした「すき家」の一人勝ちといってよさそうだ。

文:M&A Online