働き方改革による時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されるようになってきた。中小企業でも社員が残業できる時間は限られ、経営者は社員の健康への配慮や生産性向上への取り組みの優先度が高まっている。
本記事では、中小企業の残業時間が減らない理由や、中小企業経営者にとって参考となる残業時間の削減方法などについて解説する。
目次
中小企業の残業時間が減らない理由は?
2022年8月に厚生労働省が発表した「労働時間制度の現状等について」によると、総実労働時間はほぼ継続的に減少している。しかし働き方改革の施行以降、時間外労働の上限規制の違反事業者数は増加しており、2019年の92者に対して2021年は1,644者だった。
中小企業の残業時間が減らないのには、どういった理由があるのだろうか。
そもそも残業時間の削減はなぜやるのか?
残業時間の削減が重要である大きな理由は、働き方改革への対応が必須だからだ。
働き方改革は、労働環境の改善や社員の健康維持、ワークライフバランスの向上などを目指し、2019年4月から施行されている。
2024年からは一部の業界への猶予期間が終了し、全ての業種に対して時間外労働の上限規制が適用される。法律で定められた時間外労働を遵守できなければ、罰金刑を科せられるかもしれない。適切な労働環境の整備と残業時間の削減は、法的なリスクを回避するためにも重要だ。
残業時間の削減は、労働環境の改善やコンプライアンスの遵守、社員の健康と生産性向上を促進するために必要な取り組みであり、中小企業経営者は残業時間の削減を図らなければならない。
中小企業は事業規模が小さく人員が少ない
中小企業は大企業に比べて事業規模が小さく、社員数も限られている。限られた人員で多岐にわたる業務を遂行しながら収益を上げなければならないため、個々人の業務負荷が高まり、残業をせざるを得ない状況が生じていると考えられる。
人手不足で社員の業務負荷が大きい
少子高齢化による労働力の減少により、中小企業も新規社員の採用が難しい状況が続いている。採用不振による人手不足の状況では既存の社員の頑張りに頼らざるを得ず、残業が増加するリスクが高まっている。