本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

10万円など元手は限られても増やしていくことは可能です。本稿では、10万円の元手を守りつつ増やしていけるようなローリスク~ミドルリスクの資産運用を紹介します。記事の前半では商品・サービスの特徴やメリット・デメリット、後半では実際に資産運用を始める方法を解説します。

目次

  1. 10万円の元手を増やす資産運用6選 メリット・デメリットを比較
  2. 10万円の元手を増やす資産運用の始め方
  3. まずは、10万円の元手を増やすスタンスを決めよう

10万円の元手を増やす資産運用6選 メリット・デメリットを比較

10万円の元手を増やす資産運用6選!利回りが高いのはどれ?
(画像=Dilok/stock.adobe.com)

10万円の元手を守りつつ増やしていける主な資産運用の商品・サービスは、次の6つが考えられます。 利回りの目安が高いのは、不動産クラウドファンディング(約3~10%)、ロボアドバイザー(約4~10%)などです。なお、利回りについてはあくまでも目安です。

資産運用利回りの目安(年率)最低購入金額元本割れリスク
株式投資2%台前半
※プライム市場の配当金利回り
数百円~数千円
※単元未満株含む
あり
投資信託約3~10%100円~あり
NISA
(株式投資や投資信託との組み合わせのため記載なし)
不動産クラウドファンディング約3~10%1万円~あり
※優先劣後方式で一部守られる
ロボアドバイザー約4~10%
※大手4社のリスク水準中
100円~15万円あり
個人国債変動10年:0.43%
固定5年:0.21%
固定3年:0.05%
1万円~基本的にはなし
※国債の利回りは2023年9月21日時点の情報です。購入の際は最新情報をご確認ください。
※国債以外の商品やサービスは、元本割れの可能性があります。ご自身の判断と責任に基づいて慎重に運用をしてください。
※国債も厳密には日本が破たんした場合は元本割れします。また、新窓販国債の場合は途中で売却すると元本割れする可能性があります。

それぞれの特徴、メリット・デメリット、選択ポイントを確認しましょう。

1.株式投資:10万円の元手でも単元未満株で売買できる

・株式投資とはどんな資産運用?
株式投資とは、上場企業の株式を購入し、値上がり益や配当金で元手を増やす資産運用です。通常、株式は100株単位で売買されているため、購入するにはまとまったお金が必要になります。ただ近年は、1株単位などで売買(単元未満株)できる証券会社も多いため、10万円の元手でも幅広い銘柄を購入して元手を増やすことは期待できるでしょう。

[メリット]
・3種類のリターン(値上がり益、配当金、株主優待)がある
・値上がり益により短期間で元手を大きく増やすことも可能
・流動性が高い(売買しやすい)

[デメリット]
・企業が倒産すると元手を失う可能性がある
・不祥事や経営不振で株価が急落することがある
・単元未満株の取引は通常取引に比べて手数料が高いケースが多い(※手数料ゼロのサービスもあり)

2.投資信託:分散投資でリスクを抑えながら運用できる

・投資信託とはどんな資産運用?
投資信託とは、金融のプロが大勢の投資家からお金を集めて各ファンドのテーマに沿った分散投資で運用する仕組みです。投資家は、値上がり益と分配金で元手を増やすことが期待できます。通常、投資信託は1口あたりの金額で取引されますが、100円単位で取引できる証券会社もあるため、10万円の元手を増やしたい人とも相性がよいでしょう。

[メリット]
・10万円の元手など少額投資でも分散投資ができる
・運用の手間がかからない(プロに任せられる)

[デメリット]
・銘柄が多く、どれを選んでよいか迷いやすい
・銘柄によってはハイリスクな(値動きが激しい)銘柄もある

3.NISA:10万円の元手を非課税で効率的に増やせる

・NISAとはどんな資産運用?
NISAとは、ここまで紹介してきた株式投資や投資信託と組み合わせることで運用効率を高められる国の少額投資非課税制度です。通常、株式投資や投資信託で値上がり益や配当金などを得ると20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかりますが、NISA口座(非課税口座)を通して買い付けた場合は非課税となります。

[メリット]
・株式や投資信託の売却益や配当金、分配金などが非課税になる
・2024年の新制度スタートにより投資期間が無期限で利用できる

[デメリット]
・10万円の元手だとNISAの投資枠を活用しきれない
・損失が発生しても3年間の繰越控除が使えない
・課税口座との損益通算ができない

4.不動産クラウドファンディング:1万円から投資が可能。10万円の元手を増やすのにうってつけ

・不動産クラウドファンディングとはどんな資産運用
不動産クラウドファンディングの仕組み自体は、投資信託と似ています。大勢の投資家からのお金を集めて不動産のプロが運用し、その利益から分配金を還元するという部分は、投資信託との共通点です。

ただし投資信託は、株式や債券などでの運用が多いのに対し、不動産クラウドファンディングは賃貸物件や宿泊施設などで運用を行います。大半の不動産クラウドファンディングでは、1口1万円から投資ができるため、10万円の元手を増やすのにはうってつけの資産運用です。

[メリット]
・他の投資方法よりも高利回り(目安:約3~10%)のファンドが多い
・株式や投資信託のように価格変動がない

[デメリット]
・NISAのような税制メリットがない
・元本割れや運営会社が破たんするリスクがある

5.ロボアドバイザー:自分に合った最適な資産配分で10万円を運用できる

・ロボアドバイザーとはどんな資産運用?
ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)を活用して、その人に合った投資診断や運用サービスを提供する商品のことです。1,000円や1万円など少額から資産運用ができるため、元手が10万円と限られる人と相性のよいサービスといえるでしょう。市場の変化に合わせてリバランス(資産配分の見直し)も行ってくれます。

[メリット]
・運用の手間がかからない
・自分に合った資産配分で運用できる

[デメリット]
・投資信託などと比べて手数料が割高
・どの事業者がよいか判断しづらい

6.個人向け国債:10万円の元手を減らしたくない人におすすめ

・個人向け国債とはどんな資産運用?
債券は、企業や団体などが資金を借り入れたときに発行する借用証書の一種です。約束された利子が定期的に支払われ、満期がくれば元本を返済します。なかでも日本国債は、国が発行しているため、元本割れがありません(※)。最低1万円から1万円単位で購入できるため、10万円の元手で増やすのに適しています。
※厳密には、国のデフォルト(債務不履行)リスクがあります。また、新窓販国債は中途解約すると元本割れの可能性があります。

[メリット]
・変動金利(10年満期)と固定金利(5年/3年)から選べる
・利子を半年ごとに(年2回)受け取れる

[デメリット]
・リスクが少ない分、低利回りである
・発行後1年経たないと途中換金ができない

10万円の元手を増やす資産運用の始め方

ここまで紹介した資産運用に気になるものがあった人は、始め方もチェックしてみましょう。

1.株式投資の始め方:ネット証券ならほとんどの手続きがネット上で完結する

株式投資を始めるには、利用する証券会社を選び、証券口座(総合取引口座)を開設する必要があります。証券口座とは、株式を売買するための自分専用の口座です。ネット証券であれば公式サイト上で申し込み、必要書類をアップロードするだけで手続きが済みます(ただし、利用には審査があります)。

10万円の元手を株式投資で増やしたいなら、証券口座にお金を入金して売買することで資産運用が可能です。

2.投資信託の始め方:証券口座を開設して10万円の元手を入金するだけ

株式投資と同様、はじめに証券口座を開設して10万円の元手を入金することで始められます。注文方法(ネット証券の場合)は、総合取引口座から投資信託のページを開き、買い付けたい銘柄を注文します。

3.NISAの始め方:証券口座と別にNISA口座が必要になる

NISAを利用して10万円の元手を増やすには、まず証券口座(総合取引口座)を開設したうえでNISA口座開設を申し込む必要があります。「2つの口座を作るのは面倒」と感じる人もいるかもしれませんが、証券口座さえ作ってしまえばそれほど手間はかかりません。

4.不動産クラウドファンディングの始め方:まずは運営会社を比較することが大事

不動産クラウドファンディングには、数多くのプラットフォーム(運営会社)があります。まずは、これらを比較して利用するプラットフォームを決めて登録しましょう。口座開設後に10万円の元手を入金し、ファンドを選ぶことで運用を開始できます。

5.ロボアドバイザーの始め方:提案内容に納得したらスマホで契約可能

この分野をリードするウェルスナビをはじめ、SBI証券や楽天証券などがロボアドバイザーのサービスを提供しています。スマホなどを通して運用診断を受け、その内容に納得すれば申し込む流れです。

6.個人国債の始め方:窓口となる金融機関で国債用の口座を解説

証券会社や銀行などの金融機関で国債の購入が可能です。窓口となる金融機関で国債の口座を開設することで国債の買い付けができます。国債を購入する際は、購入代金・預金通帳・印鑑などを金融機関に提出することが必要です。

まずは、10万円の元手を増やすスタンスを決めよう

10万円の元手を増やす資産運用を始める前には、以下のどちらの方針で運用するのかを選択しましょう。

A:リスクを取ってでも高利回りを狙う
B:低利回りで手堅く元手を増やす

Aの高利回りを狙う資産運用であれば、株式投資や投資信託(アクティブファンド)、不動産クラウドファンディング、ロボアドバイザー(リスク水準:高)などが向いています。一方、Bの手堅い資産運用を求めている場合は、投資信託(インデックスファンド)や不動産クラウドファンディング、などを選ぶのがおすすめです。

自身のリスク許容度に応じた投資先を検討しましょう。

(提供:YANUSY

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