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(画像=梅乃宿酒造株式会社)
吉田 佳代(よしだ かよ)
梅乃宿酒造株式会社 代表取締役 CEO
奈良県葛城市生まれ。大学卒業、総合商社を経て2004年に梅乃宿酒造に入社。2013年7月に5代目社長に就任、父から梅乃宿酒造を引き継ぐ。
伝統と革新の「ワクワクの蔵」をテーマに、従来のBtoB販路だけでなく、海外事業の強化、近年ではBtoC事業の展開も加速させる。また、社員が働きやすい環境作りにも注力し、高い確率での女性社員の育休後復帰や子育て世代への就学手当金給付など様々な制度改革を推進する。
梅乃宿酒造株式会社
1893年創醸の地酒蔵。日本酒だけでなくリキュール等、若い世代にも人気の新しい商品も開発・製造している。社名の「梅乃宿」は旧蔵の庭にある樹齢約300年の梅の古木に鶯が飛来し、その風雅なさえずりを楽しませてくれることにちなんでいる。主力ブランドの日本酒リキュール「梅乃宿あらごしシリーズ」は、幅広い層に支持され、ヒット商品となっている。

1 これまでの事業変遷について教えて下さい

弊社は今年で132年目になる酒造ですが、日本酒の業界は200年300年が普通ですので業界の中では非常に若いと言われるような酒造です。日本の高度成長期には日本酒が非常に飲まれていた時代がありましたし、その頃は大手さんの下請けもしておりましたが昭和49年をピークに日本酒の消費量が減り始め、この頃に先代は危機感を抱いてそこから5年をかけて全商品自社ブランドに切り替えていきました。昭和50年前後には自社ブランドの日本酒が東京で少しヒットしたこともありましたが、その後はなかなか厳しい状態が続いていました。

そんな状況下でさらなる事業展開を模索する中、梅酒製造に着目しました。また、そのタイミングで運よく梅酒の大ブームがやってきたことで私たちの商品も全国に広がることができました。梅酒製造のスタートに加えて、ゆずの酒や桃の酒といった様々な商品の製造も行ったことで売り上げは5年で7倍に増加させることができました。

今後は日本国内の日本酒市場が縮小していくので、海外の市場にますます力を入れていきます。弊社は海外事業に力を入れて20年経つのですが、現在では売上の四割近くを海外向けに出荷しています。

2 自社事業の強みはなんでしょうか

それは、すごく変化に強いことだと思います。実は当時はお酒の業界は目に見えないヒエラルキーみたいなものがありました。日本酒は伝統文化、伝統産業ですので、非常に崇められている側面がありした。そのような業界において弊社は梅酒の酒蔵の製造に力を入れたことで業界内から「梅酒ばっかり作ってないで日本酒を作れ」「日本酒の酒蔵の恥さらしだ」のような大バッシングを受けました。

しかし、実際に目の前のお客様に梅酒を飲んでいただくと、喜んでくださる笑顔と共に売り上げがついてきます。その中で私たちは間違っていないと思いやり続けた結果、日本酒仕込みの梅酒の地位も確立し、たった三年でバッシングしていた人も梅酒を作るようになったりもしました。

この経験を通じて、これまでの当たり前や伝統を守るだけではなくて、革新をしていくことで、その革新が次の伝統になっていくのだということを身をもって感じました。このことを社内の隅々まで理解していて、常に新しいチャレンジをし、より良いものにしようという気概をもっているのが私たちの強みだと思います。

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3 現在一番関心のあるトピック・関心事項とその理由をお願いします

ここ最近は、どうすれば私たちの付加価値を最大化できるのか、というテーマに関心があります。私は、売上はどれだけ多くの人に喜んでいただけたかということの評価で、利益は一年間社内のメンバーがどれだけ頑張れたか、どれだけ付加価値を生み出したかという評価だと考えています。商品の付加価値を高めることで、売上を上げて利益を確保し、その利益を社員に還元するというサイクルを作り出すことが、我々の目指すべき方向だと考えています。

今後、私たちが海外で成功するためにも、付加価値の高い商品を作ることが重要です。日本の商品は高品質でありながら価格が安いことが特徴ですが、それだけでは海外市場での成功は難しいと考えています。海外の高級ブランドのように、お客様にとってより付加価値が高い商品を提供することを目指していきたいと考えています。

4 思い描いている未来構想や今後の新規 / 既存事業の拡大プランを教えて下さい

今後より多くのお客様に喜んでいただくために、海外事業により力を入れていきたいと思っていますし、実際に既にアクセルを踏んで推進しています。

また、組織としては従業員全員が気持ちよく働くことで、成果も出すことができる組織にしたいと考えています。そのためには楽をしてもらうのではなく、頑張りに対する正当な評価をすることが重要です。頑張りに対してきちんと評価が反映され、それが次の頑張りに繋がってく。この循環を続けていくことでより多くの人に私たちの商品を届けていきたいです。

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5 社長のポジティブシンキングの原点とは

積極的なチャレンジ精神だと思います。私は5代目で、4代目の長女として生まれていて、2つ下に妹が、5つ下に弟がいます。ですので、弟が生まれた時から彼が後継となるものだと思っていました。ですが、会社が大好きだということと、いろいろ自分で思うところがあって、あるときに私が酒蔵を継ぎたいという宣言をしました。自分で手を挙げてやったという責任感もあったので会社をよくしたいという気持ちは誰にも負けない自信がありました。

そこから、会社を作っていく中で、私のチャレンジングないろんな取り組みを社員みんなにも共有していて、そこからなにかを感じとってくれたらなと思っています。今の時代、様々な方法がある中でどうやったらできるのかを考えてチャレンジする姿を常に社員に見せており、仕事を楽しむこと、梅乃宿が大好きであることを常に言っているので、それが社員みんなに伝わってくれたら嬉しいです。

氏名
吉田 佳代(よしだ かよ)
会社名
梅乃宿酒造株式会社
役職
代表取締役 CEO