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一般向けとしては世界初となる燃料電池車(FCV)が2014年12月に発売されることが、トヨタ自動車 <7203> の11月18日の発表で明らかになった。トヨタの発表によれば、メーカー希望小売価格で723万6,000円となっており、価格が高額である一方で、まずはハイブリッド車と燃料電池車の価格差を縮めたいとのことだ。

今後の販売目標については、2015年末までに国内で400台の販売を目標に掲げており、現時点ですでに、200台の注文があることも明らかにされた。加えて、米国や欧州を含めた海外市場についても、2016年末までに3,000台の販売が見込まれている。

こうしたトヨタのFCV一般販売開始に対して、株式市場も敏感に反応し、同社の株価は発表前は6,990円前後と7,000円を下回っていたが、19日中には高値で7,100円を上回る水準に跳ね上がり、2014年11月27日現在では7,150円前後の水準まで上昇している。ほかにもFCVの部品メーカーや、FCVの燃料となる水素供給事業者などの関連銘柄の株価もすかさず反応を示しており、水素ステーションの整備事業も進める岩谷産業 <8088> の株価も、トヨタのFCV発表前には、800円を少し上回っていただけだったが、発表後数日が経過した2014年11月27日現在では、800円台後半で推移している。


環境問題への配慮がなされたFCV

そもそもFCVは、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)と並び、走行に際して二酸化炭素を排出しないことから、環境により配慮した自動車として注目を集めてきた。トヨタのFCV『MIRAI』についても水素のみで発電でき、その過程で純水しか発生しないため、現行のガソリン車と比べても、環境負荷の小さい自動車である。日系自動車メーカーだけでなく、世界の自動車大手各社もこぞって開発を進める分野の一つだ。


『エコだけカー』とは違うFCVの性能

環境負荷が少ないことが大きな魅力のMIRAIだが、実はそれ以外でもこの車には魅力がある。燃費向上などを優先し、それ以外ではあまり魅力的でなかった単なるエコカーとは一味違う性能をMIRAIは有している。

まず、燃料電池を動力源とするのはもちろんのこと、衝突事故を起こした際にも破裂しない頑丈な水素ボンベの搭載で実現したガソリン車と同等の安全性などの特徴を同車は持つ。さらに、航続距離の長さという利便性の高さでは燃料電池車は電気自動車に比べて圧倒優位である点もこの自動車の魅力だろう。