補助金と水素インフラでFCV普及へ向け後方支援

上記のようなMIRAI自身の魅力に加えて、日本政府も制度面からの支援を充実させつつある。その一つが、経済産業省(METI)が進めているクリーンエネルギー自動車等導入促進補助事業で、FCVだけではなく、PHVやEVなどCO2排出量の少ない自動車の購入の負担軽減策だ。今回発表されたFCV・ミライへの補助金は上限202万円と、EV、PHVに比べても破格の補助金額となっており、FCVをより強く後押しする形になりそうだ。

日本政府による補助金は心強い支援である一方、水素で走るMIRAIには、従来の自動車のガソリンスタンドにあたる水素ステーションの整備も必要である。このエネルギー供給インフラの面でもFCVの普及、水素エネルギーへの展開を促す動きとして、METIが進める水素ステーションの整備を容易にする規制緩和もある。同省は11月20日、高圧ガス保安法の省令を改正し、圧縮水素スタンドの基準を改定した。具体的には、かねてから要望のあった輸送・貯蔵のための液化水素貯槽の利用が可能になる。ほかにも、圧縮水素を貯蔵するための容器に、より低コストで使用できる水素貯蔵容器として、繊維強化プラスチック製のものを用いられるようになるという。


燃料自動車の一般普及にはまだ多くの課題

次世代自動車の一つ目とされるFCVの普及に向けて具体的な一歩を踏み出した格好だが、水素エネルギーの実用化に向けた動きがあちこちで、さらに活発化しそうだ。次の大きな社会的イノベーションに向けて官民をあげて水素エネルギーの普及が後押しされる。

民間各社の企業努力だけでなく、補助金や規制緩和で後押しされるFCVである一方、輝かしい未来が約束されているわけではなく、課題も山積みである。まず、現在多く普及している自動車とは価格面で大きな開きがあり、この差を埋めていく必要がある。政府からの補助金により、購入価格が約500万円となっているが、まだまだ一般自動車とは購入コストで差がある。まずは価格値下げの必要がある。さらには水素ステーションの普及もまだ問題である。平成26年6月30日時点で開設予定の水素ステーションの数は41箇所となっており、そのうち首都圏と愛知県で33箇所と全国的な普及はまだまだこれからである。

最後に、電気自動車とは支配的な次世代自動車の地位を争って、獲得しなければならない上に、一般に普及する車両価格を実現し水素供給インフラが整ったとしても、消費者がどれだけ受け容れるかが最終的な事業の成否を決める。今後の推移にさらに注目していきたい。

(ZUU online)

【関連記事】
1兆円受注 『炭素繊維』苦節40年…実る東レの粘り強い努力
中国産格安自動車がベトナムで苦戦!日系メーカーの躍進に期待高まる
日経新聞の記事まで閲覧可能?『情報の宝庫』を入手する意外な方法とは?
12月は上場ラッシュ...今注目のIPO株はどのネット証券が優位?
注目の都内高級賃貸マンション5選 忘れがちな引越し時の注意点とは?