大手回転ずしチェーン「くら寿司」を展開するくら寿司<2695>が、2023年10月期に3期ぶりに営業損益が黒字転換した。
売り上げが伸びたことで、原価率や販管費率が低下し、本業の儲けを示す営業利益が大幅に増加(営業利益率は1.16%)したのだ。
一方「スシロー」を展開するFOOD & LIFE CONPANIES<3563>の2023年9月期は、くら寿司と比べると、すしネタの仕入れなどからなる原価は高いものの、店舗の運営や販売の費用などからなる販管費が低く、営業利益率(3.65%)は、くら寿司よりも3倍ほど高い。
2024年の業績予想を見ると、両社ともに営業利益率は低下する見込みだ。詳細は明らかにしていないが、客足の戻りとともに売り上げは伸びるものの、原価や販管費などが利益を圧迫する状況となりそうだ。
原価率が高く販管費が低いスシロー
くら寿司の2023年10月期の営業利益は24億5600万円(前年度は11億1300万円の赤字)で、2021年10月期に赤字転落して以来、3期ぶりに黒字化した。売上高が前年度比15.5%増の2114億500万円と大きく伸びたのが、利益を押し上げた。
原価率は45.08%から43.60%に1.48ポイント低下、販管費率も55.53%から55.24%に0.29ポイント低下した。
一方FOOD & LIFE CONPANIESの2023年9月期の原価率は44.48%で、くら寿司よりも0.88ポイント高いものの、販管費率は50.52%で、こちらはくら寿司よりも4.72ポイント低い。
スシローは、すしネタなどの原価が高い分を、店舗の運営費などの販管費を抑えることで、営業利益を稼ぎ出していることが分かる。
この結果、営業利益率はくら寿司(2023年10月期)の1.16%に対しスシロー(2023年9月期)は3.65%となり、2.49ポイントの差が生じている。
両社ともに営業利益率は低下
くら寿司の2024年10月期は、売上高が7.0%増の2262億円に増加し、2期連続で2000億円台を確保するものの、営業利益は2.3%減の24億円に減少する。
売り上げが伸び、営業利益が減少することで、営業利益率は0.1ポイント低い1.06%となる。
FOOD & LIFE CONPANIESの2024年9月期の売上高は同16.0%の3500億円と2ケタの伸びとなり、営業利益は4.5%増の115億円を見込む。
売上高の伸びほど営業利益が伸びないため、営業利益率は0.36ポイント低い3.29%に留まる。