2024年の新年早々、日本を襲った自然災害や航空事故。まずは、亡くなられた方に衷心よりお悔やみを申し上げるとともに被災された方々に心からお見舞いを申し上げたい。企業が徹底しておきたい災害対応策として、今回経営者・従業員が一体となって顧客の安全保護に取り組んだ老舗旅館「加賀屋」やJALの例を紹介する。
加賀屋の対応
2024年元日の夕刻に発生した能登半島地震。石川県志賀町では最大震度 7、和倉温泉のある同県七尾市でも震度6強を観測、 大津波警報 も発令された。新型コロナが5類に移行して初めての正月ということもあり、和倉温泉でも大勢の宿泊客でにぎわっていたなかでの災害に、人々の動揺は想像に難くない。
このようななか七尾市にある老舗旅館「加賀屋」では、警報発令後すぐに支配人自らが約400人の宿泊客に対して従業員が避難誘導する旨、館内放送で呼びかけた。同時に各従業員は客室をかけ回る。激しく揺れるため、最上階の20階までエレベーターではなく階段を駆け上がり、浴衣姿の客には従業員の上着などを提供した。
全員を近隣の避難所へ案内するとともに、旅館にある食べ物や布団を持参した。翌日、従業員が事前に道路状況を下見したあと、マイクロバスで宿泊客をJR金沢駅まで送り届け、宿泊客全員が安全に帰路に着けたという。
日本航空の対応
地震の翌日、羽田空港では「被災救援に向かう海上保安庁の航空機にJAL機が衝突し炎上」という痛ましい事故が起きた。海保機は残念だったがJAL機の乗客367人と乗員12人 の全員が無事に脱出したことは不幸中の幸いだ。脱出時に客室乗務員が冷静かつ素早く指示、避難誘導する様子は多くのメディアやSNSなどで紹介されているのでご覧になった人は多いだろう。
この対応の様子は、海外でも広く報道され高く称賛されている。航空法では、搭乗者の安全確保のためのさまざまな規定が定められているが、同社では多岐にわたる状況想定のもと90秒以内の緊急避難誘導訓練を繰り返し実施している。過去の事故の教訓も踏まえ、避難誘導訓練の見直しも重ねられているという。今回、奇跡的に全員が無事に脱出できたことも、この訓練の賜物だといえよう。
防災意識を高め、対策・訓練の徹底を
自然災害の頻度や規模が増している日本では、万一の場合の人命確保への取り組みが企業にも強く求められている。経営者・従業員全員が防災意識を統一するとともに、日ごろから訓練に努め、貴社でも一流対応を目指して欲しい。