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(画像=東京建物株式会社)
西村 雅彦(にしむら まさひこ)
東京建物株式会社 人事部長
1987年東京建物株式会社入社。2008年秘書室長、2015年住宅賃貸事業部長を経て、2017年人事部長、現在に至る。
2017年に最高健康経営責任者である社長の野村が発した「東京建物グループ健康経営宣言」のもと、東京建物グループ役職員のみならず、その家族の健康のために最前線で指揮を取る。自身の健康のため休日は学生時代から続けているテニスに勤しむ。
好きな言葉の一つは「笑顔は健康の源」。
東京建物株式会社
東京建物は、1896年(明治29年)に設立された日本で最も歴史ある総合不動産会社。創業以来「お客様第一」の精神と進取の精神を企業活動の原点とし、様々な地域の魅力と価値向上に貢献するとともに、時代のニーズを捉えた新しいアセットの開発をはじめ、多様な不動産開発事業を東京建物グループ全体として展開している。
現在、2030年頃を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」を目指している。

目次

  1. 人的資本経営(ダイバーシティ、社員エンゲージメントの向上、働き方改革 など)に対する方針とその取り組み
  2. 人的資本経営の取り組みで苦労した点と、改善後の変化
  3. 今後の展望と社員に対して期待すること
  4. ステークホルダーの皆様へのメッセージ

人的資本経営(ダイバーシティ、社員エンゲージメントの向上、働き方改革 など)に対する方針とその取り組み

当社の人的資本経営の背景として、創業者・安田善次郎の理念である「お客様第一」の精神と、時代の流れを先んじて捉える進取の精神を原点に、企業活動を展開してまいりました。 その想いは、創業から一世紀を超えた今も、東京建物の原点として存在し続けています。現在は、「信頼を未来へ」を企業理念として掲げており、125年を超える歴史の中で培ってきた信用に裏打ちされた「信頼」こそが、私たちが社会に提供する価値であると考えています。

この信頼をさらに強固にするために、高いレベルでの価値創造を行う鍵として、人的資本経営の取り組みをより重要視していく必要があると考えています。当社が持続的な成長を実現するための源泉は人的資本であり、経営の最も重要な要素の一つであると捉えています。

人事部では「会社は社員の貢献に応えて、社員の成長を会社の成長に繋げる」という理念を掲げており、付加価値を創造する職場づくりや育成方針として、「信頼される人」、「未来を切り拓く人」をあるべき人物像として定義しています。社員が当社の中で成長して、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を会社、組織側が整えて、それに対して、社員がそれに応える双方向の良好な関係性があり、その中で人的資本の最大化に繋がると思っています。

そのために取り組んでいる施策として、多様な人材ポートフォリオの構築と能力の最大化を目指し、新卒採用や中途採用を含む戦略的な人材獲得に取り組んでいます。また、人材価値最大化のため、階層別研修や自発的な学習支援、社外学習環境の提供を通じて、社員のキャリア開発を促進しています。

さらに人材としての価値向上だけではなく、「個」と「会社」の関係性における取り組みとして、定期的なエンゲージメントサーベイを実施し、その結果をもとに経営陣と社員が共に改善に取り組んでいます。社員が心身ともに健康でイキイキと働くことを重視し、健康促進やテレワーク制度の導入や柔軟な働き方を提供しています。この健康促進に関しては、社長の野村自らが、最高健康経営責任者としてトップに立って役職員の健康の維持・増進に取り組んだり、「東京建物グループ健康経営宣言」を掲げて健康診断の受診率100%達成や喫煙率の削減を目標に設定したり、ウォークラリーイベントを開催したりしています。

このように当社は、社会の公器としての役割を果たすため、社員の成長と働きがいの向上を中心に据え、当社のまちづくりなど、事業を通じて持続的な成長と社会への貢献を目指しています。

東京建物株式会社
(画像=日本初の本庁舎一体型タワーマンション「Brillia Tower池袋」。 廃校となった小学校跡地を含む住宅密集地において、100人を超える権利者の方々と豊島区の再開発への想い、東京建物のまちづくりの考えがひとつとなり誕生した官民協業プロジェクト。1~10階に豊島区役所、商業施設、オフィス、11~49階に住宅を配した立体都市。 )

人的資本経営の取り組みで苦労した点と、改善後の変化

当社の最近のエンゲージメントサーベイの結果から、階層間コミュニケーションと、ラインマネージャーの役割の改善が必要であることが明らかになりました。

従来、ラインマネージャーのマネジメント手法はラインマネージャー自身に委ねられていましたが、これが質のばらつきを生んでいたことが判明しました。一部のラインマネージャーは業績管理には注力していましたが、チームメンバーの成長に対する意識は低いという問題点が浮かび上がりました。さらに、自分たちのマネジメントスタイルを振り返る機会も不足していました。その結果、メンバーの育成という重要なマネジメント力を強化する必要性を認識するに至りました。

ただ、サーベイから浮かび上がった課題に対する具体的な解決策については、ラインマネージャー自身がどのように改善に取り組めばよいのか明確な道筋が見えにくく、人事部としても苦労しました。この状況を解決するため、当社は外部のコンサルタントを招き、1対1でのセッションを通じて、ラインマネージャー個々の課題に対応しました。この方法により、ラインマネージャーそれぞれが課題解決に向けたヒントを得て、なすべき方向性を見出すことができました。

また、若手社員の意識も時代と共に変化しています。以前は会社から与えられた業務を淡々と遂行する姿勢の社員が多かったのに対し、現在の若手社員は与えられた業務の意図やアサイン理由を深く理解し、自らのキャリアプランに基づいて活動しています。そのためラインマネージャーには、若手社員のキャリアプランをヒアリングし、支援する能力も必要となってきます。この分野も研修やコンサルタントを活用しながら徐々に取り組みを進めています。

これらの取り組みの結果もあって、エンゲージメントサーベイのスコアは向上し、組織全体としての改善が見られるようになりました。

今後の展望と社員に対して期待すること

当社はデベロッパーとして、不動産開発や運営などを通じてサステナブルなまちづくりに積極的に取り組んでいます。売買や賃貸といったこれまでの不動産業という枠組みを超えて、様々なイベントの実施や体験ができる仕組み作りを行い、人々の交流促進や豊かな生活体験の場を提供する付加価値創造型の事業を推進してきましたし、今後も継続して行っていきます。

これまでの不動産業から未来の不動産業の変革を常に行っていくべきで、これを実現するためには社員の多様な視点や発想が必要不可欠です。当社としては、最優先に人を大切にし、企業の成長を支えていくのは人でしかないと思っています。そのため社員に対する惜しみない投資により、社員はこれを活用して成長へ役立ててほしいと思います。この結果、社員の人間力は高まり、当社としての競争優位性が生まれ、社員への取り組みを継続して進めていきたいと思っています。

東京建物株式会社
(画像=国際アート・カルチャー都市の実現を目指す豊島区・池袋に誕生した「Hareza池袋」。 旧区庁舎跡地等の活用事業の公募型プロポーザルにより、2015年、東京建物を代表事業者とするグループが開発事業者に選定。「誰もが輝く劇場都市」をコンセプトに、様々な用途・規模・コンテンツに対応する8つの劇場群と高規格オフィスを中心とした大規模複合開発「Hareza池袋」は、2020年、全体開業を迎えた。 )

ステークホルダーの皆様へのメッセージ

当社は、2030年頃を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、その達成に向けて現中期経営計画を進めています。事業を通じて社会課題の解決と企業としての成長をより高い次元で両立させ社会の多様な課題に対処していく姿勢を明確にしています。

また、私たちの事業活動は、単に経済的な利益を追求するだけではなく、社会的な価値創造にも力を注ぐことで、全てのステークホルダーに対して「いい会社」であるということを証明し続けたいと考えています。

そのため各プロジェクトにおいては、社員の個々の能力とチームとしての力を最大限に活かし、利害関係者と協力しながら進めていきます。このような取り組みにより、当社は持続可能な社会の発展に寄与し、全ステークホルダーと共に成長していくことを目指しています。

今後も当社の取り組みにご支援とご期待をいただければ幸いです。

東京建物株式会社
(画像=3,600㎡にもおよぶ都心の本物の森「大手町の森」。 環境省「自然共生サイト」認定の超高層複合ビル「大手町タワー」の敷地に再生されたこの森には、国や都のレッドリストに掲載される希少種も見られる。ヒートアイランド現象の緩和効果もあり、訪れる人の憩いの場にもなっている。都市と自然が共創しあえる関係を目指す東京建物の想いが伝わる一つの事例。 )
氏名
西村 雅彦(にしむら まさひこ)
会社名
東京建物株式会社
役職
人事部長