この記事は2024年2月16日にSBI証券で公開された「日経平均が最高値接近!今後活躍期待の好業績プライム銘柄10選」を一部編集し、転載したものです。

日経平均が最高値接近!今後活躍期待の好業績プライム銘柄10選
(画像=SBI証券)

目次

  1. 日経平均が最高値接近!今後活躍期待の好業績プライム銘柄10選
  2. 掲載銘柄の一部を解説!
    1. マキタ(6586) ~「厳しい事業環境」も円安・ユーロ高が追い風
    2. 東和薬品(4553)~後発薬国内最大手。後発薬の供給不足が継続で増産対応
    3. 日東紡績(3110)~稼ぎ頭はグラスファイバーを使った機能材料。AIサーバー向けに旺盛な需要
    4. 高砂熱学(1969)~空調設備業界のリーディングカンパニー。半導体設備投資増も追い風
    5. BIPLOGY(8056)~大日本印刷を筆頭株主とするシステム・インテグレーター。複数の大型案件を受注

日経平均が最高値接近!今後活躍期待の好業績プライム銘柄10選

東京株式市場の強い値動きが続いています。日経平均株価は1月の8.4%に続き、2月も15日(木)までで5.2%の月間上昇率となっています。年初来上昇率は14.0%に達しました。2/16(金)も大幅続伸でスタートし、89/12/29(金)に付けた過去最高値38,915円87銭に接近しました。

(日経平均株価)=(日経平均予想EPS)×(同予想PER)

ですが、予想PERは昨年末の14.74倍から2/15には16.06倍まで9.0%上昇していますので、日経平均株価の上昇の多くは、市場心理の好転によるPERの上昇によりもたらされると言えるでしょう。日本企業の変化や、NISA資金の流入に期待した内外投資家の市場に臨む姿勢が強くなったことがその背景とみられます。

ただ、予想EPS(1株利益)も上昇してきました。2023年末に2,270円だった日経平均株価の予想EPSは2/15時点で2,375円まで上昇し、過去最高水準となっています。1月下旬以降の23.10~12期決算発表を経て、上場企業の業績予想が全体としては上方修正されたことを示しています。2/16(金)の日本経済新聞も、上場企業の24.3期予想純利益が期初予想から3兆円上振れし、3期連続で最高益更新の見通しになってきたことを報じています。企業業績が「過去最高」予想となってきたことで、日経平均株価が最高値を更新するための条件のひとつは、整ったといえるかもしれません。

そんな決算発表も、2/14(水)をもって原則一巡しました。決算発表期間中は、個別銘柄ごとに市場や会社の予想と比べ、決算や見通しが上回ったか下回ったか等が短期的な株価見通しを判断する主要材料でした。しかし決算数字が出揃ったことで、今後は銘柄間比較がいっそう重要になってくるものと考えられます。

今回の「日本株投資戦略」は、市場予想を上回る利益を確保し、会社側が業績見通しを上方修正し、市場が来期2桁(10%)超の増益を見込む「好業績銘柄」を抽出すべく以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証プライム市場に上場
(2)時価総額1,000億円以上
(3)3月決算銘柄
(4)広義の金融を除く
(5)EPS(1株利益)を予想するアナリストが3名以上 (6)24.3期3Q(23.10~12期)営業利益が事前の市場予想を上回り、前年同期比20%超の増益
(7)24.3期市場予想(Bloombergコンセンサス)営業利益が2/14(水)時点で、昨年末から増加
(8)25.3期市場予想営業利益が24.3期市場予想に対し、10%超の増益見通し
(9)25.3期市場予想PERが30倍未満

図表の銘柄は上記の全条件を満たしています。

掲載の順番は、(6)にある24.3期3Q(23.10~12期)営業利益の前年同期比増益率の高い順になっています。

日経平均が最高値接近!今後活躍期待の好業績プライム銘柄10選 日経平均が最高値接近!今後活躍期待の好業績プライム銘柄10選
(画像=SBI証券)

掲載銘柄の一部を解説!

マキタ(6586) ~「厳しい事業環境」も円安・ユーロ高が追い風

電動工具の世界的サプライヤーです。地域別売上構成比(23.3期)は日本19%、欧州46%、北米16%他で、特に欧州の比率が高くなっています。営業利益ベースの為替感応度(期初時点での想定)は1ドル1円の円安で約8億円マイナス、1ユーロ1円の円安で約10億円のプラスが目安となっています。

24.3期3Q時点では「想定以上に厳しい事業環境」だったようです。しかし、24.3通期の為替前提が10月時点の1ドル141円から143円、1ユーロ149円から155円に見直され「従来想定したよりも増収・増益方向」となっていることから、通期の予想営業利益は550億円から590億円(前期比108%増)に上方修正されました。

決算発表日(1/31 終値4,007円)から株価が下げているのは、「想定以上に厳しい事業環境」であったことが大きな理由かもしれません。ただ市場(Bloombergコンセンサス)では来期20%超の営業増益を予想しています。

東和薬品(4553)~後発薬国内最大手。後発薬の供給不足が継続で増産対応

サワイGHD(4887)と双璧をなす後発(ジェネリック)薬の国内大手メーカーです。国策の後押しを受け、後発薬市場は拡大。後発薬シェア※(数量)は82%(23.7-9期 日本ジェネリック製薬協会)まで高まり、その流れの中で同社も成長してきました。しかし、日医工等の品質不正事件(2020年)やその破綻があり、その後は後発薬の供給が不足する状態が続いています。

24.3期は同社製品への需要増大や、営業費用の費消遅れ等を背景に、3Q累計の営業利益が132億円(前年同期比146%増)と拡大。会社側は通期予想営業利益を118億円→155億円に上方修正しました。当面は増産や品質管理の投資が高水準となりそうです。市場(Bloombergコンセンサス)では25.3期18%程度の営業増益を予想しています。

決算発表日(2/13 終値2,693円)以降、株価は堅調に推移しています。業績予想の上方修正が素直に好感されています。

※後発薬シェア=後発医薬品の数量 ÷(後発医薬品がある先発医薬品の数量+後発医薬品の数量)

日東紡績(3110)~稼ぎ頭はグラスファイバーを使った機能材料。AIサーバー向けに旺盛な需要

1898年に郡山市で錦糸紡績の会社として設立された老舗企業です。現在はグラスファイバー関連事業やメディカル事業等に展開しています。グラスファイバーは、同社が日本で初めて工業化に成功した無機繊維で、強度、耐性、不燃性、電気絶縁性他の特徴を備え、自動車、電子機器(スマートフォン等)、建設資材等幅広い分野で用いられています。

24.3期の四半期営業利益(3ヵ月単位)は1Q=8.8億円(前年同期比66%減)と出遅れた後、2Q=22.3億円(同12.6%増)と回復し、3Qは25.8億円(同107%増)と大幅増益となりました。グラスファイバーを使った機能性材料であるスペシャルガラスでAIサーバー向けの旺盛な需要が続いた他、半導体パッケージ基板向けが回復しました。会社側は3Q決算を受け、通期予想営業利益を70億円→75億円(前期比53%増)に上方修正しました。

株価は2Q決算発表(昨年11/2)後上昇基調が強まり、3Q決算発表(2/6 終値5,220円)後の本年2/15(木)に年初来高値を更新してきました。隠れた「AI関連」といえるかもしれません。市場(Bloombergコンセンサス)では25.3期に営業利益54%増を見込んでいます。

高砂熱学(1969)~空調設備業界のリーディングカンパニー。半導体設備投資増も追い風

昨年11月に創業100年を迎えた空調設備業界のトップ企業です。オフィスビル、ホテル、大学、病院、工場等の空調設備の設計、施工、保守・メンテナンス等を行っています。東京ドームの膜を膨らませる技術を開発したのは同社です。最近は北海道や九州で新設される半導体工場のクリーンルーム施工に対応しています。

24.3期3Q累計は、売上高2,637億円(前年同期比10%増)、営業利益185億円(同117%増)と好調。これを受け、通期会社予想営業利益は180億円→230億円(前期比50%増)に上方修正されました。通期予想受注高も、半導体設備投資の増加等を背景に、3,600億円→3,900億円に上方修正されました。

通期配当予想も1株95円から121円に上方修正されました。2/15(木)終値3,860円に対する予想配当利回りは3.1%と高めです。2/8(木)取引時間中に決算が発表され、2/7(水)終値3,655円に対し、上昇傾向です。

BIPLOGY(8056)~大日本印刷を筆頭株主とするシステム・インテグレーター。複数の大型案件を受注

旧社名は日本ユニシスで、2022年現商号に変更。大日本印刷(7912)が20.6%を保有(23.9末時点)する筆頭株主です。コンピューター・システムの開発や運営、保守、ハードウェアの販売等を行うシステム・インテグレーターです。

IT投資への旺盛な需要を背景に業績は順調に拡大。24.3期3Q累計では売上高2,588億円(前年同期比12%増)、営業利益241億円(同22%増)と増収増益を確保。将来の業績に影響する受注高も前年同期比9%増、受注残高も6%増と順調でした。システム・サービスで複数の大型案件を受注しました。

会社側は、3Qまでの好調をふまえ、24.3通期の予想営業利益を325億円→340億円(前期比14%増)、予想1株配当を90円→95円と上方修正しました。市場(Bloombergコンセンサス)は25.3期の営業利益について、24.3期市場予想に対し10%増えると予想しています。

決算発表(2/1 終値4,258円)後、株価は上昇し,2/5(月)には4,674円の年初来高値を付けました。その後も高値圏での推移が続きます。

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数