総括
FX「人生も市場も選択の連続、利下げはECBかFRBのどちらが先か、日本のマイナス金利解除は今月か来月か」
ドル円=145-150、ユーロ円=158-163、ユーロドル=1.07-1.12
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨10位(最下位)、株価2位(2位)、GDP改定、春闘集中回答日、株安での政府対応は」
円が浮上した。先週は週間最強、3月月間でも南アに次いで2位。株価は先週0.56%下落、年間2位。10年国債利回りは前週の0.71%から0.73%へ上昇。
ドル円は団子天井から急落。
前回注目していた2月東京消費者物価が1.8%から2.5%へ上昇、新聞報道でもゼロ金解除が目立ち、円買いを後押し、一方米国はパウエルFRB議長が「利下げを始めるのに必要な確信に近づいている」とし米金利低下、ドル安となった。 日本からは円高要因、米国からはドル安要因でドル円が下落した。
ドル円はボリバン3σ下限まで行き過ぎ感のある位置にあるが、まだ3σ下限は下向きなので下げ余地はある。日経平均先物が先週末は710円の下落、これが本日の東京に及べば、改めて、たった0.1%のマイナス金利解除の市場への大きいことがわかった。「泰平の眠りをさます日本銀行、たった0.1%で夜も寝られず」。
ただ市場が動揺すると、支持率低下の岸田内閣は円安による「株高」がウリだったので政治から「火消し」発言が出ることは想定しておきたい。また決算間近なので市場が動揺すると決算もブレてしまう。
3月13日(水)は春闘集中回答日だが、この結果にも市場は影響される。また米国の2月消費者物価にも注目したい。
依然、3月の決算月という薄商いの中でリパトリ、外貨仕向送金の大玉が散発する荒い展開も予想できる。
日銀が決断を下すまで、思惑での乱高下が続く。ただ時間が立てば収まり、実需の需給中心の相場に戻るだろう。
3月中旬もデータではトレンドレス。下旬はドル高だ。3月19日の日銀政策決定会合でドル高に転じるのか。10-12月GDP改定値も気になる(設備投資は上方修正、家計消費は下方修正要因)。
(仲値動向基本)
3/11(月)休み明けゴトビ
3/12(火)通常
3/13(水)通常
3/14(木)通常
3/15(金)ゴトキン
*米ドル「通貨3位(首位)、株価(NYダウ)11位(7位)、ドルは首位陥落で3位へ後退。バイデン大統領、パウエル議長が利下げ示唆。今週は消費者物価」
ドルは年初来で前週のトップから3位へ後退した。米長期金利は低下、ただ株価が下落したのは気になるところだ(AI株、半導体株が利食いで下落した)。パウエルFRB議長の議会証言が基調にある。議長は「今年のある時点で政策抑制の縮小を開始するのが適切な可能性が高い」と発言した。
インフレ率は2022年に40年ぶりの高水準を記録して以来「大幅に緩和」しているが、利下げを実施する前にインフレ率の継続的な低下について「より大きな確信を得る」を得る必要が依然としてあるとし、具体的な利下げ開始時期に関しては言及を控えた。従って今週の2月消費者物価は注目される。予想は1月同様に3.1%、コアは3.7%の予想(1月は3.9%)。クリーブランド連銀のCPIナウは3.12%、コアは3.7%えほぼ同じ。サプライチェーンインデックスは安定しておりインフレを加速させる状況ではない。アトランタ連銀GDPナウは2.5%でまずまず。
フェドウオッチではFRBが6月までに利下げに着手する確率は73%となっている。バイデン大統領も、「保証はできないが、きっとそれらの金利はもっと下がるはずだ」と語った。利下げがいつ始まると考えているかは明らかにしなかった。2月雇用統計は、非農業部門雇用者数は前月比27.5人増加と、予想の20万人増を上回ったが過去2カ月分の雇用の増加数が合計16.7万人下方修正されたほか、失業率が約2年ぶりの水準に上昇し、労働市場が減速しつつある可能性が示唆された。
*ユーロ「通貨4位(5位)、株価6位(5位)DAX)、タカ派のドイツも利下げ示唆、先に利下げはECBかFRBか」
経済の勢いからはドルは強く、ユーロは弱いという気がするが、年初来でドルは3位、ユーロは4位とほぼ同じ位置にいる。双方ともに6月利下げ説が出ている。
ECBは先週、政策金利を据え置いた。インフレ見通しは下方修正し、想定よりも早く鈍化していることを確認した。インフレ見通しは2四半期連続で下方修正し、今年の物価上昇率は2.3%、来年は2%と予測した。ラガルド総裁は「今回の理事会では、利下げについて議論しなかったが、インフレ率が目標の2%まで低下するという十分な情報が得られるという条件の下、制約的スタンスの縮小を巡る討議を開始するところだ」とした。 経済成長に対するリスクは依然として下方に傾いているとした。
タカ派の独連銀ナーゲル総裁も「夏休みに入る前に利下げできる可能性がある」との認識を示した。ハト派のビルロワドガロー仏中銀総裁は「春に最初の利下げが行われる可能性は非常に高いと思われる。ECBは利下げをあまり長く待つべきでないとの考えを示し、遅くなってから過剰な引き締めをしなくてすむように、早期に開始し緩やかに進めるのが望ましい」と発言した。
ECB理事会は4月11日と6月6日、FOMCは3月20日、5月1日、6月14日。
*ポンド「通貨2位(3位)、株価16位(16位)、ポンドドル堅調、利下げはFRB、ECBより遅れるだろう」
米ドルを抜いて2位。10年国債利回りは4%を割った。FT株価指数はマイナス圏(年初来マイナス0.95%)。FRBとECBが英中銀より利下げに近づいている兆候を受けて、ユーロ安とドル安に対してポンドが上昇している。 今月の英ポンドは4位、ユーロが7位、ドルが11位となっている。ポンドの堅調さ英国の財政見通しの産物というよりは、パウエルFRB議長が今後数カ月間の利下げに一段と自信を示したことや、ECB理事会が利下げを議論開始を示唆したことを受けてのドルとユーロへの圧力に関連している。
英国はこれまでのところサービスインフレと賃金上昇率の低下が非常に限定的であり、基調インフレが他の地域よりも堅調である可能性を示唆している。 短期金融市場は英中銀の利下げがFRB、ECBより遅い8月となることを織り込んでいる。
ベイリー中銀総裁はインフレ・スパイラルが制御不能になることを監視しており、労働者に大幅な賃上げを求めないよう警告している。中銀エコノミストピル氏は、英国人はエネルギー危機後に自分たちがより貧しくなったことを受け入れるべきだと主張した。
その中で住宅価格は上昇している。ハリファックスの最新データによると英国の住宅価格は2月までの1年間で1.7%上昇し、前月比では0.4%上昇し、5カ月ぶりの上昇となった。
*豪ドル「通貨9位(9位)、株価10位(11位)、ドル安という他力でで豪ドルは上昇、RBAへの批判高まる」
2024年は対ドルで弱いスタートであったが、FRBも利下げを示唆したことで豪ドルが0.65台から0.66台へ買い戻されている。
2023年4Q・GDPは前期比0.2%増と小幅な伸びにとどまり、予想の0.3%増を下回った。家計所得が圧迫され消費が低迷、国際貿易の好調が帳消しとなった。高金利による需要抑制効果が顕著に表れた。
前年比では1.5%増と、前期の2.1%増から減速し、新型コロナウイルスによる景気後退からの回復初期だった2021年初頭以来の低成長となった。人当たりGDPは0.3%減少した。マイナスは3四半期連続で1982年以来最長となる。
景気減速によって、RBAは最初の金利引き下げを8月実施するとの予想が多い。3月の政策会合ではより軟調な政策方針を示す可能性があると見られる。
RBAには批判の声も強まってきた。昨年11月の利上げは必要なものではなかったと。RBAは、需要をに押しつぶし、経済を減速させるために、金利を引き上げた。 消費者は金利上昇と生活費に対する圧力の影響を受けている。RBAが指摘する国内インフレを正当化するだけの十分な需要が経済にはない。金融・財政政策はインフレ抑制から経済成長支援へと軸足を移す必要がある、などだ。
*NZドル「通貨8位(7位)、株価14位(14位)、FRB利下げ示唆で上昇、次の焦点はGDP」
2月、にわかに高まった利下げ観測は急速に後退し対ドルで0.62台から0.60台後半へ急落していたが、パウエルFRB議長の利下げ示唆で先週は一時0.62台を回復した。インフレはまだ4.7%と高い水準にあるが、他の経済指標は弱い。23年4Qの小売売上高は前年比4.1%減と3Qの3.4%減から悪化。2月消費者信頼感(93.6から94.5へ上昇)は改善も企業信頼感は小幅低下(36.6から34.7へ下落)。
23年4Q製造業売上は前年比3.4%減。
次の焦点は、3月21日発表の23年4QのGDPとなる。23年3Q前期比で0.3%減、前年比で0.6%減少であった。予想は出そろっていないが、それぞれ0.1%増、0.4%増とリセッションは免れそうだ。
前期は個人消費支出、政府支出が弱かった。
さて2月に盛り上がった利上げ論争だが、政策金利は5.5%でピークに達しており最近の景気低迷で、現在は2024年下半期に2回の利下げを行うという予想となっている。2023年4Qのデータが得られると、さらなる景気縮小が示される可能性があるとされている。
テクニカル分析
*ドル円「4連続陰線で一時ボリバン3σ下限を下抜く。5日足、5週足、5か月線が下向き」
日足、団子天井から下落、4日連続陰線で一時ボリバン3σ下限を下抜く。3月8日終値の147.06はボリバン2σ下限以下。1月2日-3月8日の上昇ラインがサポート。3月7日-8日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、2月26日週が5週ぶり週足陰線。先週は大陰線。ボリバン2σ中位割る。2月5日週-26日週の上昇ラインを下抜く。1月1日週-3月4日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-2月26日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向く。
月足、今月は陰線スタート。1月-2月の上昇ラインを下抜くがサポート。23年4月-24年1月の上昇ラインがサポート。23年11月-24年年2月の下降ラインが上値抵抗。5か月線下向く、20か月線は上向き。
年足、2022年、2023年と長い上ヒゲの陽線となった。151円後半がダブルトップとなる。22年-23年の上昇ラインがサポート。1985年-2022年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロドル「雲の上に出る。ボリバン2σ上限」
日足、雲の上に出る。ボリバン2σ上限。3月6日-7日の上昇ラインがサポート。12月29日-3月8日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下上向き。
週足、雲中。下ヒゲの長い短い陽線が2週(2月5日週、12日週)続き上昇も先週は先々週を上抜けず。2月26日週-3月4日週の上昇ラインがサポート。12月25日週-3月4日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20日線上向き。
月足、2月は下押すも戻しほぼ寄り引き同時。11月-2月の上昇ラインがサポート。7月-12の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は陽線。ドルより強かった。22年はボリバン2σ下限到達し長い下ヒゲでサポ―ト。今年は陰線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポートできるか。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロ円「ボリバン2σ上限から下限まで下落」
日足、ボリバン2σ上限から下限まで下落。3月1日-4日の上昇ラインを下抜く。ボリバン2σ下限。2月1日-3月8日の上昇ラインがサポート。3月7日-8日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、ボリバン2σ上限へ近づくも連続陰線。1月29日週-3月4日週の上昇ラインがサポート。2月26日週-3月4日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、11月-1月の下降ラインを上抜く。12月-1月の上昇ラインがサポート。11月-2月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、4年連続陽線。24年も陽線スタート。22年-23年の上昇ラインがサポート。08年-23年の下降ラインが上値抵抗。