総括
FX「また急落。10年連続の年足陰線を目指すのか」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.0-5.0
*リラは年初来で最下位へ転落
*対円で10年連続陰線を目指すのか
*対ドルで32リラにのせる。史上最安値
*次回政策金利決定は3月21日
*財務相の「リラの弱さは一時的」発言も空しい
*ただ国民から高インフレへの不満に対する暴動などは起きていない
*フィッチは、トルコの格付けを「B」から「Bプラス」に引き上げ
*1月の失業率は悪化
*2023年GDPは4.5%増
*大統領もインフレ抑制というが効果なし
*貿易赤字が続けばリラ安が続く
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張
*株価は絶好調
*米国は対露貿易に関わるトルコの銀行を制裁か
*預金の4割が外貨預金であることもリラ安要因
*エルドアン大統領はウクライナ・ロシア首脳会談を画策
(リラは年初来で最下位へ転落、株価は最強)
1月は年初来で7位、2月は8位で踏ん張っていたトルコリラだが、今月例年通り最下位に転落した。去年までで9年連続で対円で陰線、今年は10年目。
株価指数(イスタンブール100指数)は年初来22.24%高、日経平均(16.01%高)を引き離した。10年国債利回りは27.61%。
(次回政策金利決定は3月21日)
3月21日に政策金利決定がある。2月消費者物価は67.07%と収まる気配はない。
ただ前回声明で表明したように45%に据え置きか。
高インフレを抑制出来ないが、他の新興国でよく見られる高インフレへの不満に対する暴動などは起きていない。外貨預金、国内高金利、財政支出で不満が和らげられているのだろう。
(リラ下落を一時的という財務相、ただ対円では10年連続陰線に向かっている)
トルコリラは過去1カ月で対米ドルでその価値を約4%下落した。
シムシェク財務相は、最近の外国為替市場の変動は一時的なものと見るべきだと述べ、「健全な」政策を維持すると誓った。
「中央銀行は、自由に使えるあらゆる手段を使ってインフレ期待を定着させることに全力で取り組んでいます。中央銀行のインフレ抑制を支援するために、我々は引き続き財政政策を引き締めるつもりだ」と語った。
シムシェク財務相は、総預金に占めるリラ預金の割合は8月以来12パーセントポイント上昇しており、プログラムへの信頼が高まるにつれてこの傾向は続くだろうという。成長のリバランスは順調に進んでいる。国内消費は減速しており、純輸出は増加していると指摘し、価格安定の達成が依然として最優先事項であると繰り返した。
(フィッチは、トルコの格付けを「B」から「Bプラス」に引き上げ)
フィッチは3月8日、トルコの格付けを「B」から「Bプラス」に引き上げた。金融政策におけるより引き締め的な姿勢がインフレ対応に寄与していると指摘した。見通しも「安定的」から「ポジティブ」に変更した。
フィッチは格上げについて「2023年6月以降に実施された金融政策の耐久性と有効性に対する信頼の高まりを反映している」とした。
昨年5月のエルドアン大統領再選後、トルコは型破りな低金利政策を転換し、主要政策金利を6月時点8.5%から45%まで引き上げた。ただ今年2月の会合では金利据え置きを決定した。
(1月の失業率は9.1%に上昇)
1月の失業率は9.1%に上昇、2023年12月から0.2ポイント上昇した。
失業者数は1月に前月比8万5000人増の320万人となった。
1月の失業率は男性が7.7%、女性が11.7%だった。15~24歳の若年層失業率は16.6%で、前月比1.1ポイント上昇した。この割合は男性で 14.1%、女性で 21.1% 。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
急落。今年も最弱通貨へ、10年連続陰線を目指すのか
日足、急落。3σ下限に沿って下落。3月8日-11日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。雲の下。
週足、ボリバン2σ下限まで下落。2月19日週-26日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、2σ下限近辺で推移。1月-2月の上昇ラインを下抜く。12月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間5.2円から4円台へ沈む。去年当初は僅かに陽転していたが3月から陰転。今年1月は陽線も3月で円に抜きさられ最下位へ。
メルハバ
トルコ大統領、今月末の地方選が「最後の選挙」
エルドアン大統領は、今月31日に行われる地方選挙が自身にとって最後の投票になると述べた。
エルドアン大統領は近代トルコ史上最も成功した政治家で、2002年以来20年以上にわたって国を率いてきた。昨年5月には接戦の末に再選された。
「法律の規定によれば、これが私の最後の選挙となる。この結果は後に続く兄弟姉妹たちへの遺産引き継ぎとなる」と述べた。