500万円をローリスクで運用するならどの投資商品がおすすめ?
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目次

  1. 500万円を運用する際の基本的な考え方4つ
  2. 資産運用におけるローリスクの意味とは?
  3. 500万円をローリスクで運用するならどの投資商品がおすすめ?
  4. 新NISAを利用して500万円を効率良く運用するポイント3つ
  5. ローリスクの運用では物価上昇率を上回る利回りの確保を

老後資金を作るために、資産をローリスクで手堅く運用をしたい人は多いでしょう。

ここでは「500万円前後」「500万円以上」など、まとまった資金をローリスクで運用するのに適した投資商品をご紹介します。

それぞれのメリット・デメリットを整理していますので、ご自身に合った投資商品選びにお役立てください。

500万円を運用する際の基本的な考え方4つ

500万円をローリスクで手堅く運用するためには、投資商品を選ぶ前に「基本的な考え方」を知ることが重要です。投資初心者が押さえておくべき考え方は、以下の4つです。

1.運用目的と目標額を明確にする

資産運用では、長期的な運用を前提に以下の3つを明確にすることが重要です。

明確にしておくべき3つのこと

1.運用の目的
運用の目的を明確にしたほうがよい理由は、それによって目標金額と達成期間を具体化しやすくなるからです。

運用目的の例としては、老後資金やマイホームの購入費用、教育資金などが挙げられます。

2.目標金額
次に、運用目的を達成するための目標金額を決めましょう。

例えば、目的が老後資金の場合は「夫婦で悠々自適に生活するために元手の500万円を運用して2,000万円を作る」といった目標を決めます。

3.達成期間と平均利回り
目標金額が明確になったら、それを達成するまでの期間と平均利回りを決めましょう。

例えば、現在30歳の人が65歳までに約2,000万円を作りたい場合、500万円が元手なら達成までの期間は35年、平均利回りは4%です。

※500万円を平均利回り4%で35年間運用すると約1,973万円(1年周期の複利で計算)になる

2.分散投資を行うためにポートフォリオを構築する

500万円を安定的にローリスクで運用するためには分散投資を活用し、ポートフォリオを構築するのが効果的です。

分散投資とは、複数の種類の資産に投資することを指します。異なる特徴を持つ複数の資産を保有することで、経済や市場の変動に対応しやすくなります。

例えば、一般的に株式と債券の値動きは逆になります。株式価格が下落すると債券価格が上昇するため、株価下落の影響を軽減することができます。

ポートフォリオとは、分散投資を具体的に活用するための異なる資産の組み合わせのことです。例えば、500万円を運用する場合は以下のようなポートフォリオが考えられます。

資産の種類全体に占める割合投資金額
国内株式25%125万円
国内債券25%125万円
外国株式25%125万円
外国債券25%125万円

3.長期投資による複利効果を活用する

長期投資による複利効果を活用することで、500万円を効率的に運用することができます。

複利効果とは、運用で得た利益を再投資することにより、利益が新たな利益を生み出す効果のことです。同じ利回りであれば、複利効果を活用したほうが最終的に得られる利益が増えます。

例えば、500万円を利回り3%で運用した場合、10年後に得られる利益は「複利効果あり」を選んだほうが22万円多くなります。

複利効果あり複利効果なし
172万円150万円

運用期間が長くなるほど複利効果が増すこともポイントです。例えば500万円を利回り3%で運用した場合、運用期間10年よりも30年のほうが利益は542万円多くなります。

運用期間10年運用期間20年運用期間30年
172万円403万円714万円

4.流動性と節税効果も併せて考える

500万円の運用においては、利回りだけでなく「流動性」と「節税効果」も併せて考慮することが重要です。

・流動性
資産運用における流動性とは、資産の現金化のしやすさを指します。

すぐに現金化できる投資商品は「流動性が高い」とされ、逆に現金化が困難な投資商品は「流動性が低い」とされます。

500万円を運用しても十分な手元資金がある人は、流動性が低い投資商品を組み込んだポートフォリオを構築しても問題ありません。

一方、500万円を運用すると手元資金に不安がある人は、流動性が高い投資商品を組み込んだポートフォリオがおすすめです。

※資産運用は余剰資金を利用して行うことが前提です。

・節税効果
資産運用で得られる最終的な利益は、収入から諸費用や税金などを差し引いた金額です。そのため、利回りだけでなく、投資商品に関連する税金にも注意を払う必要があります。

節税効果の高い資産運用の代表は「新NISA」と「不動産投資」です。新NISAでは、非課税枠で購入した金融商品から得た利益に税金が一切かかりません。

通常、株式や投資信託の利益には約20%の税金がかかりますが、新NISAでは非課税となります。

不動産投資では赤字が発生した場合に他の所得と相殺でき、相続税のさまざまな優遇措置も用意されています。

資産運用におけるローリスクの意味とは?

安定的に資産運用をするためには、投資の基礎知識や専門用語の正しい理解が必要不可欠です。

これから資産運用を始める人が最初に覚えるべき専門用語には、「リスク」と「リターン」があります。

資産運用におけるリターンとは、運用によって得られる利益のことです。一方で資産運用のリスクとは、不確実性を指します。

日本で一般的に使われているリスクの意味(危険)と、資産運用で使われているリスクの意味は異なりますので注意しましょう。

ハイリスクとは、将来のリターンや損失が予測困難であり、不確実性が高いということです。

ローリスクとは、将来のリターンを見通しやすく、不確実性が低いということです。ローリスクな運用商品であっても、必ずしも利益が出るとは限らないことに注意しましょう。

500万円をローリスクで運用するならどの投資商品がおすすめ?

ここでは「500万円前後」「500万円以上」の資金をローリスクで運用するのに適した投資商品の特徴をご紹介します。

合わせてそれぞれの投資商品のメリット・デメリットも解説いたします。

1.定期預金の特徴とメリット・デメリット

・定期預金の特徴
定期預金は、預入期間があらかじめ決まっている預金です。

円建ての定期預金と外貨建ての定期預金がありますが、ローリスクでの運用を重視するなら円建てを選ぶとよいでしょう。一般的な金融機関の場合、預入期間は1〜10年です。

・定期預金メリットとデメリット
定期預金のメリットは自由に引き出せないという制約がある分、普通預金よりも利率が高いことです。

例えば、あるネットバンクの普通預金の金利は0.001%ですが、定期預金5年の金利はその80倍の0.080%です。

定期預金のデメリットは、普通預金よりも金利が高いとはいえ、他の金融商品よりも利回りが低めであることです。

例えば、500万円を金利0.080%で運用しても、得られる利息は年間わずか4,000円です。

2.個人向け国債の特徴とメリット・デメリット

・個人向け国債の特徴
企業や団体などが資金の借入のために発行する証書が債券です。

国が発行するのが国債で、日本は個人が購入しやすいよう配慮した「個人向け国債」を発行しています。

これを購入することは日本にお金を貸すということであり、満期になって元本が返済されるまで利子が継続的に支払われます。

・個人向け国債のメリットとデメリット
個人向け国債の最大のメリットは、日本が破綻しない限り元本割れがないことです。

投資商品の中で元本割れがないのは、日本国債や国内金融機関での預金など一部に限られます。

その他、国債には「少額の1万円単位で購入ができる」「中途換金が可能」などのメリットもあります。

個人向け国債のデメリットは、利回りが低いことです。変動金利型10年、固定金利型5年または3年などの種類がありますが、いずれも低金利です。

ただし、500万円以上などまとまった資金を運用すれば、一定の利子を得られます。なお、個人向け国債の購入金額に上限はありません。

3.物価連動国債ファンドの特徴とメリット・デメリット

・物価連動国債ファンドの特徴
物価連動国債(インフレ連動国債)は、日本の物価(生鮮食品を除く全国消費者物価指数)の動向に合わせて元本が変動する国債です。

満期までの利率は変わらないものの、元本が増減することで利息も増減します。

10年ものであれば個人投資家でも購入できますが、物価連動国債をテーマにしたファンドなら証券口座などを通して手軽に購入できます。

・物価連動国債ファンドのメリットとデメリット
物価連動国債のメリットは、インフレが進むと元本と利息が増加するため、インフレリスクを回避できることです。デメリットは、デフレが進むと元本と利息が減少してしまうことです。

4.国内債券型ファンドの特徴とメリット・デメリット

・国内債券型ファンド特徴
投資信託は投資先によってリスクが変わりますが、複数の公社債に分散投資をする債券型は株式型よりもローリスクといわれています。

その理由は、一般的に債券は株式に比べて価格変動の振れ幅が小さいからです。債券型の中でも国内債券を対象にしたファンドは、為替リスクもありません。

・国内債券型ファンドメリットとデメリット
国内債券型ファンドの中でも日本国債を中心に運用しているものには、極めてリスクが低いというメリットがあります。

ただし、市場金利の上昇などの影響を受けて債券価格が下落すると、ファンドの基準価額も連動して下落するというリスクがあります。

5.インデックスファンドの特徴とメリット・デメリット

・インデックスファンドの特徴
インデックスファンドとは、市場全体の値動きを示す指数(日経平均やNYダウなど)と連動する成果を目指す投資信託のことです。

連動する指数には株価指数の他、債券指数やリート指数などもあります。一般的に、指数以上の成果を目指すアクティブファンドよりもローリスクで運用できるといわれています。

・インデックスファンドのメリットとデメリット
インデックスファンドは指数と連動する成果を目指しているため、値動きがわかりやすいというメリットがあります。

また、運用コストが安いことも魅力です。デメリットとして、短期で利益を獲得しにくいことが挙げられます。

6.連続増配株の特徴とメリット・デメリット

・連続増配株の特徴
株式投資でローリスクな銘柄を選びたい人には、連続増配株がおすすめです。

連続増配株とは、「年間の1株当たりの配当金」が堅調に増加し続けている銘柄のことです。

連続増配株の購入は、安定性や成長性の高い企業に投資をすることと同じであるため、ローリスクでの運用が期待できます。

・連続増配株のメリットとデメリット
連続増配株のメリットは、株式市場の下落に強いことです。

その理由は、十分な配当を出している銘柄の株価が下落すると配当利回りが上昇する傾向があり、買い支えが入りやすいからです。

デメリットは、成長株と比べて短期間で大きな値上がりが期待できないことです。

7.貯蓄型保険の特徴とメリット・デメリット

・貯蓄型保険の特徴
貯蓄型保険は、万が一の場合の保障を得ながら貯蓄ができる商品です。

支払期間中に保険料の一部が積み立てられ、満期時には保険金、解約時には解約返戻金を受け取れます。

貯蓄型保険には、養老保険や個人年金保険などがあります。500万円を運用する場合は、一括払いを選択するとよいでしょう。

・貯蓄型保険のメリットとデメリット
貯蓄型保険のメリットは、万が一場合に備えながら資金を運用できることです。

また、生命保険料控除を受けられるという魅力もあります。デメリットは、お金が必要になった時に現金化できないことです。

8.区分オフィス投資の特徴とメリット・デメリット

・区分オフィス投資の特徴
不動産投資は物件を購入し、その賃料収入や売買益で利益を得る仕組みで、一般的にローリスクまたはミドルリスクといわれています。

対象となる物件にはオフィスビルやテナントビル、集合住宅などがあります。オフィスビルの1室を購入して運用するのが「区分オフィス投資」です。

特に好立地のオフィスビル物件を1棟(ビル全体)で購入するとなると、多額の資金が必要です。

しかし、区分所有なら500万円程度の資金をローンの頭金にすることで、オフィス投資を始められます。
※物件によっては500万円以上の頭金が必要になることもあります。

・区分オフィス投資の特徴メリットとデメリット
金融商品と比べた場合の区分オフィス投資のメリットは、ローンを活用することで手元資金にレバレッジをかけられることです。

保有している500万円の何倍もの資金を運用することで、同じ利回りでもより大きな利益を得られます。

区分オフィス投資のデメリットは、株式や投資信託と比べて流動性が低いことです。

ネットで即日売却するといったことができません。そのため、買い付けが入りやすい一等地や好立地の物件を選ぶことが重要です。

9.不動産小口化商品の特徴とメリット・デメリット

・不動産小口化商品の特徴
不動産小口化商品は、ビルや一棟マンションなどの高額な不動産を1室(または1フロア)に分割した商品です。運営事業者が複数の投資家から資金を募り、それをもとに物件を取得・運用します。

近年、法律改正などの影響で不動産小口化商品が増えており、それに伴って個人投資家からの注目度も高まっています。

500万円を運用する場合は、資金の大きさに見合った1口100万円(5口で500万円)などの商品を選ぶのがポイントです。

・不動産小口化商品のメリットとデメリット
不動産小口化商品のメリットは「現物の不動産投資よりも購入価格が低い」「安定した利益を得やすい」「相続税対策に有効(任意組合型)」などです。

デメリットとして、運用中に解約できないこと(または解約しにくいこと)が挙げられます。

新NISAを利用して500万円を効率良く運用するポイント3つ

500万円をローリスクで効率的に運用するためには、適切な投資商品を選ぶだけでなく、新NISAなどの節税制度を活用することも重要です。

新NISAを活用するためのポイントは、以下の3つです。

1.非課税枠をしっかり使いこなす

新NISAには非課税枠が用意されていますが、それを使いこなさなければ節税効果を得られません。

新NISAでは、累計1,800万円の総非課税枠(うち成長投資枠の上限は1,200万円)を無期限で使えます。ただし、年間で利用できる非課税枠は360万円です。

この年間非課税枠360万円があるため、1年目で500万円をすべて新NISAに投資することはできません。

そのため、複数年に分割して新NISAに投資をするか、新NISAとその他の投資商品(生命保険や不動産など)を併用するといった対応が必要です。

新NISAの年間の非課税枠は360万円ですが、その内訳はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。

つみたて投資枠長期・積立・分散投資に適した投資信託が運用できる
成長投資枠幅広い投資信託と上場株式が運用できる

2.成長投資枠でもローリスク商品の運用が可能

成長投資枠では、つみたて投資枠の対象である「長期・積立・分散投資」に適した投資信託も購入できます。

ローリスクでの運用を重視している人には、累計1,800万円の総非課税枠をすべて長期・積立・分散投資に適した投資信託で運用することをおすすめします。

3.資産がある人は早い段階で投資枠に達したい

ローリスクでの運用では長期的な積立が重要です。

一方で、新NISAの節税効果を最大限に活用するためには、累計1,800万円の総非課税枠に早く到達することも重要です。

総非課税枠に達するまでの期間は最短5年です(年非課税枠360万円×5年=1,800万円) 。

資産に余裕がある人は、新NISA口座を活用して積極的に投資商品を購入することをおすすめします。

ローリスクの運用では物価上昇率を上回る利回りの確保を

あらゆる投資商品において、リスクとリターンは比例します。つまり、ローリスクということはローリターンということです。

ローリターンといっても、インフレが進んでいる局面では物価上昇率を上回る利回りを確保しなければなりません。

なぜなら、利回りが物価上昇率を下回ると実質的には資産が目減するからです。

例えば、物価上昇率が2%であれば利回りは3%以上、物価上昇率が3%であれば利回りは4%以上を確保したいところです。

そのため、ローリスク・ローリターンの投資商品を選ぶ際は、物価上昇率もチェックしましょう。

(提供:ACNコラム