500万円前後、あるいは500万円以上の資金をどのような方法で運用するか迷っている人もいるかもしれません。
本稿では、500万円を投資する前に押さえておきたいポイントや、まとまった資金の投資に適した10の方法の特徴とメリット・デメリットについて紹介します。
本記事を読むことで、自分に合った投資方法を見つけやすくなるでしょう。
- 効率的な資産運用を考えた場合は「複利」を選ぶのがよい
- 自分のリスク許容度にあった投資方法を選択するのがよい
- 500万円を投資する場合、目標額と期限の明確にしておく必要がある
目次
500万円を投資する前に押さえておきたい3つのポイント
500万円を賢く運用するためには、投資の基本を意識することが重要です。
これにより、自分の目標に合った投資を実行しやすくなります。
なかでも重要性が高いと考えられる投資の基本は、以下の3つです。
1.単利と複利
500万円の投資をする前に押さえておきたいポイントの1つ目は、「単利」と「複利」の違いを認識することです。
一般的に効率的な運用を考えた場合は「複利」を選ぶのがよいでしょう。
単利 | 元本に対して得られる利益 |
---|---|
複利 | 元本に加えて投資で得た利益を再び投資して生み出す利益 |
・単利|元本で得た利益
単利とは、元本に対して得られる利益のことを指します。
たとえば、500万円の元本で単利による投資を始めた場合、利回り5%であれば1年で得られる利益は25万円です。
単利の場合、翌年以降も同じように500万円を投資に回して25万円の利益を得ていきます。
・複利|元本+利益で得た利益
複利とは、元本に加えて投資で得た利益を再び投資して生み出す利益を指します。
複利では「元本+利益」で利回りが得られるため、効率的な運用が可能です。
たとえば、500万円の元本を利回り5%で運用した場合、複利と単利では以下のような差になります。
投資方法 | 得られる利益(累計) |
---|---|
単利(年利回り5%) | 1年目:25万円 10年目:250万円 20年目:500万円 30年目:750万円 |
複利(年利回り5%) | 1年目:25万円 10年目:約314万円 20年目:約827万円 30年目:約1,661万円 |
500万円の投資を単利と複利で比較した場合、30年目の利益差は約911万円になります。
2.分散投資と集中投資
500万円の投資をする前に押さえておきたいポイントの2つ目は「分散投資」と「集中投資」の違いを意識することです。
分散投資 | リスクを軽減しやすい |
---|---|
集中投資 | ハイリターンを狙いやすい |
これらは、どちらが良い悪いという類のものではありません。
あくまでも自分が重視する投資対象に合わせて選ぶことが重要です。
・分散投資|リスクを軽減しやすい
分散投資では、資金を複数の資産に分散して運用していきます。
この手法は、投資の初心者やリスクの軽減を重視する人向きです。
分散投資には「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」の3つの分散があります。
分散方法 | 内容 |
---|---|
資産の分散 | 値動きの異なる資産や銘柄を組み合わせる |
地域の分散 | 特性の異なる地域・国の資産や銘柄を組み合わせる |
時間の分散 | 値動きに関係なく同じペースで同じ額の資産や銘柄を買い付けていく |
たとえば「資産の分散」を適用して500万円を投資する場合、国内の投資信託と株式にそれぞれ100万円ずつ、国内債券に200万円、外債に100万円を振り分けるようなやり方です。
・集中投資:ハイリターンを狙いやすい
集中投資は、特定の投資商品や銘柄に絞って運用していく投資方法です。
元本を大きく減らす可能性がある一方、ハイリターンを狙うことができます。
集中投資の具体的な例としては、新興企業の株式1銘柄に500万円の全額を投じるようなやり方です。
この場合、株式がテンバガー(10倍以上に成長する銘柄)になれば保有資産が5,000万円以上になります。
しかし株価が10分の1以下に急落すれば保有資産が50万円以下になるハイリスクな点も忘れてはいけません。
3.リスクとリターン
500万円の投資をする前に押さえておきたいポイントの3つ目は、リスクとリターンの関係を正しく認識することです。
なかには、リスクの意味を「危険」や「損をする」と解釈している人もいるかもしれません。
しかし投資におけるリスクとは「損失と利益の振れ幅」のことを指します。
たとえばリスクが大きいとは、大きな利益が期待できる一方で大きな損失を被る可能性があるということです。
「リスクとリターンは比例関係にある」というのが投資の鉄則です。
リスクが大きい場合、期待できるリターンも大きくなります。
逆にリスクが小さい場合、期待できるリターンも少なくなることが一般的です。
元手の500万円をどれくらいのリスクとリターンで運用するのかを決めたあとに具体的な投資方法を選ぶことが重要になります。
500万円の投資に適した10の方法を比較|特徴・メリット・デメリットを解説
500万円というまとまった資金をどのように運用すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
銀行に預けておくだけでは物足りない、でもリスクは避けたい、そんな方にぴったりの投資の方法を紹介します。
500万円の投資に適した10種類の投資方法を徹底比較し、それぞれの特徴、メリット、デメリットをわかりやすく解説します。
定期預金のような低リスクな方法から、上場株式や不動産投資のような高リターンが期待できる方法まで、幅広く取り上げます。
1.定期預金
定期預金は、一定期間、決められた金額を銀行等に預け入れる資産運用方法です。
普通預金と比べて利率が高く、預入期間は1ヶ月から10年程度まで選べます。
期間が長いほど金利が上がる傾向にあります。
金融機関ごとに固定金利型、変動金利型、単利型、複利型などさまざまな種類を用意しています。
一般的に、ネットバンクの金利は実店舗型の銀行よりも高めの傾向です。
中途解約は可能ですが、当初の約定金利より低い金利が適用されるペナルティがあります。
元本が保証され、預金保険制度の対象となるため、安全性の高い運用方法として知られています。
ただし、現在の日本では超低金利政策により利回りは極めて低く、インフレ率を考慮すると実質的にマイナスリターンとなる可能性があります。
そのため、資産形成の手段としては限界があることも理解しておく必要があります。
定期預金のメリット
定期預金には主に以下のメリットがあります。
- 1.普通預金に比べて金利が高め
- 2.手数料が必要ない
- 3.ペイオフ内であれば元本割れリスクがない
・1.普通預金に比べて金利が高め
定期預金は、普通預金と比べて金利が高めに設定されていることが一般的です。
これは、お金を一定期間預け入れることを約束することで、金融機関がより高い利息を支払うという仕組みです。
そのため、同じ金額を預けても、普通預金よりも定期預金のほうがより多くの利息を得ることができます。
・2.手数料が必要ない
定期預金は、口座開設や解約などの際に、手数料がかからないことがほとんどです。
他の金融商品と比較して、コストを抑えて運用できる点が魅力です。
ただし、途中で解約する場合には、金利が低くなるなど、ペナルティが適用されることがあります。
・3.ペイオフ内であれば元本割れリスクがない
定期預金は、預金保険制度の対象となっています。
金融機関が破綻した場合でも、ペイオフの範囲内である1,000万円まで保護されます。
定期預金のデメリット
続いては定期預金のデメリットを解説します。
- 1.他の投資方法と比べて利回りが低い
- 2.必要なときに手軽にお金を引き出せない
・1.他の投資方法と比べて利回りが低い
定期預金は元本が保証される代わりに、他の投資方法(株式や投資信託など)と比較して利回りが低い傾向にあります。
特に、インフレ率が上昇している時期には、実質的な利回りがマイナスになる可能性もあり、物価の上昇に対して資産が減ってしまうリスクがあります。
より高い収益を求める場合は、リスクを取って他の投資商品を検討する必要があるでしょう。
・2.必要なときに手軽にお金を引き出せない
定期預金は、契約期間中に中途解約すると、受け取れる利息が少ななる可能性があります。
また、いざというときに必要な資金をすぐに引き出すことが難しく、資金の運用に柔軟性がありません。
緊急時の備えとして、一部のお金をいつでも引き出せる普通預金と併用するなど、資金の分散が大切です。
2.外貨預金
外貨預金は、円をドルやユーロなどの外国通貨に換えて預け入れる資産運用方法です。
為替相場の変動により、預け入れ時よりも円に戻す時のレートが有利になれば為替差益が得られます。
また、一般的に日本円より高金利で運用できる可能性があります。
ただし、為替相場が円高に振れると、円換算での元本割れのリスクがあります。
また、外貨の売買時には手数料(為替手数料)がかかり、これは損益を計算する際の重要な考慮要素となります。
一般的に、外貨預金は預金保険制度の対象外となるため、銀行が破綻した場合の保護はありません。
外貨預金のメリット
外貨預金の主なメリットは以下になります。
- 1.国内の一般的な預金よりも利息が高いことが多い
- 2.預入時よりも円安になれば為替差益が生じる
- 3.為替予約を使えば為替変動リスクを回避できる
・1.国内の一般的な預金よりも利息が高いことが多い
外貨預金は、日本の預金と比べて金利が高めに設定されていることが多いです。
特に、新興国通貨などは高金利なものが多く、より多くの利息を得たい方にとっては魅力的な選択肢となります。
ただし、金利は変動するため、常に最新の情報を把握しておくことが重要です。
・2.預入時よりも円安になれば為替差益が生じる
もし、外貨預金をしている通貨が円に対して価値が上昇(円安)した場合、為替差益を得ることができます。
たとえば、米ドルで預金していて、ドル円が円安に動けば、円に換算した際に預けた金額よりも多くのお金が戻ってくるということです。
・3.為替予約を使えば為替変動リスクを回避できる
外貨預金の大きなリスクの一つが、為替レートの変動による損失です。
しかし、為替予約を利用することで、将来の一定のレートで通貨を交換することを約束することができます。
これにより、為替変動リスクを回避し、円安に備えることができます。
外貨預金のデメリット
外貨預金の主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.預入時よりも円高になれば為替差損が生じる
- 2.円を外貨に変える際に為替手数料がかかることがある
- 3.預入時や引出時に手数料がかかることがある
- 4.日本の預金と異なり金融機関が破たんしても元本が保護されない
・1.預入時よりも円高になれば為替差損が生じる
預けたときよりも円高になると、外貨を円に換える際に損失が生じます。
つまり、預けた金額よりも少ない金額しか手元に戻ってこない可能性があります。
・2.円を外貨に変える際に為替手数料がかかることがある
円を外貨に交換する際や、その逆の際に為替手数料がかかります。
この手数料は、取引金額に応じて変動するため注意が必要です。
・3.預入時や引出時に手数料がかかることがある
外貨預金口座の開設や、預入、そして引き出しの際にも手数料がかかることがあります。
・4.日本の預金と異なり金融機関が破たんしても元本が保護されない
日本の預金保険制度は、外貨預金には適用されません。
そのため、金融機関が破綻した場合、預けているお金が戻ってこない可能性があります。
3.投資信託
投資信託は、多数の投資家から集めた資金をひとつの大きな資金としてまとめ、専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに分散投資する商品です。
少額から始められ、専門知識がなくても幅広い投資が可能です。
投資対象や運用方針によってさまざまな種類があり、株式型、債券型、バランス型などから選べます。
分散投資により単一銘柄への投資リスクを軽減できる利点があります。
ただし、市場の変動により元本割れのリスクがあり、運用手数料(信託報酬)や売買手数料がかかります。
また、投資先や運用方針が固定されているため、投資家が個別の投資判断をおこなうことはできません。
投資信託のメリット
投資信託の主なメリットは以下になります。
- 1.投資のプロに運用を任せられる
- 2.世界中の(または国内の幅広い)資産に手軽に分散投資できる
- 3.100円からの少額投資ができる
- 4.定期的な監査があるため透明性が高い
・1.投資のプロに運用を任せられる
投資信託は、プロの運用者が市場を分析し、最適な銘柄を選んで運用します。
そのため、投資初心者でも専門的な知識がなくても、手軽に資産運用を始められます。
・2.世界中の(または国内の幅広い)資産に手軽に分散投資できる
投資信託は、複数の投資家の資金を集めて、さまざまな銘柄に分散投資をおこないます。
これにより、特定の銘柄の価格が下落した場合のリスクを分散し、安定的な運用を目指せます。
・3.100円からの少額投資ができる
投資信託は、100円程度から投資することができ、少額から資産形成を始めたい方にとって魅力的です。
・4.定期的な監査があるため透明性が高い
金融商品取引法に基づき、定期的にファンドの状況が公表され、投資家はいつでも確認することができます。
また、外部の専門家による監査がおこなわれるため、透明性が高いと言えます。
投資信託のデメリット
投資信託の主なデメリットは以下になります。
- 1.選択肢が多く銘柄選びに迷いやすい
- 2.購入時、保有時、解約時などに手数料がかかる(ファンドによって異なる)
- 3.短期間でハイリターンを狙うのは不向きな商品が多い
・1.選択肢が多く銘柄選びに迷いやすい
投資信託の種類は非常に多く、国内株式、海外株式、債券など、さまざまな種類があります。
また、同じ種類の中でも、投資対象や運用スタイルが異なるものが数多く存在します。
そのため、どの投資信託を選べば良いのか、初心者にとっては迷ってしまうことが少なくありません。
・2.購入時、保有時、解約時などに手数料がかかる(ファンドによって異なる)
投資信託には、購入時(申込手数料)、保有時(信託報酬)、解約時(解約手数料)などに手数料がかかります。
これらの手数料は、投資信託の種類や販売会社によって異なります。
手数料は、投資収益を圧迫する要因となるため、注意が必要です。
・3.短期間でハイリターンを狙うのは不向きな商品が多い
投資信託は、長期的な資産形成を目的とした商品です。
短期的な値動きに左右されやすく、短期で大きな利益を得ることは難しい場合があります。
また、頻繁に売買を繰り返すと、手数料がかかり、結果的に損失となる可能性もあります。
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投資信託の利益はいくらから確定申告が必要?申告が不要なケースも解説
4.上場株式
上場株式は、証券取引所に上場している企業の株式を売買して利益を得る投資方法です。
株価の値上がり益(キャピタルゲイン)と企業からの配当金(インカムゲイン)の2つの収益が期待できます。
株式投資は自身の判断で投資先を選び、売買のタイミングを決められる主体的な運用が可能です。
ネット証券の普及により、少額から取引を始められ、手数料も比較的安価になっています。
上場株式を購入した人が得られるリターンは3種類あります。
値上がり益 | 株価が上昇したときに得られる利益 |
---|---|
配当金 | 企業によって収益の一部が年1~2回程度還元される |
株主優待 | 一部の企業では一定株数および一定期間保有する株主に自社製品や優待券などを提供している |
上場株式のメリット
上場株式のメリットの主なメリットは以下のとおりです。
- 1.株価が高騰すれば短期間で大きな値上がり益を得られる
- 2.長期的に安定して配当金を得られる銘柄もある
- 3.株主総会など発行企業の経営に関われる
・1.株価が高騰すれば短期間で大きな値上がり益を得られる
上場株式は、企業の業績が好転したり、新しい技術や製品が開発されたりすることで、株価が急騰する場合があります。
そのため、短期間で大きな値上がり益を得る可能性があります。
・2.長期的に安定して配当金を得られる銘柄もある
多くの上場企業は、株主に対して配当金を支払います。
配当金は、企業の利益の一部を株主に分配するもので、安定的な収入源となる可能性があります。
・3.株主総会など発行企業の経営に関われる
株主は企業の所有者の一人です。
株主総会に参加することで、企業の経営に関する議決権を行使したり、経営陣に質問したりすることができます。
企業の経営に直接関わることで、より深く企業を理解し、投資判断に活かすことができます。
上場株式のデメリット
上場株式の主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.不祥事や経営不振などで株価が急落するリスクがある
- 2.発行企業が破たんした場合、株式の価値がなくなる可能性がある
- 3.流通量が少ない、株価が急落したなどの理由で取引が停止することもある
・1.不祥事や経営不振などで株価が急落するリスクがある
企業の業績悪化、不祥事発覚、業界全体の不況など、さまざまな要因によって株価は急落する可能性があります。
特に、個別企業の株価は、企業特有のリスクに大きく左右されるため、投資損失が出るリスクは高いといえます。
・2.発行企業が破たんした場合、株式の価値がなくなる可能性がある
投資している企業が倒産した場合、保有している株式の価値はほぼゼロになります。
特に中小企業や新興企業の株式は、大企業に比べて倒産リスクが高い傾向にあります。
・3.流通量が少ない、株価が急落したなどの理由で取引が停止することもある
株式の売買は、証券取引所でおこなわれますが、全ての株式が活発に取引されているわけではありません。
特に人気のない銘柄は取引量が少なく、希望の価格で売買できない場合があります。
また、市場の混乱やシステム障害などにより、取引が一時的に停止されることもあります。
5.ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)は、株式市場で取引される投資信託の一種です。
特定の指数や資産を追跡し、低コストで分散投資が可能な金融商品です。
株式のように売買でき、さまざまな市場や業種、地域に投資できるため、個人投資家にとって柔軟で効率的な運用手段となっています。
リスク分散と手軽さが特徴で、長期投資に適しています。
なお、通常の投資信託は証券取引所に上場していません。
通常の投資信託とETFには、以下のような違いがあります。
通常の投資信託 | ETF(上場投資信託) | |
---|---|---|
取引方法 | 証券会社や銀行などを経由して注文 | 商品取引所に注文 |
基準価額 | 翌営業日に公表されるのが一般的 | 株式市場の営業日はリアルタイムで変動 |
手数料 | ETFに比べて高い傾向 | 投資信託に比べて低い傾向 |
ETFのメリット
ETFの主なメリットは以下のとおりです。
- 1.株式投資に慣れている人は取引しやすい
- 2.株式市場の値動きがリアルタイムで反映されやすい
- 3.比較的、低い手数料で運用できる
・1.株式投資に慣れている人は取引しやすい
ETFは株式と同じように証券取引所で売買できます。
そのため、株式投資の経験がある人にとっては、取引方法が既にわかっているため、スムーズに始めることができます。
また、証券会社の取引システムも株式と共通していることが多いので、使い慣れたツールでETFの取引を行うことができます。
・2.株式市場の値動きがリアルタイムで反映されやすい
ETFは株式市場の指数に連動して価格が変動します。
そのため、株式市場の値動きがリアルタイムでETFの価格に反映されやすく、市場の動向を捉えながら取引を行うことができます。
日中の取引時間中であれば、随時売買注文を出すことが可能です。
・3.比較的、低い手数料で運用できる
ETFは一般的に投資信託に比べて信託報酬が低い傾向にあります。
これは、ETFが指数に連動するパッシブな運用を行うため、ファンドマネージャーによる運用コストがかからないからです。
また、ETFは株式と同様に取引されるため、売買手数料も株式とほぼ同等の水準で抑えられます。
ETFのデメリット
ETFの主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.投資信託に比べて特徴のある銘柄が少ない
- 2.基準価額と市場価格が必ずしも一致しない
・1.投資信託に比べて特徴のある銘柄が少ない
ETFは、特定の指数に連動する商品が中心です。
そのため、特定のテーマやセクターに特化したような、投資信託で見られるようなユニークな銘柄は少ない傾向にあります。
投資の目的に合わせて、より細分化された投資を行いたい場合には、選択肢が限られてしまう可能性があります。
・2.基準価額と市場価格が必ずしも一致しない
ETFは、市場で取引されるため、その価格(市場価格)は常に変動します。
一方、ETFの基準価額は、その時点での構成資産の価値に基づいて算出されるため、市場価格と一致しない場合があります。
特に、市場が大きく変動した際には、両者の乖離が大きくなる可能性があります。
6.J-REIT
J-REIT(日本版不動産投資信託)は、不動産から得られる賃貸収入や売却益を投資家に分配する上場金融商品です。
オフィスビル、商業施設、住宅などの不動産を運用し、安定的な分配金が特徴です。
株式市場で取引可能で、不動産投資を少額から始められるメリットがあります。
配当利回りが高く、不動産市場に間接的に投資できる魅力的な資産運用の選択肢となっています。
対象となる不動産には、オフィスビルやマンション、商業施設、ホテルなどが含まれます。
J-REITのメリット
J-REITの主なメリットは以下のとおりです。
- 1.不動産のプロに運用を任せられる
- 2.複数の不動産に分散投資ができる
- 3.1口あたり10万円程度など少額投資ができる
- 4.流動性と利益の分配率が高い
・1.不動産のプロに運用を任せられる
J-REITは、不動産投資のプロフェッショナルによって運用されています。
そのため、不動産の選定、賃貸管理、売却など、不動産投資に関する専門的な知識や経験がなくても、気軽に不動産投資を始められます。
不動産投資の専門知識や手間をかけずに、不動産市場の成長に参画することができます。
・2.複数の不動産に分散投資ができる
J-REITは、複数の不動産に分散投資できる仕組みになっています。
個人が直接不動産を購入する場合、1つの物件に多額の資金が必要になりますが、J-REITであれば、少額の資金で複数の不動産に分散投資することができます。
これにより、個々の不動産の価格変動リスクを分散し、安定的な収益を得る可能性を高めることができます。
・3.1口あたり10万円程度など少額投資ができる
J-REITは、1口あたりの価格が比較的安いため、少額から投資を始めることができます。
不動産投資は一般的に高額なイメージがありますが、J-REITであれば、手軽に不動産投資を体験できます。
・4.流動性と利益の分配率が高い
J-REITは証券取引所に上場しているため、株式と同じように売買できます。
そのため、他の投資商品と比較して流動性が高く、必要な時に換金しやすいというメリットがあります。
また、J-REITは、利益のほとんどを投資家に分配する仕組みになっているため、高い配当金を得られる可能性があります。
J-REITのデメリット
J-REITの主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.空室や災害、投資法人破たんなどのリスクがある
- 2.株式投資信託などの配当金と異なり、配当控除を受けられない
- 3. 株式市場の影響を受けやすい
・1.空室や災害、投資法人破たんなどのリスクがある
J-REITは不動産に投資するため、空室や災害による家賃収入の減少、さらには投資法人の経営破たんのリスクがあります。
特に、大規模な自然災害が発生した場合、不動産の価値が大きく下落し、投資元本が大幅に減少する可能性も考えられます。
・2.株式投資信託などの配当金と異なり、配当控除を受けられない
J-REITから受け取る分配金は、株式投資信託などの分配金と異なり、配当控除の対象となりません。
そのため、税金がかかる金額が大きくなり、実質的な利回りが低下する可能性があります。
・3. 株式市場の影響を受けやすい
J-REITは証券取引所に上場しているため、株式と同様に株式市場の影響を受けやすいです。
株式市場が下落すると、J-REITの価格も下落する可能性があり、投資元本が減少するリスクがあります。
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7.未上場株式投資
未上場株式投資は、株式市場に上場していない企業の株式に投資する方法です。
主にベンチャー企業や成長企業を対象とし、将来の株式公開(IPO)や企業価値の上昇によるキャピタルゲインを期待します。
リスクは高いものの、成功すれば大きなリターンが見込めます。
プライベートエクイティやクラウドファンディング、ベンチャーキャピタルを通じて投資することが一般的で、専門的な知識と高い投資能力が求められます。
未上場株式投資のメリット
未上場株式投資の主なメリットは以下のとおりです。
- 1.1口あたり10万円程度など少額投資ができる
- 2.IPO(新規上場)や第三者への売却による利益が期待できる
- 3.エンジェル税制による節税が期待できる
・1.1口あたり10万円程度など少額投資ができる
未上場株式投資は、一般的に1口あたりの金額が比較的低く設定されていることが多く、少額から投資を始めることができます。
上場企業の株式と比較して、個人投資家でも比較的参入しやすい点が魅力です。
・2.IPO(新規上場)や第三者への売却による利益が期待できる
未上場企業は、将来IPO(新規上場)を果たす可能性があります。
IPOが行われた場合、株式の価値が大幅に上昇する可能性があり、大きなリターンが期待できます。
また、未上場企業が他の企業に買収されたり、第三者に株式を売却したりする場合にも、高額な売却益を得られる可能性があります。
・3.エンジェル税制による節税が期待できる
未上場株式への投資に対しては、エンジェル税制と呼ばれる優遇税制が適用される場合があります。
エンジェル税制を利用することで、株式売却益の一部を非課税にすることができ、節税効果が期待できます。
ただし、エンジェル税制の適用要件は複雑であり、事前に税理士など専門家に相談することが重要です。
未上場株式投資のデメリット
未上場株式投資の主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.投資先企業の破たんリスクがある
- 2.事業が頓挫し、企業成長が停滞する可能性がある
- 3.上場株式に比べて流動性が低い(ただし一部、二次市場もある)
・1.投資先企業の破たんリスクがある
未上場企業は、上場企業に比べて情報開示が少なく、財務状況が不透明な場合が多いです。
そのため、経営状況が悪化し、倒産してしまうリスクが上場企業に比べて高いといえます。
倒産した場合、投資した資金が全額失われる可能性があります。
・2.事業が頓挫し、企業成長が停滞する可能性がある
未上場企業は、まだ事業が立ち上げられたばかりであったり、成長段階にあることが多いため、事業計画が頓挫し、企業成長が期待できない可能性があります。
特に、新しい技術やサービスを開発しているようなベンチャー企業は、事業が成功するかどうかが不確実なため、リスクが高いと言えます。
・3.上場株式に比べて流動性が低い(ただし一部、二次市場もある)
未上場株式は、証券取引所に上場していないため、自由に売買することができません。
売却したい場合、企業に買い戻しを依頼したり、別の投資家に譲渡したりする必要があります。
そのため、上場株式に比べて流動性が低く、必要な時にすぐに現金化できない可能性があります。
ただし、近年では、未上場株式の二次市場が少しずつ発展しており、売却の機会が増えてきています。
8.債券
債券は、投資家が企業や政府に資金を貸し付け、定期的に利子を受け取る金融商品です。
発行体は借りた資金の返済と利子の支払いを約束し、投資家は安定した収入を得られます。
国債、地方債、社債などの種類があり、株式と比べてリスクが低く、安定性が高い投資手段として知られています。
金利や発行体の信用力によって、利回りや安全性が変わります。
債券のメリット
債券の主なメリットは以下のとおりです。
- 1.定期的に利息を受け取ることができる(利付け債の場合)
- 2.日本国債の場合は発行元の破たんリスクが原則ない
- 3.原則中途換金が可能(ただし中途換金の可否は銘柄による)
・1.定期的に利息を受け取ることができる(利付け債の場合)
債券には、一定期間ごとに利子が支払われるものがあります。
これを利付け債といい、その利息はいわば「家賃」のようなものです。
債券を購入することで、定期的に収入を得ることができます。
株のように株価の変動で損失が出るリスクは低い点が特徴です。
・2.日本国債の場合は発行元の破たんリスクが原則ない
日本国債は、日本政府が発行する債券です。
政府は、税収などを通じて安定的に収入を得ており、破綻する可能性は極めて低いと考えられています。
そのため、日本国債は安全性が高い投資商品として知られています。
・3.原則中途換金が可能(ただし中途換金の可否は銘柄による)
多くの債券は、満期前に売却することが可能で、これを中途換金といいます。
ただし、債券の種類や市場の状況によっては、売却時に損失が出る可能性もあります。
中途換金ができるということは、資金が必要になった際に、比較的自由に資金化できるというメリットがあります。
債券のデメリット
債券の主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.発行元の破たんリスクがある
- 2.一般的に投資信託や不動産よりも利回りが低い
- 3.短期で大きなリターンを狙うことは難しい
・1.発行元の破たんリスクがある
債券は、企業や政府などが発行する借用証書のようなものです。
発行元が倒産してしまうと、利子の支払いや元本の返済が受けられなくなるリスクがあります。
特に、信用力の低い企業が発行する債券は、このリスクが高いといえます。
・2.一般的に投資信託や不動産よりも利回りが低い
債券の利回りは、一般的に投資信託や不動産投資に比べて低めです。
これは、債券が比較的安全な投資商品であるため、高いリターンを求める投資家にとっては物足りなく感じるかもしれません。
・3.短期で大きなリターンを狙うことは難しい
債券は、長期的な視点で安定した収入を得ることを目的とした投資商品です。
株のように短期で大きな価格変動が起こることは少なく、そのため、短期で大きなリターンを狙うことは難しいといえます。
9.不動産投資
不動産投資とは、土地や建物を購入し、その資産から収益を得る投資方法です。
主な収益源は、賃貸収入と資産価値の上昇です。
アパートやマンション、オフィスビル、商業施設などに投資し、テナントからの家賃収入や、物件の値上がり益を期待します。
初期投資額が大きく、管理コストもかかりますが、長期的な資産形成に有効な投資戦略として注目されています。
リスクと収益性のバランスを見極めることが重要です。
不動産投資のメリット
不動産投資の主なメリットは以下のとおりです。
- 1.オフィスビルや商業施設は、利回りが高い傾向がある
- 2.住居系物件は、稼働率が高い傾向がある
- 3.ローンを利用することで手元資金にレバレッジをかけられる
- 4.インフレ局面で物件価格が上昇しやすい
- 5.相続税対策の効果が期待できる
・1.オフィスビルや商業施設は、利回りが高い傾向がある
オフィスビルや商業施設などの収益不動産は、住居用の物件に比べて、高い賃料収入が見込めるため、利回りが高い傾向にあります。
・2.住居系物件は、稼働率が高い傾向がある
アパートやマンションなどの住居系物件は、人が住む場所として常に需要があるため、稼働率が高い傾向にあります。
・3.ローンを利用することで手元資金にレバレッジをかけられる
不動産投資では、自己資金だけでなく、銀行から融資を受けることで、より大きな金額の不動産を購入することができます。
これをレバレッジ効果と言います。
・4.インフレ局面で物件価格が上昇しやすい
インフレになると、一般的に物価が上昇します。
不動産も例外ではなく、インフレが進むと、物件価格が上昇する傾向があります。
・5.相続税対策の効果が期待できる
不動産を相続する場合、相続税がかかります。
不動産投資によって複数の不動産を所有することで、相続財産を分散させ、相続税の節税効果が期待できます。
不動産投資のデメリット
不動産投資の主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.空室や災害、修繕費などのリスクがある
- 2.安定収入がないなどローン審査にとおりにくい人は不向き
- 3.始める前にある程度、専門知識を学ぶ必要がある
・1.空室や災害、修繕費などのリスクがある
不動産投資は、空室や災害といった予期せぬ事態が発生する可能性があります。
特に空室期間が長引くと、家賃収入が途絶え、ローンの返済が困難になるリスクもあります。
・2.安定収入がないなどローン審査にとおりにくい人は不向き
不動産投資は、一般的に高額な物件を購入するため、金融機関から融資を受ける必要があります。
安定した収入や信用情報がないと、ローン審査に通らない可能性が高く、物件購入が難しくなることがあります。
・3.始める前にある程度、専門知識を学ぶ必要がある
不動産投資は、法律や税金、不動産市場など、幅広い知識が必要となります。
専門知識がないまま投資を始めるのはリスクが高いため、事前にしっかりと勉強したり、専門家からアドバイスを受けることが重要です。
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10.不動産小口化商品
不動産小口化商品は、個人では購入が難しい高額な不動産への投資を少額から可能にする金融商品です。
従来は資金力のある投資家しか参入できなかった不動産投資を、一般投資家でも少額から始められるようにした仕組みです。
不動産を小口に分割し、投資家は自分の投資可能額に応じて口数を選べます。
大都市の一等地のオフィスビルやテナントビル、マンションなどに投資でき、物件の管理や運用を事業者に委託し、投資家の持ち分に応じて運用益を分配する仕組みです。
不動産小口化商品のメリット
不動産小口化商品の主なメリットは以下のとおりです。
- 1.一等地や好立地など条件の良い物件を運用しやすい
- 2.入居者や物件の管理の手間がいらない
- 3.不動産税制が適用される(相続税対策の効果が期待できる)
- 4.財産分与をしやすい
・1.一等地や好立地など条件の良い物件を運用しやすい
不動産小口化商品は、大規模な不動産を小口化して販売するため、個人では購入が難しい一等地や好立地の物件に投資することができます。
プロが厳選した物件に、少額から投資できる点が魅力です。
・2.入居者や物件の管理の手間がいらない
不動産小口化商品は、専門の運営会社が物件の管理を行ってくれます。
そのため、入居者の募集、家賃の回収、修繕などの手間が省け、投資に専念できます。
・3.不動産税制が適用される(相続税対策の効果が期待できる)
不動産小口化商品は、不動産に該当するため、不動産税制が適用されます。
相続税評価額が低くなる可能性があり、相続税対策に有効な手段となる場合があります。
・4.財産分与をしやすい
不動産小口化商品は、相続や離婚などの際に、他の不動産に比べて財産分与がスムーズに行える可能性があります。
不動産小口化商品のデメリット
不動産小口化商品の主なデメリットは以下のとおりです。
- 1.小口化商品単体では再投資ができない
- 2.解約できない(または簡単に解約できない)
・1.小口化商品単体では再投資ができない
不動産小口化商品で得られた収益を、同じ商品に再投資することが一般的にできません。
これは、不動産小口化商品が、特定の不動産を小口化して販売する商品であり、その不動産の収益は、投資家へ分配される仕組みになっているためです。
・2.解約できない(または簡単に解約できない)
不動産小口化商品は、解約が制限されていることが多く、中途解約ができない、または解約に手数料がかかるといったケースがあります。
これは、不動産の売却には時間がかかることや、他の投資家への影響を考慮するためです。
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500万円を投資に回すと将来いくらになる?
投資方法だけでなく、500万円を投資に回すと将来的にどのくらいなるのかについてもイメージしておくとよいでしょう。
1.500万円を投資に回すと10年後いくらになる?
500万円を投資に回すと10年後いくらになるかは、平均利回りによって変わってきます。
平均利回り3%・5%・7%で運用した場合、10年後の「元本+利益の合計額」は以下のとおりです。
平均利回り | 元本+利益の合計額 |
---|---|
3% | 約672万円(うち利益は約172万円) |
5% | 約814万円(うち利益は約314万円) |
7% | 約984万円(うち利益は約484万円) |
同じ500万円を投資に回していても利回りによって10年後に得られる利益は大きく変わってきます。
たとえば、利回り3%と7%を比べた場合、利益の差は約312万円です。
2.500万円を投資に回すと20年後いくらになる?
次に500万円を投資に回すと20年後いくらになるかを確認してみましょう。
平均利回りが3%・5%・7%の場合、20年後の「元本+利益の合計額」は以下のとおりです。
平均利回り | 元本+利益の合計額 |
---|---|
3% | 約903万円(うち利益は約403万円) |
5% | 約1,327万円(うち利益は約827万円) |
7% | 約1,935万円(うち利益は約1,435万円) |
前述の500万円を10年間投資した場合と比較した場合の利益の差は、3%が約231万円、5%は約513万円、7%は約951万円です。
この計算結果から、資産運用では長期での運用が非常に重要なことが理解できるのではないでしょうか。
500万円を1,000万円にするために投資に要する期間は?
500万円で投資をする場合、あらかじめ目標額を決め、それに達するまでの期間や利回りをもとに投資方法を選ぶこともできます。
たとえば目標額を1,000万円(利益と元本の合計額)に設定した場合、利回り3%・5%・7%で運用してこれに達するまでの期間は以下のとおりです。
利回り(年平均の利回り) | 1,000万円に達するまでの期間 |
---|---|
3% | 24年目(約1,016万円) |
5% | 15年目(約1,039万円) |
7% | 11年目(約1,052万円) |
このように利回りが高くなるほど目標額に達する期間は短くなりますが、その分リスクも大きくなることには注意しましょう。
まとめ|まとまった金額を投資する場合は目標額と期限の明確化が重要
本記事では、500万円の投資に適した10の方法を紹介してきました。
分散投資をしたい場合は、いくつかの投資方法を組み合わせるのがおすすめです。
一方、集中投資をしたい場合は、1~2つの投資方法を実行するのがよいでしょう。
加えて500万円前後、あるいは、500万円以上などのまとまった金額を運用する場合は、目標額(例:1,000万円など)と期限(例:20年以内など)を設定したうえで、それを達成しやすい投資方法を選ぶことが重要です。
目標額と期限があいまいな人は、投資方法を選ぶ前段階でまずこの部分を固めるのがよいかもしれません。
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(提供:ACNコラム)