主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年3月21日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼20日(水)の為替相場
(1):英CPI大幅鈍化も「想定内」
(2):FOMCは据え置き
(3):パウエル議長 最近のデータは特に重大視しない姿勢を示す
(4):FOMCを受けてクロス円上昇
▼20日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:円を売る動きに衰えは感じられない/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
20日(水)の為替相場
期間:20日(水)午前6時10分~21日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):英CPI大幅鈍化も「想定内」
英2月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.4%と市場予想(+3.5%)を下回り前月(+4.0%)から鈍化。エネルギーや食品などを除いたコアCPIも前年比+4.5%と市場予想(+4.6%)以上に鈍化(前月+5.1%)した。これを受けてポンドが売られる場面もあったが、CPIの鈍化は想定内との見方から下落は一時的だった。
(2):FOMCは据え置き
米連邦公開市場委員会(FOMC)は大方の予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。声明文も「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、利下げが適切になるとは予想していない」との一文を維持するなど、概ね前回の内容を踏襲したものだった。同時に公表した政策金利見通しでも、年内の利下げについて25bp(0.25%ポイント)を3回とする従来の予想を据え置いた。一方で来年2025年は4回から3回へと減らした。なお、経済見通しでは2024年の基調インフレ率の予測を従来の2.4%から2.6%に引き上げ、成長率予測も1.4%から2.1%へと引き上げた。失業率については従来予測の4.1%から4.0%に引き下げた。
(3):パウエル議長 最近のデータは特に重大視しない姿勢を示す
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、FOMC後の会見で、利下げの開始時期について「年内のある時点になる可能性が高い」として特定の時期には言及しなかった。また、「われわれがその確信に達し利下げが実施されるという認識を、大半の人が抱いている可能性はなお高い」と述べて、インフレの上振れを示す最近のデータについては特に重大視しない姿勢を示した。量的引き締め(QT)を巡っては、バランスシートの縮小ペースを「かなり早期に減速させるのが適切だろう」として、毎月最大950億ドルのペースで実施しているバランスシートの縮小を早期に減速させる考えを明らかにした。
(4):FOMCを受けてクロス円上昇
FOMCは警戒していたほどタカ派的ではなかったとの見方から、米国債利回りが低下するとともにドルが下落。一方、米国株は長期金利の低下を好感して急伸した。なお、NYダウ平均およびS&P500は史上最高値を更新して引けた。為替市場ではドル安とともに円安が進行。ユーロ/円が2008年8月以来の165.35円前後まで上伸したほか、豪ドル/円は2014年12月以来の99.66円前後まで、ポンド/円は2015年8月以来の193.53円前後までそれぞれ上昇した。クロス円の上昇につれてドル/円も一時の下げから持ち直したが、米長期金利の低下が重しとなったため戻りは151.40円台にとどまった。