国内最大手の紙専門商社で、世界でも第3位にランクされるKPPグループホールディングス<9274>が、M&Aを加速させている。
同社がこの2年ほどの間に適時開示したM&A件数は、2022年が3件、2023年が4件、2024年はすでに4件に達しており、合計で11件となる。
2019年に実施した紙関連製品の卸売り業のオーストラリアのSpicersと、2020年に実施した同業のフランスのAntalisの子会社化によって、KPPグループの業容が大きく変わったことから、その後もM&Aを重要な成長戦略と位置付け、積極的に取り組んでいるのだ。
KPPグループはどのような将来像を描いているのだろうか。
M&Aに3年間で200億円を投資
KPPグループは2025年3月期に、売上高6500億円、営業利益145億円を目指している。これは2025年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画の最終目標で、同中期経営計画期間中に、売上高は15.4%、営業利益は54.6%の増加を見込む。
同社は長期経営ビジョンを策定し、2017年3月期からの3年間を「事業構造改革期」とする第1次の中期経営計画に取り組み、2020年3月期からの3年間を「事業育成期」とする第2次の中期経営計画を進めてきた。
現在は第3次中期経営計画の期間中で、同期間中に創業100周年を迎えることもあり、次の100年に向けた総仕上げの「事業完成期」として施策を強化中だ。
その骨子となるのが、紙や板紙、パルプなどを販売する従来型事業の成長と、これに加えてM&Aなどによって海外を中心に事業領域を拡大するための取り組みで、M&Aには3年間で200億円を投じる計画だ。
M&Aのメインターゲットとなるのは、ビジュアルコミュニケーション事業(店頭広告や看板、ラッピングなどの視覚に訴える広告向けのフィルムやインク、印刷機など)と、パッケージ事業(自動車やエレクトロニクス、食品、化学など向けの包装資材)、その他加工事業の3事業。
これら事業でM&Aを活発化することで、第3次中期経営計画期間中に、両事業合計の売上高をおよそ1.8倍に、売上総利益をおよそ1.7倍に伸ばす目標を掲げる。
この方針に沿って実施したのがこの2年間の11件のM&Aだ。11件中10件が海外案件で、子会社化した企業の国籍はドイツ、スペイン、オーストラリア、ポーランド、カナダ、ポルトガル、イタリア、ラトビアと幅広い。
分野も産業用や食品用のパッケージの製造販売、木製パッケージの加工、産業用包装関連商品の販売、広告や装飾、パッケージング関連資材の販売などで、まさに狙い通りのM&Aを実施してきた。