ホームセンターやスーパーなどの小売事業や、木造建築などの建設事業を主力とする綿半ホールディングス<3199>は、養豚業のDX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)を支援するスタートアップのEco-Pork(東京都千代田区)に出資した。
綿半が2024年度中の完成を目指している養豚場・筑北村豚舎(長野県筑北村)の建設で、Eco-Porkが持つ技術やノウハウを活用して養豚場の省力化を進めるのが狙いだ。
合わせて環境に配慮した循環型の養豚場を目指し、新たな養豚モデルを構築することで、豚肉の生産を拡大し、将来は綿半のスーパーなどで販売する国産豚肉の全量を賄える年間6000頭の出荷を目指すという。
綿半の売上高の60%近くを占める小売事業では「出店用地の確保や許認可の取得に長期の時間を要するため居抜き物件の活用やM&Aを推進する」としており、今回のようなスタートアップとの資本業務提携に加え、出店のためのM&Aなども実現しそうだ。
スタートアップの技術で養豚の省力化を推進
Eco-Porkは、作業の進捗や飼養状況を管理しデータ化できる養豚経営支援システムや、豚舎の温湿度、給水設備、豚の様子などをモニタリングできる遠隔システム、AI(人工知能)カメラを用いた複数の豚の体重を一括して測定できるシステムなどの技術を持つ。
こうした技術が評価され、同社は社会的、環境的課題の解決や、持続的な経済成長を目指す企業を支援する、経済産業省のインパクトスタートアップ育成支援プログラム「J-Startup Impact」に選定されている。
綿半はEco-Porkの保有するこれら技術を用いて、温湿度、換気状況などの豚舎環境の遠隔管理や、AIカメラによる豚の健康管理などを行うことで、養豚場の省力化を進める。
同時に豚舎に太陽光発電を設置するほか、店舗や食品工場の残渣の活用や、豚糞を施設内で堆肥化して飼料米の肥料に利用するなどして、環境に配慮した循環型施設を目指す。
綿半は2022年に養豚業の中村ファーム(現・綿半ファーム、長野県千曲市)を子会社化し養豚事業に参入し、現在は長野県千曲市で生産した豚肉を長野県内の店舗に出荷している。
養豚業は人手不足や後継者不足、さらには環境負荷の高さなどが問題となっており、綿半はこれら問題を解決し、生産性の向上や持続可能な産業への転換を目指して、Eco-Porkとの資本業務提携に踏み切った。