この記事は2024年5月8日に「CAR and DRIVER」で公開された「BMWが日本における新型燃料電池車の実証実験を2024年も継続」を一部編集し、転載したものです。
BMWが「水素で未来へ加速する、モビリティの革命児」と謳う新型燃料電池車のiX5ハイドロジェンの日本における実証実験を昨年に続いて2024年も実施すると発表。実証実験の結果は引き続き生産車の開発に反映させる予定
BMWジャパンは2024年4月23日、新型燃料電池車の「iX5ハイドロジェン(iX5 Hydrogen)」の日本における実証実験を2023年に続いて2024年も実施すると発表した。
「水素で未来へ加速する、モビリティの革命児」を標榜する新型燃料電池車のiX5ハイドロジェンは、BMWのプレミアムSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)に位置するX5をベースとしたフューエルセルビークル=燃料電池車で、水素から得た電気のエネルギーを利用し、BMWならではの卓越したドライビングダイナミクスはそのままに、ゆとりの航続可能距離と水素充填時間の短縮化を実現したことが特徴である。BMWの燃料電池車の基礎研究は2011年よりトヨタ自動車と共同で実施しており、2020年代後半には燃料電池車の市場投入を計画している。
パワートレインにはBMWの第5世代の「eDrive」を搭載。キモとなる水素燃料電池は最高出力125kW(170hp)を、高出力リチウムイオンバッテリーは170kW(231ps)を絞り出し、トータルで最高出力295kW(401ps)、最大トルク720Nmを発生する。また、燃料電池の下に配した電気セルコンバーターは電気パワートレインとピークパワーバッテリーの両方の電圧レベルに適合。炭素繊維強化プラスチックで仕立てた圧縮水素の2つの燃料タンクは700バールの圧力で最大6kgの水素燃料を保持することが可能で、1回あたりの水素充填は3~4分程度で完了し、航続距離は欧州WLTPモードで最大504kmと、気象条件を問わずにロングクルーズできる性能を具現化している。
2023年の実証実験は、公道での走行を中心に実施。また、東京都内での走行にとどまらず、水素エネルギーに注力している福岡県と大阪府でも実証実験を行った。取得したデータはすべて本国の開発チームに共有され、今後の車両開発に反映させる予定である。
2024年の実証実験では、官公庁や行政機関、大学などを訪問し、各方面の専門家の視点から製品に対するフィードバックを受けるとともに、一般の公道試乗も計画している。
(提供:CAR and DRIVER)