15年ぶりに売上高1000億円の大台

小森コーポレーションが5月14日に発表した2024年3月期業績は売上高6.5%増の1042億円、営業利益14.3%減の48億9800万円、最終利益18.8%減の46億4100万円だった。

高性能の「advance(アドバンス)」モデルの販売促進に取り組んだ結果、オフセット印刷機を中心に受注が好調で売上高の増加につながった。売上高は2009年3月期(1114億円)以来、実に15年ぶりに1000億円の大台に戻した。アフタコロナの到来も追い風となった。

海外売上高比率は67%と7割近い。エリア別では欧州のウエートが最も高く3分の1を占め、これに中華圏、北米、その他地域(東南アジア、インド、オセアニア、中南米など)が続く。

2025年3月期は売上高4.9%増の1094億円、営業利益18.4%増の58億円、最終利益25%増の58億円を見込む。

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

DPS事業とPE事業に重点投資

足元の2025年3月期を初年度とする中期経営計画(2027年3月期までの3カ年)を目下、策定中。この中で、M&Aを含めた成長投資を増やすことを基本方針に打ち出している。

同社の事業は「オフセット」「証券印刷」「DPS(デジタル印刷)」「PE(プリンテッド・エレクトロニクス)」の4つの領域に分かれる。このうちオフセット、証券印刷を基盤事業、DPSとPEを成長事業と位置付ける。新中計では、DPSとPEの両事業について生産能力拡大に向けた投資やM&Aを積極的に取り組む予定だ。

版を使わずデジタルデータを用紙に直接印刷するのがDPSで、需要が年々膨らんでいる。

一方、印刷技術を応用して電子回路を形成するのがPE。電子部品業界を主な顧客とし、セラミックコンデンサー、半導体パッケージなど製品によって多様な印刷技術、微細配線技術や機械装置が求められる。

印刷産業の市場規模はデジタル社会の到来に伴い、すでに20年以上も縮小傾向が続いている。

こうした中、オフセット印刷機を主軸とする既存事業のブラッシュアップを図りつつ、成長事業を飛躍に導くのかが問われる。業界のリーディングカンパニーとして、どんな二の矢三の矢を準備しているのか、要ウオッチといえそうだ。

◎小森コーポレーションの沿革

主な出来事
1946 小森印刷機械製作所を東京都墨田区で設立
1958日本初の紙幣印刷機を開発
1976 小森印刷機械に社名変更
1982 米国に現地法人コモリ・アメリカ・コーポレーションを設立
1983 東証2部に上場
1984 英国に現地法人コモリ・ヨーロッパを設立
東証1部に上場(2022年4月に東証プライム市場に移行)
1990 小森コーポレーションに社名変更
2001 東芝機械からオフセット輪転印刷機事業を取得
2014 スクリーン印刷機メーカーの東海ホールディングス(現セリアコーポレーション)を子会社化
シンガポールの販売代理店KM Links(現コモリ・サウスイースト・アジア)を子会社化
2016 インドの販売代理店Insifht(コモリ・インディア)を子会社化
2019 中国の販売代理店「深圳兆迪技術有限公司」(現小森(深圳)印刷技術有限公司)を子会社化
2020 ドイツの折機メーカー、MBOグループを子会社化
2024 4月、米国Benalからロータリーダイツール事業を取得

文:M&A Online