スポーツクラブ大手4社の2024年3月期決算は入会者の回復などを受け、売上高を堅調に伸ばした。ティップネスは4年ぶりに営業黒字に転換し、コロナ禍に端を発したトンネルをようやく抜け出した。2025年3月期は同業準大手を買収したルネサンスが売上高でコナミスポーツ、セントラルスポーツを逆転し、業界3位からトップに立つ見通しだ。
3年連続の増収、コナミが首位を維持
2024年3月期は対面によるサービスの正常化や健康増進へのニーズの高まりに伴い、施設利用や新規入会者が上向いた。各社の売上高はコロナ禍が直撃した2021年3月期を大底に反転し、3年連続の増加となった。
コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンスは期中に会費を引き上げたことも増収に寄与した。
ルネサンスの3月末の会員数は前年比5.7%増の39万5000人(うちオンライン会員5万4331人)。内訳はフィットネス会員3.3%増、テニスやスイミングなどのスクール会員1.1%減、オンライン会員47%増だった。セントラルスポーツもスクール会員が減少したものの、フィットネス会員は増加傾向が続いた。
コナミスポーツの売上高(コナミグループのスポーツ事業部門)は前年度比4.7%増の476億円で、セントラル(同4.1%増の453億円)を抑えて首位を維持した。ただ、両社にはコロナ前まで50億円以上の開きがあったが、ここ数年は20億円前後に縮まっている。
その主因の一つとみられるのが経営戦略の違い。コナミがコロナ禍を契機に固定費負担を抑えるため、直営店舗を30程度絞り込んで運営受託に軸足を移したのに対し、セントラルは直営店舗を維持するスタンスを変えていない。
総店舗数をみると、コナミが378施設とセントラルの241施設を圧倒する。ただ、このうち直営店舗についてはセントラルが181施設で、コナミの166施設(スクールを一部含む)を上回る。
ティップネス、4年ぶりに営業黒字
本業のもうけを示す営業損益は光熱費の上昇による施設運営コストの増加をこなし、低水準ながら増益を確保。全社的な省エネ対策や、政府の電気・ガス価格激変緩和措置(電気・都市ガス料金への補助金)が奏功した。
なかでもティップネス(日本テレビホールディングス傘下)は4社中唯一、営業赤字が続いていたが、4億2300万円と4年ぶりの黒字転換(前期は5億5800万円の赤字)を果たした。最終損益にいたっては5年ぶりの黒字(1億2000万円)となった。