快進撃が続くM&A総研

破竹の勢いを見せているのがM&A総研だ。2018年設立で、2022年6月に東証グロースに上場後、2023年8月に東証プライムに移ったばかり。足元の2024年9月期売上高は77%増の153億円を見込む。

IT系企業での経験を生かし、買い手候補企業の抽出にAI(人工知能)を応用したり、社内業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進め、成約期間を短縮化し、仲介件数の増加につなげてきた。

名南M&Aは名古屋、オンデックは大阪を地盤とする。売上高は名南M&Aが17.6億円、オンデックが16.4億円を見込む。名南M&Aは2019年に名証セントレックスに上場(翌年名証2部、2022年4月名証メインに移行)、オンデックは2020年に東証マザーズ(2022年4月に東証グロースに移行)。

昨年10月に東証グロースに上場したジャパンM&Aソリューションは売上高10億円にとどいていない。インテグループが今回加わり、M&A仲介の上場企業は8社となるが、上位4社と下位4社の開きは大きく、規模の面で二極化する形だ。

「仲介」と「FA」に大別される

M&A事業者は仲介会社と助言会社(フィナンシャルアドバイザー、FA)に大別される。中堅・中小企業M&Aの多くは仲介会社が買い手と売り手の間に立って交渉を進める。

これに対し、売り手、買い手のいずれか一方の側に立つのがFAで、国内勢では大手の銀行、証券会社が中心的なプレーヤー。大手企業や海外のM&A案件では買い手側と売り手の双方のFAが交渉を仕切る。ただ、現在、FA専門の国内上場企業はゼロだ。

かつてはFAとして国内で唯一、GCAが上場(東証1部)していたが、米投資銀行のフーリハン・ローキーと経営統合して2021年11月に上場廃止となった。

中堅・中小企業をめぐっては、後継者不足による事業承継問題への解決策としてM&A活用のニーズが年々高まっている。加えて、企業規模の拡大や事業の多角化などに向けた成長戦略としてM&Aが盛り上がっている。こうした中、M&A仲介として上場を目指す動きが続きそうだ。

◎M&A仲介の上場会社(売上高、営業利益の単位は億円)

社名 売上高 営業利益 設立 上場
日本M&Aセンターホールディングス 441 160 1991年 2006年
M&Aキャピタルパートナーズ 228 81 2005年 2013年
ストライク 182 70 1997年 2016年
M&A総研ホールディングス 153 72 2018年 2022年
名南M&A 17.6 2.3 2014年 2019年
オンデック 16.4 2.3 2007年 2020年
ジャパンM&Aソリューション 9.1 2.4 2019年 2023年
インテグループ 12.7 2.4 2007年 2024年6月

※業績 インテグループ=2023年5月期実績、日本M&Aセンター=24年3月期実績。ジャパンM&A=24年10月期予想、オンデック=24年11月期予想、その他4社=24年9月期予想。

文:M&A Online