昨今、金利上昇に関するニュースをよく見聞きするが、この金利上昇はさまざまな人に影響を与える。本記事では、具体的にどのような人に影響があるのかや、注意すべき人について解説する。また、金利上昇に備える対策についても紹介する。

金利上昇はどのような人に影響を与える ?

金利上昇は誰に影響する ? 要注意な人や増える負担に備える方法
(画像=ภัทรชัย รัตนชัยวงค์ / stock.adobe.com)

金利上昇の影響を受けるパターンはさまざまだが、主に以下のような人が影響を受けると考えられる。

  • 住宅ローンの金利を変動型にしている人
  • 債券投資をしている人
  • 変動金利型で定期預金をしている人 など

住宅ローンの金利を変動型にしている人

独立行政法人の住宅金融支援機構が2023年10月に実施した「住宅ローン利用者の実態調査」によると、住宅ローンの利用者の74.5%が変動型の金利を選んでおり、多くの人が金利上昇の影響を受ける状況となっている。

以下は、直近7回の調査における「利用した金利タイプ」のデータだ。変動型の割合が徐々に高くなっていることが分かる。

調査変動型の割合
2020年11月調査62.9%
2021年4月調査68.1%
2021年10月調査67.4%
2022年4月調査73.9%
2022年10月調査69.9%
2023年4月調査72.3%
2023年10月調査74.5%

住宅の種類別では「中古マンション」の購入で変動型を利用した人が80.8%と最も高い。次いで「新築建売」が77.1%、「中古戸建て」が76.9%、「注文新築」 (敷地同時取得) が76.7%となっている。

債券投資をしている人

債券投資をしている人にとって、金利上昇はネガティブ材料となる。なぜなら、債券価格と金利は逆の動きをする「シーソー」の関係にあり、金利が上がると債券価格が下がり含み損が膨らむからだ。

変動金利型で定期預金をしている人

変動金利型で定期預金をしている人にとっては、金利上昇はポジティブ材料となる。定期預金の金利は一定期間ごとに見直され、金利が上昇すると恩恵が大きくなることが理由だ。

要注意なのは「変動金利型の住宅ローン」

金利上昇でネガティブな影響を受けるのは「住宅ローンの金利を変動型にしている人」と「債券投資をしている人」だが、本記事では特に影響を受ける人が多いと考えられる、変動金利型の住宅ローンについて注意喚起したい。

ここでは、3,000万円の住宅ローンを「変動金利型」「返済期間30年」で組んだケースを想定し、シミュレーションしてみよう (※元利均等返済の場合で算出) 。当初の金利は1%で、10年後から金利が2%に上がった場合、支払い総額は以下のようになる。

期間毎月の支払い総額
1~10年 (金利1%)9万6,491円1,042万1,028円
10年後以降 (金利2%)10万6,618円2,686万7,629円
全体3,728万8,657円

一方、固定金利型で金利が1%の状態が続いた場合の支払い総額は以下の通りだ。

期間毎月の支払い総額
全体 (金利1%)9万6,491円3,473万6,908円

シミュレーションした2つの例の支払い総額の差は、255万1,749円となっている。変動金利型で金利が上昇した場合のインパクトを実感できるのではないだろうか。

支払いが増える状況をどう対策する ?

もし余剰資金がある場合は、金利上昇によって支払いが増える事態に備え、早めに繰り上げ返済や資産運用に取り組んでおきたい。眠らせている現金を資産運用に回してリターンを得ることができれば、金利上昇で住宅ローンの支払いが増えたとしても資産への影響を相殺することができるだろう。

ただ、初めて資産運用に取り組む人は、どのような方法を選ぶべきか悩むはずだ。資産運用は一つの方法に限定して取り組む必要はないが、代表的な方法として株式投資や投資信託、外貨預金などがある。

株式投資は、保有している銘柄の株価が1年で2倍以上になることもあるが、逆に価値が半分になることもあり、この3つの中では一番リスクもリターンも大きな投資方法だ。複数の銘柄を保有することでリスク分散はできるが、銘柄選定には一定の知識が必要になるため、初心者には難易度が高い。

一方で、プロに運用を任せるタイプの投資信託は、市場全体の相場の動きと連動性が高いインデックス型の商品を選ぶことができる。商品によっては、自動的に数百、数千の銘柄に分散投資していることになるため、初心者向きだ。

また、外貨預金も初心者向けの投資方法といえる。日本円よりも金利が高い外貨で預金をすれば、その外貨を保有している限りは円預金では得られない高い金利収入を安定的に得られる。一度に余剰資金の多くを外貨預金に充てることが心配な人は、「積立型で外貨預金をする」というスタイルがおすすめだ。

余剰資金がある場合は資産運用を

住宅ローン利用者の7割以上が変動型の金利を選んでいることを考えると、金利上昇のニュースを無視できない人も多いだろう。もし銀行口座や自宅に眠っている現金があるならば、それを資産運用に回すのが対策の一つとなる。もちろん余剰資金がない場合は、まず家計の見直しが第一ステップだ。

ただし安易に投資して資産を失い、さらに苦しい状況に陥ってしまうことは避けたい。「リスクゼロの資産運用はない」ということを十分に理解したうえで、当面使う予定がない余剰資金と初心者向けの投資方法で資産運用を始めてみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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