不動産クラウドファンディングの仕組みを解説!人気の理由や始め方がわかる
(画像=VitaliiVodolazskyi/stock.adobe.com)

近年、不動産クラウドファンディングが注目されています。

いったいどんな商品?と気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで、当記事では不動産クラウドファンディングの仕組みや基礎知識、なぜここまで人気や注目を集めているのかについて解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • 不動産クラウドファンディングの匿名組合型は少額からの投資が可能
  • 不動産クラウドファンディングは高利回りが期待できることから人気
  • 初心者は複数の不動産クラウドファンディング運営サイトを比較検討する

目次

  1. 不動産クラウドファンディングの仕組みと5つの基礎知識
  2. 不動産クラウドファンディングが人気を集めている4つの理由
  3. 不動産クラウドファンディングの知っておくべきデメリットやリスク
  4. 不動産クラウドファンディングの始め方の流れ
  5. まとめ

不動産クラウドファンディングの仕組みと5つの基礎知識

不動産クラウドファンディングの仕組みを解説!人気の理由や始め方がわかる
(画像=Rawpixel.com/stock.adobe.com)

最初に、不動産クラウドファンディングの仕組みや投資するのにあたって知っておくべき基礎知識について解説します。

以下の5項目で、不動産クラウドファンディング投資を始めるのにあたって必要な知識はひととおり網羅できると思います。

1.不動産クラウドファンディングとはネットを介して資金を集める仕組み

不動産クラウドファンディングを説明する前に、まずは「クラウドファンディング」について知る必要があります。

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて多数の人々から資金を募る方法です。

プロジェクトやビジネスアイディアを公開し、賛同者から小口の資金提供を受けることで資金を集めます。

出資者はリターンとして商品やサービス、特典を受け取ることが一般的です

不動産クラウドファンディングは、それを不動産投資に応用したものといえます。4%や5%といった利回りの案件が多く、しかも1万円など少額から始めらます。

このようなことから人気が高く、主要な不動産クラウドファンディングの運営サイトでは募集開始直後に応募が殺到して募集終了となってしまうといったケースが続出しています。

2.集めたお金で不動産を購入・運用し分配

不動産クラウドファンディングの運営主体である事業者は、ネットを介して出資を募り、集めたお金で不動産を購入・運用します。

そして得られた運用益を出資者に分配します。

運営主体にとっては資金集めの手段として、投資家にとっては少額から不動産投資ができる手段として活用できるため、双方に利益がある仕組みといえます。

3.匿名組合型と任意組合型がある

不動産クラウドファンディングには、大きく分けて2つの種類があります。

1つは匿名組合型で、もう1つは任意組合型です。

いずれも不動産クラウドファンディングに適用される不動産特定共同事業法という法律による分類です。

実際の不動産クラウドファンディング案件もほとんどがこの2つのいずれかに分類されます。

それぞれについての概要や特徴は以下のとおりです。

・匿名組合型|出資者は不動産を所有せず分配金のみを受け取る

出資者は不動産を所有せず、分配金を受け取る権利のみを保有します。

そして出資者が不動産の運用に対して関与することはなく、事業者があげた利益の分配を受けます。

不動産クラウドファンディングとして募集、運営されているものはこの匿名組合型が多い傾向です。

一般的に匿名組合型不動産クラウドファンディングの運用期間は短めで、1年程度のものが多く見られます。

また、匿名組合という名称のとおり、出資している人同士の横のつながりはなく、あくまでも「1つの不動産の運用のために集まった組合」です。

匿名組合型の特徴にはもうひとつ、少額からの投資が可能であることが挙げられます。

よく「1万円から可能」という宣伝文句で募集しているのは、ほとんどがこの匿名組合型の不動産クラウドファンディングです。

・任意組合型|出資者同士が共同で不動産事業をおこなう

出資者同士が共同で不動産事業をおこなうのが、任意組合型の不動産クラウドファンディングです。

とはいっても、出資者の全員が不動産のプロであるとは限らないため、ほとんどの場合は任意組合から委託を受けた事業者が不動産を運営し、その利益が分配されます。

匿名組合型との大きな違いは、出資者による共同運営なのでそれぞれの出資者が不動産の権利を有する点です。

匿名組合型よりも任意組合型のほうが最小出資額が大きめであることが多く、少なくとも10万円以上という案件が多く見られます。

また、運用期間も長めで、10年以上という案件も少なくありません。

関連記事
不動産小口化商品の任意組合型と匿名組合型の違いをわかりやすく解説

4.優先劣後方式が採用されている

優先劣後方式とは、投資家を保護するための仕組みです。出資金を優先出資と劣後出資に分けて別々に取り扱います。

投資家からのお金は優先出資金となり、事業者からの出資分は劣後出資金となります。

万が一その不動産ファンドで損失が発生した場合は、劣後出資分から先に損失が補填されます。

つまり、優先出資者である投資家のお金が補填に用いられるのは、事業者による補填では足りなかったときだけです。

不動産クラウドファンディングではこの優先劣後方式が採用されています。

事業者の劣後出資比率が高いほど、不動産クラウドファンディングの運用がうまくいかなかったとしても元本割れになってしまうリスクは低くなります。

5.マンション・ホテル・物流施設・海外の不動産などが運用対象

不動産クラウドファンディングは、さまざまな不動産を運用対象としています。

マンションなど住居目的の物件が大半ですが、それ以外にもホテルなどの宿泊施設、物流施設などがあります。

運営会社によっては教育施設や海外の不動産を取り扱っていることもあります。

不動産クラウドファンディングが人気を集めている4つの理由

不動産クラウドファンディングの仕組みを解説!人気の理由や始め方がわかる
(画像=46Lenses/stock.adobe.com)

不動産クラウドファンディングは多くの投資家から注目を集めており、高い人気を誇ります。

なぜこんなに人気なのか、その理由を4つのメリットから紐解いていきます。

1.少額から不動産投資の「いいところ取り」ができる

不動産投資、そのなかでも特に住居物件は「衣食住」の一角でもあるため景気変動の影響を受けにくく、安定的な利益を狙えるメリットがあります。

その一方で高額になりがちな収益物件を購入する必要があるため、参入障壁の高さがネックです。

不動産クラウドファンディングであれば1万円からでも投資可能な案件が多い傾向です。

これによって、リスクを抑えながら安定的かつ高い利回りを狙えるという不動産投資の「いいところ取り」ができます。

2.現物の不動産があり優先劣後方式が採用されているためリスクが比較的低い

先ほども述べたように、不動産は比較的景気の変動による影響を受けにくい資産です。

住居物件であれば「衣食住」という人間の生活に欠かせない資産であることもあって、不動産は長らく安定的な資産の代表格として見なされてきました。

不動産クラウドファンディングはどの案件も何らかの不動産を購入・運用しているため、現物不動産の裏付けがあります。

万が一その案件の運用が振るわなかったとしても不動産が無価値になるとは考えにくく、出資金がゼロになってしまう可能性は極めて低いでしょう。

一部の損失が発生したとしても、すでに解説したように優先劣後方式が採用されているため投資家の出資分は守られる可能性が高く、比較的低リスクであることが魅力です。

主要な運営会社のなかにはこれまでに元本割れを起こしていないところもあるため、最初からリスクがうまく管理されている投資商品でもあります。

3.高利回りが期待できる

投資家にとっては比較的低リスクである一方で、不動産クラウドファンディングは全体的に高利回りの案件が目立ちます。

多くの案件は4%台や5%台の利回りとなっていますが、長期低金利時代においてこれがいかに高利回りであるかはいうまでもないでしょう。

大手メガバンクの定期預金金利が0.02%(三菱UFJ銀行、2024年6月時点)であることを考えると、不動産クラウドファンディングの利回りが4%だとしても200倍です。

可能な限りリスクを抑えた投資商品でありながらこれだけの利回りが期待できるというのは、不動産クラウドファンディングが人気を集める大きな理由となっています。

4.手間いらずで副業に最適

現物不動産投資では、所有している物件の管理も所有者の仕事です。

実際には管理会社に委託することになるケースが大半ですが、管理会社選びや管理会社とのやり取りは所有者自らがおこないます。

副業で不動産投資をする人にとってはこれが負担になることがありますが、不動産クラウドファンディングは物件の管理や賃料の回収などの業務はすべて事業者がおこないます。

完全手間いらずであることは、副業投資家にとって大きなメリットとなります。

不動産クラウドファンディングの知っておくべきデメリットやリスク

不動産クラウドファンディングの仕組みを解説!人気の理由や始め方がわかる
(画像=sommart/stock.adobe.com)

メリットの次には、不動産クラウドファンディングに投資するのにあたって知っておくべきデメリットについて解説します。

それぞれの項目では有効な対策も含めて解説します。

1.元本割れの可能性がゼロではない

幾重にも安全性が高められている不動産クラウドファンディングですが、元本保証ではありません。

そのため、元本割れになってしまうリスクがゼロにはなりません。

・対策|運用実績を確認し過去に元本割れを起こしていない運営会社を選ぶ

不動産クラウドファンディングの運営会社は、それぞれのサイトで過去の運営実績を公開しています。

その情報をしっかりとチェックして、過去に元本割れを起こしていない運営会社を選ぶのが無難です。

それと同時に、投資家保護の観点から事業者の劣後出資比率が高い案件を選ぶことで、元本割れのリスクはさらに低くなります。

2.融資を利用できない

不動産投資といえば銀行などの融資を利用することで投資効率を高められるメリットが知られています。

それは現物不動産投資での話です。不動産クラウドファンディングへの投資では融資を利用できないため、全額自己資金となります。

レバレッジ効果は不動産投資の魅力ではありますが、それをいかせないのはデメリットかもしれません。

・対策|十分な資金が用意できてから始める

そもそも、不動産クラウドファンディングは少額から投資できることもメリットのひとつです。

そのため融資は不要であることが大半でしょう。

不動産クラウドファンディングへの投資で融資が必要になるような資金規模の場合は明らかに資金不足

です。

少なくとも数十万円程度の資金が用意できてから始めることをおすすめします。

3.節税メリットが薄い

減価償却費を計上することによって節税効果を発揮できるのも、現物不動産投資ならではのメリットです。

不動産クラウドファンディングには減価償却費などの概念がないため、節税メリットは薄くなります。

匿名組合型の場合は損失が出れば雑所得のなかで損益通算が可能ですが、そもそも損失が出るような案件に投資するべきではないでしょう。

また、同じ雑所得のなかでしか損益通算ができないため、それほど大きな節税効果は期待できません。

・対策|節税が投資の目的ならば現物不動産投資を選ぶ

節税が投資の主な目的であるならば、不動産クラウドファンディングよりも現物不動産投資を選ぶのがよいでしょう。

4.途中で解約できないことが多い

不動産クラウドファンディングには運用期間が設定されており、その期間中の途中解約は原則できないと考えておきましょう。

自分の持ち分を売却できる場合もありますが、その場合であっても不利になる(つまり損失が出る)可能性が高いです。

・対策|途中解約が可能な運営会社を選ぶ

余剰資金以外を投資に回してはいけないというのは投資の鉄則です。

なぜなら、お金が必要になってしまったことで不利な条件で投資をやめなければならないことがあるからです。

また、一部の運営会社で途中解約が可能であることがあります。

途中解約の可能性が少しでもあるのであれば、不動産クラウドファンディング運営会社を選ぶ際に途中解約が可能なところを選ぶのもひとつの対策です。

5.争奪戦になり投資したくてもできないことがある

不動産クラウドファンディングは投資家からの人気が高く、先着順で募集する案件のなかには争奪戦になるものがあります。

また、抽選で募集している案件であっても応募が殺到することで競争倍率が高くなる案件も多く見られます。

投資したくてもなかなかできないといった事態が起きているのは、嬉しいデメリットともいえるでしょう。

・対策|募集案件数が多い運営会社・募集口数が多い案件を選ぶ

募集案件数が多い運営会社、募集口数が多い案件を選ぶことで、少しでも投資ができるチャンスは広がります。

仮に、なかなか投資ができなかったとしてもそれはゼロであって、損失ではありません。応募するだけであればコストは発生しないので、気長にチャレンジしましょう。

不動産クラウドファンディングの始め方の流れ

不動産クラウドファンディングの仕組みを解説!人気の理由や始め方がわかる
(画像=polkadot/stock.adobe.com)

ここでは、不動産クラウドファンディングに興味を持たれた方に向けて始め方を解説します。

1.複数の不動産クラウドファンディング運営サイトを比較検討する

初心者は、主要な不動産クラウドファンディング運営サイトをチェックして、どんな案件があるのかをまずはチェックしてみましょう。

こまめにチェックしていると、運営サイトごとの特徴や利回りの相場などが見えてきます。

最初は勉強期間に充て、多くの不動産クラウドファンディング運営サイトから情報収集をします。

・代表的な不動産クラウドファンディング運営サイト

運営会社 最低投資額 過去元本割れ 平均想定利回り 特徴
CREAL 1万円 なし 4%台 元本割れなし、実績豊富
みんなで大家さん 1万円 なし - 築古ワンルーム特化、入居率98%超
利回り不動産 1万円 なし 6.40%以上 高利回り案件あり
COZUCHI 10万円 なし 4~10% 高利回り、案件数豊富
T's Funding 10万円 なし - 高利回り、案件数豊富
※代表的な不動産クラウドファンディングの運営サイトを編集部で選定したものです。紹介したサイトへの登録を推奨しているわけではありません。

2.投資したい運営サイトに会員登録する

投資したい案件を見つけたら、その運営サイトに会員登録をします。

運営サイトによっては会員登録をしないと詳細情報を見られないことがあるため、まずは会員登録をしてみましょう。

この時点では投資をしていないため、会員登録は無料です。

3.投資家登録と運営会社による審査

投資する案件を決めたら、投資家登録をします。

この時点からはお金が動くことになるため、運営会社による審査があります。

審査に通過すると、その運営サイトでの投資が可能になります。

4.投資したい案件に応募する

お目当ての案件に応募をします。ただし、ここまで解説してきているように、「応募=投資」ではありません。

先着順であれば募集終了前に応募を完了する必要がありますし、抽選の場合は当選する必要があります。

不動産クラウドファンディングは人気商品であるがゆえに、投資する権利を獲得するプロセスが必要になります。

5.入金したらあとは待つだけ

投資をする権利を獲得し、必要な資金を入金したら、ここから先に投資家がすることは何もありません。

運用期間終了まで待ち、入金されるのを確認するだけです。

まとめ

不動産クラウドファンディングの仕組みを解説!人気の理由や始め方がわかる
(画像=west_photo/stock.adobe.com)

不動産クラウドファンディングへの投資に興味をお持ちの方に向けて、その仕組みや基本的な知識、メリットやデメリットなどを解説してきました。

最後までお読みいただいた方の多くは、メリットが多いので投資してみたいとお感じなのではないでしょうか。

まずは多くの不動産クラウドファンディング運営サイトをチェックして情報収集をして、お目当ての運営サイトを1つに絞らず複数のサイトを選択肢にして応募を検討してみてはいかがでしょう。

(提供:ACNコラム