2位の中国、大半が日本企業による売却

海外M&Aの全216件を国・地域別にみると、米国が53件で断トツの首位。内容的にも日本企業による買収(アウトバウンド)が43件を占めた。対照的に、2位の中国は15件中11件が日本企業による売却。その大半が中国事業の見直しに伴うもので、「チャイナリスク」への警戒感がうかがえる。

◎海外M&A:国・地域別件数の上位10

順位 国・地域 2023年 2022年
1位 米国 53 39
2位 中国 15 12
3位 ドイツ 14 12
4位 シンガポール 12  7
5位 インドネシア 10  3
カナダ 10  1
7位 台湾   7  2
香港  7  4
マレーシア  7  7
10位 英国  6  6
オーストラリア  6  4
タイ64
ベトナム  6  5


首位は日本製鉄の米USスチール買収

2023年海外M&Aの金額トップは、日本製鉄が2兆円超を投じて米鉄鋼大手USスチールを買収する案件。日本製鉄として過去最大のM&Aで、2024年中頃の買収完了を見込む。2位のアステラス製薬、3位の東京ガスにとっても、これまでで最も大きいM&Aとなった。

◎2023年海外M&A:金額上位20(HDはホールディングスの略)

社名内容金額発表
1 日本製鉄 米鉄鋼大手のUSスチールを子会社化 2兆75億円 12月
2 アステラス製薬 米バイオ医薬品企業のアイベリック・バイオを子会社化 8040億円 5月
3 東京ガス シェールガス開発・生産の米国ロッククリフ・エナジーを子会社化 4050億円 12月
4 アウトソーシング 米投資ファンドのベインキャピタルと組んでMBOで株式を非公開化 2211億円 12月
5 ベネッセHD スウェーデン投資ファンドのEQTと組んでMBOで株式を非公開化 2079億円 11月
6 インフロニア・HD 米ベインキャピタル傘下の日本風力開発(東京都千代田区)を子会社化 2031億円 12月
7 キリンHD オーストラリア健康食品メーカー大手のブラックモアズを子会社化 1692億円 4月
8 セブン&アイ・HD オーストラリアで「セブンイレブン」展開の現地コンビニエンス・グループ・ホールディングスを子会社化 1672億円 11月
9 NIPPON EXPRESSホールディングス オーストリア物流大手のカーゴ・パートナーを子会社化 1267億円 5月
10 ENEOSホールディングス チリに保有するカセロネス銅鉱山の株式51%をカナダLundinに譲渡 1246億円 3月
11 セガサミーHD フィンランドのモバイルゲーム会社「ロビオ」を子会社化 1049億円 4月
12 富士フイルムHD 米国インテグリスから半導体用プロセスケミカル事業を取得 945億円 5月
13 ゼンショーHD 北米・英国で持ち帰りすし店展開のスノーフォックス・トップコを子会社化 874億円 6月
14 味の素 遺伝子治療薬の開発製造受託を手がける米国フォージ・バイオを子会社化 782億円 11月
15 三井物産 日米合弁給食大手のエームサービス(東京都港区)を子会社化 700億円 2月
16 三井物産 米化学品大手セラニーズ傘下で機能性食品素材製造のオランダ「ニュートリノバ」を子会社化 660億円 6月
17 そーせいグループ スイスのイドルシアから日本・アジア太平洋地域の医薬品事業を取得 650億円 7月
18 資生堂 スキンケア化粧品事業の米国DDGスキンケアホールディングスを子会社化 640億円 12月
19 大塚HD 女性向け健康食品製造の米国ボナファイドヘルスを子会社化 627億円 12月
20 サンケン電気 TMR(トンネル磁気抵抗)センサー技術の米国クロッカス・テクノロジーを子会社化 597億円 8月

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