昨年来相次ぐ対応買収提案

昨年来、買収計画が発表された後に、これに対抗して別の買収提案が出される事例が相次いでいる。

昨年暮れから今年初めにかけて起きたのが福利厚生サービス大手のベネフィット・ワンをめぐる争奪戦。医療情報サービス大手のエムスリーによるTOBが先行していたが、途中参戦した第一生命ホールディングス(HD)がエムスリー上回る買付価格を提示し、買収に成功した。2900億円規模の買収劇だった。

さらに今年夏前には、物流企業のC&Fロジホールディングスをめぐって、AZ‐COM丸和ホールディングスとSGホールディングスの同業2社が買収を争った。佐川急便を傘下に持つSGHGの勝利に終わったが、こちらも後から参戦した側が有利に戦いを運んだ。

同じ頃、居酒屋経営のホリイフードサービスを対象とするTOBでも対抗提案した側に軍配が上がった。

こうした中、新たに争奪戦の構図となったのが富士ソフト。しかも、米国の投資ファンドの中でも双璧とされるKKRとベインキャピタルの外資同士が一戦を交える異例の展開だ。

KKR、ベインキャピタルは投資先の株式の5割以上を保有し、株式を非公開化したうえで中長期に経営に関与する。企業価値を高めて株式上場に導くことなどにより投資資金を回収する。両社とも日本企業関連で1000億円を超える大型M&Aを数多く手がけてきた実績を持つ(一覧表参照)。

◎KKR:日本企業関連の主なM&A

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

◎ベインキャピタル:日本企業関連の主なM&A

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online