中期計画を上方修正

ニップンはこの決算を受け、2027年3月期を最終年度とする中期経営5カ年計画を修正した。売上高4000億円、営業利益150億円とする目標を3年前倒しで達成したためで、売上高4500億円、営業利益210億円を新たな目標に設定した。

直近の売上高構成をみると、製粉事業(業務用小麦粉)31%、食品事業(加工食品、冷凍食品、中食など)75%、その他事業(健康食品、ペットフードなど)12%。

中期計画では①基盤領域の収益力強化②成長領域・新規領域への戦略投資③M&Aや事業提携の機会追求-など5つの基本方針を掲げる。

基盤領域は製粉、食品素材、加工食品の3事業を指す。収益力を一層高め、安定的かつ継続的なキャッシュの創出を目指す。

成長領域に冷凍食品、海外など4事業

一方、成長領域には冷凍食品、中食、ヘルスケア、海外の4事業を位置付け、経営資源を重点配分する。先に発表した畑中食品の買収や、米国での製粉事業進出はこの流れにある。

海外事業は米国のほか、中国、タイ、インドネシアでプレミックスの製造・販売を手がける。海外売上高比率は1ケタ台にとどまり、製粉最大手の日清製粉グループ本社が30%を超えるのに比べ、大きく見劣りする。もっとも、その分、伸びしろが大きいともいえる。

今後3年で総額1200億円を投資

2027年3月期までの今後3年間で総額1200億円程度の投資を計画。このうちM&Aや新規事業関連への配分枠は明らかではないが、成長領域の冷凍食品、中食、ヘルスケア、海外に重点投入されることは間違いない。

2021年に、1896(明治29)年の会社設立以来の社名である日本製粉をブランド名の「ニップン」に変更して3年。新生・ニップンとして、ギアをもう一段上げることになりそうだ。

◎ニップンの主な歩み

出来事
1896 日本製粉を設立
1920 東洋製粉、大里製粉、札幌製粉、東北製粉を合併
1949 東京、大阪証券取引所に株式上場
1955 「オーマイ」ブランドの誕生
1959プレミックス事業に進出
1973 冷凍食品事業に進出
1989ペットフード事業に進出
1991 中食事業に進出
1995 中食関連製品のファーストフーズ(東京都八王子市)を子会社化
1996タイに進出
2000 米国でパスタ類製造のPasta Montanaを子会社化
2003 ジャスダック上場のオーケー食品工業(福岡県朝倉市)を子会社化
2004中国・上海でプレミックス工場を操業
2013 加工調理品のナガノトマト(長野県松本市)を子会社化
2014 東証2部上場の東福製粉(福岡市)を子会社化
インドネシアに進出
東福製粉を吸収合併
2021 ニップンに社名変更
2023 米国の製粉会社Utah Flour Mollingに出資し、持ち分法適用関連会社化
2024 9月、冷凍食品製造の畑中食品(鹿児島県出水市)を2025年4月に子会社化すると発表

文:M&A Online